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2通の手紙

あれから約一週間が過ぎた、、、。

流石にさおりとシズクにこれ以上隠し通すことは不可能と判断して、昼休みに2人を生徒会室に呼び出した。



久々の再会の挨拶もそこそこに、重苦雰囲気の中、生徒会室の応接テーブルで二人と対峙する。

いつもなら俺の隣にシルが座っていたのだが、、、。



ソヨヒト

「あらためて今日はこの場を設けさて頂き感謝します。

最近何かと俺の動向がおかしいと思っていたと思いますが、まずは報告を、、、。

先ほど、正式に退学届けを提出してきました。」



二人の動揺する声が、、、俺はそれを静止する様に言葉を続ける。


ソヨヒト

「詳しい事情は話せないけど、俺はしばらく家を留守にする、、、その、、、二人には本当に申し訳ないがこの関係を終わりにしよう、、、。」


俺のその言葉に二人は驚き涙ぐむ、、、二人は俺を罵倒することも、引き止めることもなく、、、ただ、目に涙を溜めて泣いていた、、、。、


さおり

「、、、ソヨヒト、、、やっぱりシルちゃん?」


ソヨヒト

「まぁ、、、」


シズク

「ダーリンわたし待っていても、、、」


ソヨヒト

「それは無理だ、、、」


はなから納得してもらうつもりはない、、、俺は今この二人を振ったのだから、、、本当に身勝手な事だ、、、でも中途半端に待っていてもらうことなんか出来ない、、、。


ソヨヒト

「本当になにも言えなくて、、、しかもこんないい加減な、、、本当にごめんなさい、、、、。」


俺は深々と頭を下げる、、、なぜだろ、、、俺自身もっと速い段階でこの決断を覚悟していた、、、それなのに涙が、、、。


さおり

「、、、わかったわ!!別れてあげる!!でも、あなたを待ってるのは私たちの勝手だからね!!

あなたにいちいち余計なことを言われるつもりはないわ!!」


シズク

「そうね、、、これは一時的、、、必ずまた四人で仲良く過ごせる日をわたしはただ、信じて待つわ!!」


二人はそう言って最後に笑顔くれた、、、。


家に帰り身支度をする、、、机の上を整理していると

昨日、ミカねーからもらった一枚の証書に目がいく、、、その証書には免許皆伝と記載されている。

ミカねーに別れの挨拶に行くとこれを渡してくれた。


ミカねー

「本当は、これを渡したくないんだけど、、、でも、もうわたしが君に教えられることは無いし、、、

まぁ〜こんなものあってもなんの役に立たないけどね!!」


なぜだろ、、、突然これを持っていこうと思いカバンに入れる。


居間ではオカンとローネさんが仲良くTVを見ていた、、、。


ソヨヒト

「オカン!!ローネさん!!行ってきます!!」


オカン

「とりあえず1週間だね!!向こうは暑いから気を付けてね!!」


ローネ

「ソヨヒトさん、、、本当にごめんなさい、、、」


ローネさんが申し訳なさそうな顔をしている。


オカン

「なに言ってるの!!バカ二人が勝手に出て行くんだよ!!ほっとけば良いのよ!!」


オカンはすっかり元気になって、いつもの調子にもどっている。


時は遡り三日前


ローネさんは2通の手紙と共に帰ってきた。

ローネさんが無事に帰ってきて何よりだ!!

残念だったのはシルと一緒では無く、オトンと一緒だったこと、、、。


ローネさんからの話では、シルを追ってすぐに向こうの世界に向かい、かつてシルと住んでいたエルフの森の村に立ち寄ったところ、偶然にもオトンと出会えたとのこと。


エルフの村はすでに廃村となっており、オトンはその廃村を利用して備品庫を作った様で、ちょうど物資の補給をしているところだった。


ローネさんはシルのことをオトンに説明をすると、一旦ローネさんの安全を確保するため、こっちの世界に帰ってきて、そのままとんぼ返りで向こうの世界に向かった。


やはり俺の予想通り、オトンはイクウォッチを紛失しており、ローネさんのスマホ型イクウォッチで無事に帰還するのだが、その際に研究室の手紙がない事に気が付き、急ぎ2通の手紙をしたため、ローネさんに託していた。


その手紙はオカンと俺に、、、


俺への手紙


ソヨヒトへ


やっぱりお前すごいなぁ〜!!まさか俺の恥ずかしい手紙を持っていかれるとは、、、お前はいつも俺の想像の上を行きやがる、、、困った息子だよ、、、。


お前の事だ、大方の事情を理解して準備してるんだと思う、けど、ハッキリ言う!!

それじゃ足りない!!お前が覚悟を持ってこっちに来るなら、その前にそっちである人物に会え!!その人は俺の恩人で師匠で友人だ!!奇しくも大方の事情も理解している。


さて、問題はここからだ!!お前がその人にあって認めららればこっちの世界に来る事になる。

その時、現時点で俺が把握している事を教えてやる!!

