前夜
霧に覆われた深い森の中では星の光も月明かりも見えない、頼りになるのは自らの魔法によって作り出された、弱々しく光る灯りだけ、そんな闇夜の肌寒さと心細さを感じながら少女は歩く。
「まだ感が戻らない、、、。」
少女は焦りを感じていた。
夜とはいえ、長年住んでいた森の中で夜目も嗅覚も唯一の種族特性で秀でているはずの耳すら、以前の様に機能しない。
足は重く息も荒い、かつてはこんな風では無かった。
この森を離れてわずか一年たらずだ。
「向こうの暮らしに慣れすぎて、感覚と体が鈍くなっているんだ、、、。」
彼と別れて直ぐに装置を起動させたので、座標入力をしなかったことにより、デフォルト設定であるエルフの森の前に辿り着く。
少女は森を見た時に、特に考えることもなくエルフの村に向かうことにした。そして少女がかつて住んでいたエルフの村にたどり着いたのは夜明け前だった。
ここにきてから2週間が過ぎた。
師匠は俺の上達振りに驚いているが、俺は少し焦りを感じている、、、。
ターイウ
「ソヨヒト、、、こんな短期間で良くここまで覚えた!!
さすがはノリヒトの子供だ!!まだまだ教えることはあるがひとまず俺が教えるのはここまでだ!!」
師匠が教えることはここまで、、、
随分と含んだ言い方だ、つまり別があると、、、
ターイウ
「ハズキが話がある様だ、、、彼女の元に行ってくれ
ハズキはいつもの様に部屋で瞑想をしている。」
なんだかRPGみたいな展開だなぁ、、、途中で村人の話でも聞いた方がいいのか?
言われるがまま師匠にお辞儀をしてハズキさんの部屋に、、、。
ソヨヒト
「失礼しますソヨヒトです。」
ノックをすると部屋の中から、、、
ハズキ
「どうぞ、、、」
言われるまま部屋に入ると、、、瞑想をしているハズキさんが、、、師匠の稽古の中で何度かハズキさんとの手合わせがあった。
そして直ぐに気がついた、ハズキさんと俺は、、、
俺はハズキさんの前に座る、、、。
ハズキ
「夫から聞いているわ、稽古は今日で終わりね
お疲れ様です。」
そう言って、正座をしたハズキさんは凛とした姿勢で綺麗な礼をする。
俺もつられてそのまま礼をする。
そして礼から直ったハズキさんが、、、
ハズキ
「ソヨヒト君!!単刀直入に聞くけど、あなた月乃葉流を学んでいるわね!!」
やはり、、、少し型は違うがハズキさんも、、、。
ソヨヒト
「はい!!月乃葉流の師匠は月乃葉三花さんです。」
あれ?なんでだろ、、、ハズキさんが一瞬動揺した様な、、、
ハズキ
「、、、そう、、、本流なのね、、、わたしも月乃葉流の分派なのよ、、、。」
、、、なるほど!!だから俺と、、、ミカねーと少し違うのか、それにしても、、、。
ソヨヒト
「あの、、、一つお聞きしても?」
凛とした姿勢のハズキさんが小さくコクリとうなずく、、、
ソヨヒト
「ハズキさんの流派は実践的だと思ったのですが、
その以前見た三乃花流に近いのですが、、、
でも少し違う、、、なんていう流派になるのですか?」
ミカねーから聞いている分派は三つのはず、、、現存するのは二つ、、、。
ハズキ
「そうね、、、わたしの本来の流派、三乃花流、、、
でも我流が混じって、わたし独自の型になっているわ!!」
なるほど、、、これで合点がいった!!
ハズキ
「それで本題なんだけど、、、あなたがこれから何処に行くかはわからないけど、、、良ければ少しわたしの型を学んでみる?きっと役に立つはずよ、、、」
なんだろう、、、なにも話してないのに俺がこれからすることを見透かされている気がする、、、。
でも、ハズキさんの型はより実践的だ、正確には帯刀相手を前提とした剣術、ミカねーの月乃葉流は剣術を含む総合格闘技、おそらく乱波の流れを組むと言われているからだろ、そして師匠のCQCは銃器を伴う近接戦闘だ、
この中で、向こうの世界で一番必要なのは、ハズキさんの帯刀相手を前提とした剣術だと思われる、、、
これは願ったり叶ったりだ!!
