第10話 京都観光
落ちている。今車が飛び交う高速道路に落ちている。
貴族リーア・アズベリル、名前と顔写真のみという少ない情報、最後殴られた時の表情は顔写真を見た時とは別人に感じた。
私は今ここで死ぬ訳には行かない、私達を捨ててまで、謎の少女を選んだ理由を聞かなければならない。
「ふー」
空を見ていた顔を下に向けた。下には車が飛び交っている。時速200kmは超えているスピードで走っている車に激突した場合、パワードスーツを装備していても無事では済まないはず、でも、そのまま落ちたら、そのまま死が訪れるだろうね。
目の前に車が来る。手を前に出して、車と私の手が触れた瞬間に手に装着した装備の機構がカチリと音を立てる。力を入れると身体が飛び上がった。
私の装備は松永と同じ博士によって開発されたものになる。手と足の装備に衝撃吸収を備えており、松永のように衝撃を吸収して、エネルギーに変換するという機構は無いが、松永の装備よりも軽量化されている。
次々来る車をチェンソーを片手に手と足を使い、移動していく、流石にこの芸当を永遠する事は体力的にも不可能な為、私はある特徴を持った車をさがしていた。最新の車は1つの機構が壊されても、補助の機構が用意されており、すぐに減速したり、止まることはないようになっている。
しかし、古い車の中には速度を制御している箇所を破壊すれば、速度が減速して、数分後にやっと復旧するという車がある。私はその車を探していた。問題は古い車は高速道路の運転中に止まってりする事が懸念される為、高速ゲートを通る前に検査が行なわれて、問題無ければ通ることが許されるという感じになっている。検査を突破できる車は少ない、つまり、私が見つけようとしている車が今日高速を通っているのかすら分からないということだ。
私の体力が無くなるのが先か、見つけるのが先か、永遠と同じことを繰り返していると、見つけた。
赤い車、見た目をフェラーリみたいにしている非合法な車が見えた。
赤い車の20台前の車に足をつけて、飛び上がった。空中で後方宙返りをしながら、ちょどいいタイミングでチェンソーを振り回した。
「ギュイーン」
「ガガガガッ」
狙った箇所に綺麗に刺さると、赤い車の機構が壊れて、速度が遅くなる。周りの車は問題が発生した車を自動的に避けて前を進んでいった。
「ふー、とりあえず、何とかなった」
チェンソーを刺しながら、時速30kmぐらいになった車の上で座っていた。今後どうしようかなと考えていたら、黒い色のZaと書かれた車が隣に来た。
「こーくんかな」
――――
ため息をつけながら、とりあえず、おっさんの車の隣にアンカーを刺したまま並走している森咲の車に移動した。
車に搭載されている端末にアクセスして、情報を見た限りだと、まだ森咲は生存しているみたいだ。森咲は高速道路に放り出されても、そうそう死ぬやってではないと思う。と信じることにした。
車の持ち主のところに自動で行くように設定して、おっさんの車に戻った。
「気はすんだかしら」
「森咲は死んでないよ」
「そうなら良いわね」
「はぁー」
また、ため息をこぼした。
なんで俺はこんなことをしてるんだろうな。
「あのな、そんな事よりも、あんた達のせいで車に穴ができたんだが、どうしてくれるんだ?」
「どうぞ」
リーアは端末を出して、お金をあげた。
「ありがとうございます。車が動ける範囲でしたら、いくらでも壊しても大丈夫です」
ペコペコと俺達に頭を下げている。
そのまま、高速道路を進み、高速ゲートを通り抜けた。
「京都観光楽しみね」
「まじで京都に行くんだな」
「私、東京から出たことないの」
「そうかよ」
京都に入る時、普通は手続きなど、時間を取られるのだが、リーアが貴族というのもあり、すんなりと京都に入ることが出来た。ちなみに俺はレイブンシャフトに所属してます。と言ったら、「松永さんという方は昨日から除名されてますね」と言われてしまった。
「終わりだ……」
「せっかく京都に来たのに、そんなしょげていたら台無しじゃない」
「あーーーー」
俺が卑屈に嘆いていたら、
「えーでは、わしはこの辺で別れさせていただきます」
おっさんは頭を下げながら、俺達から離れたそうにしている。
俺はリーアの方を見る。
「そうね。車を乗せてもらって、助かったわ」
「いいえ、いいえ」
安心した顔で逃げるように去っていた。
「まずは、この服装を何とかしたいわね」
「そうだろな」
リーアの服装は血に汚れたままだった。ロリータ衣装で周りから浮いているのに、さらに血で汚れているわけだから、歩く度に周りからの視線を浴びていた。
「せっかく、京都にきたのだから、浴衣を着るわ」
「そうか」
「貴方もね」
「俺もかよ、でも高いんじゃないのか」
「問題ないわね」
ドヤ顔で端末を見せてきた。
あーあ、もう、意味がわかんない、妙に仕草が可愛いし、何も考えたくない、もう何もかも逃げ出して、この状況を楽しむしかない。