でも、俺はお前の親だ!!お前が今の世界で幸せで生きる事を望む、、、。


オトンらしいざっくりとした曖昧な内容だ、、、

つまりオトンは俺に来てほしくない、そう考えている

だから、こんなざっくりとした内容なんだろ、、、。

でも、肝心のこっちで頼るある人とは、、、。


そう思っていると、オトンの手紙を読み終えたオカンから、、、。


オカン

「それで?ソヨヒトはどうするの?」


なんだ?なにを、、、いやこの手紙は対になっているんだ!!俺の知りたい答えはオカンの手紙に、、、。


ソヨヒト

「俺も向こうの世界に行ってシルを探す、、、。」


オカンの顔が険しくなる、、、それを見たローネさんが動揺をしている、、、。


オカン

「そう、、、良いわ!!おとーさんからの頼みだもの、、、手配してあげる。

それと、学校は退学にするわね、、、」


まぁ〜いつ帰ってくるかわからんのだ、、、当然だろ、、、。


ソヨヒト

「うん、、、そのごめんなさい、、、」


体調の良くないオカン残してこんな事を、、、俺は親不孝だなぁ、、、


オカン

「良いのよ!!それよりも約束して頂戴!!

私たちの娘、、、シルちゃんを絶対に救ってきなさい!!」


オカンのその言葉にローネさんは声なく泣き、オカンがそっとローネさんを抱き寄せる、、、。

俺はそれを見てなんとも言えない安心感を覚えた、、、。

大丈夫!!オカンは一人じゃない!!


現在


ソヨヒト

「うん!!必ず一週間後には戻る!!」


俺はそう告げて家を出た。

オカンとローネさんの話だと、研究室に置いてあるイクウォッチは異世界経由でのテレポートが可能とのこと、詳細は事前には二人に教えてもらっている。


すっかり日が暮れた頃に研究室に着いた。

山奥の森の中にひっそりとある研究室、、、

流石にこれから異世界に行くのだ、、、普段なら考えない事を想像する、、、。


ソヨヒト

「流石にここにモンスターはいないよなぁ〜」


やはり人は本能で暗闇を恐れる、、、そんなことはないと理解しても本能が見えない恐怖に怯えていた、、、。

研究室の中に入り明かりをつける、、、

はぁ〜なんでだろ、、、さっきまでの恐怖が嘘の様に消えて行く。


ローネさんの話だと、研究室と向こうの世界のエルフの森は、ほぼ同一時刻のようだ、よって、向こうも夜なので相当危険だと、当然モンスターもいるが、何よりも野党もいるようなので、向こうに行くのは明るいうちのほうが良いと、ひとまず今日はここで寝る事にする。


居住区でシャワーを浴びて夕飯を作る、、、シルが居れば得意な料理の腕を振るうのだが、、、今日は適当に持ってきたカップラーメンで済ませる。

この居住区にはいくつもの部屋があり、オトンが使用してなさそうな一室に入りベットに潜り込む、、、

時刻は21時過ぎ、、、いつもならシルとのおしゃべりタイムだ、、、まぁ〜シルが一方的に話して俺がスマホをいじりながら聞いてると怒られる、、、今思えばなんて幸せなひと時だったのだろうか、、、。


オカンの話では俺は中東に居るとある人物に会いに行く、詳細はその人に聞いてとのこと、、、。


ソヨヒト

「オカン、、、その人名前は?」


オカン

「そうね〜知ってるけど偽名の可能性もあるし、、、まぁ〜直接会って話を聞いて、、、向こうにはおとーさんの隠し別荘に着くはず、そこに着いたらこの番号に電話して、、、電話に出るのは日本の女性だから大丈夫よ!!

そう言っても、ソヨヒトは元々英国喋れるから問題無いわね、、、」


ソヨヒト

「日本の女性?」


オカン

「そう!!名前は、、、ハズキ、、、あなたが会いに行く人の奥さんよ!!まぁ私たちも夏に会ったばっかりなんだけど、、、すっかり仲良くなってね!!」


オトンが俺に会わせたい人、中東、異世界、このフレーズだけで連想されるのは、恐らく傭兵の類だろ、、、俺に護身術を身につけろって事だ、、、。


寝ようとするとそんな色んな事が過ぎって来る、、、そして、、、ふと気づく、、、


老いたシルの世界線を正史として、、、今の世界を分岐と例えると、、、正史の俺はいつ異世界に行く?

、、、、

、、、、、オトンの最初の手紙、、、あれはシルの手紙があったから俺は研究室に向かった、、、


仮にローネさんの帰還が正史とすると、俺はローネさんの話を聞いて研究室に向かう、、、そしてそのまま向こうに行ったのか?あり得そうな事だ、、、


だとしたら今は分岐?オトンは手紙がない事に気付いて、俺が向こうに行く事を想定してこのイベントを発生させた?


そう考えると、正史ではこのイベントは発生していない、、、


どうする?このイベントを無視して向こうに向かうか?

イヤ、、、頭の切れるオトンの事だ、、、これは絶対向こうで必要なのだろう、、、。


その証拠に、この研究室の隠し部屋に信じられないぐらいの武器があった、、、それは先週訪れた時発見したものだ、、、でも、今の俺に銃を扱うスキルは無い、、、つまりオトンは俺にそのスキルを身につけろって事だろ、、、。


そんな事を考えていたらいつの間にか眠りについていた、、、。


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