ソヨヒト
「是非ご指導をお願いします!!」
こうして俺は一週間ハズキさんから稽古をつけてもらった。
そしてシルが姿を消してから約1ヶ月、、、
ソヨヒト
「師匠、ハズキさん本当にお世話になりました!!
ありがとうございます!!」
ターイウ
「今日でお別れだな!!なんかスゲ〜寂しいよ!!
でも不思議なものだよ!!まさかノリの息子に指導するとは!!気を付けてな!!」
師匠の目が潤んでいる。
実は師匠は心根が優しく泣き虫だ!!思わす俺ももらい泣きしそうになる。
ハズキ
「でもまさかわたしが最後に負けるとは、、、ソヨヒト君はすごい才能の持ち主だね!!」
ハズキさんは凛としたかっこいい女性だ!!なんとなくミカねーと似てるから親類なのかも知れない、、、。
まぁ〜ハズキさんからなにも言ってこないので、あえて俺も聞かなかった。
ソヨヒト
「本当にお世話になりました!!ありがとうございます。」
そう言って深々とお辞儀をして二人と別れた。
ちなみにその前に施設を貸してくれたドラちゃんには、、、
ソヨヒト
「ドラちゃんお世話になりました!!ありがとうございます!!」
そう言いながら手を差し出す、、、ドラちゃんも俺の手を握り、、、。
ドラちゃん
「こちらこそありがとう!!たっぷり稼がせてもらったよ!!でも、今度は是非ともうちの商品を買ってくれ!!それとこれはわたしからの選別だ!!」
彼がそう言うと、屈強な兵隊達が大きな木箱を持ってきて蓋を開ける。中には、、、
スコーピオン2丁と銃弾、迷彩軍服が数着、透明な盾が数個、、、なんだこれ?
ドラちゃん
「スコーピオンは中古で悪いがかなり良い程度の物を用意した、それとこの軍服は軽量で防刃性の高い物、この盾はポリガードの特殊な盾だ。
皆これらの品は君のお父さん、、、ノビが買って行った物だ。正直、今時こんな物をなに使うかわからないが、
君なら喜ぶと思ってね!!」
、、、さすがはアラブの商人だ、、、用途がわからなくても相手が喜ぶものを見破るその力はすごい!!
確かに今の俺には最高の贈り物だ!!
ソヨヒト
「こんな素晴らしいものありがとうございます!!」
思わずお辞儀をすると、、、
ドラちゃん
「いえいえ!!大したことは、、、でも、もし、ヘリや戦闘機が必要ならいつでもご用意致しますよ!!」
、、、あはは、まさかここで仕入れていたとは、、、
そんな別れをして俺は中東を後にした。
家に帰ってオカンに報告、、、オカンはすっかり元気になっていて、俺も言われた通り週一で家に顔を出していた。
今はどちらかと言うとローネさんの方が、少し元気が無い、、、それもそのはず、、、シルとは1ヶ月、、、オトンとは約4週間音信不通だ、、、。
ソヨヒト
「オカン!!ローネさん!!いよいよ俺は明日旅立ちます!!」
帰って来て早々だが、、、
オカン
「、、、わかってる、、、シルちゃんとお父さんをよろしくね!!」
オカンは涙を浮かべながら、、、
ローネ
「ソヨヒトさん、、、本当にごめんなさいね、、、
シルをよろしくお願いします」
そう言ってローネさんが頭を下げる、、、。
その日の夜はオカンが腕に手をかけた、ささやかなご馳走を作ってくれた、、、みんな俺の好物ばかりを!!
俺もオカンもローネさんも、それを涙を浮かべながら食べて笑った!!
そして夜明け前に二人に挨拶をすることなく家を出た、、、。
異世界義妹クロスロードのご一読ありがとうございます。
また、2ヶ月も投稿が空いてしまい、楽しみにしていた方々にお詫び申し上げます。
全体像の構想は終えているのですが、ここ数ヶ月仕事が多忙で、執筆に集中する時間がなかなか取れませんでした。
また、来週以降も仕事が忙しくなるので、執筆に集中する時間が取るか、、、でも、頑張って書き続けますので、
次回もよろしくお願い致します。
さて、次回から章が変わりましていよいよシル探しの旅となります。
ご興味がありましたら次回もご一読よろしくお願い致します。
異世界転生希望者A




