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月乃葉 三花

ミカねーは俺を見ると笑顔で、


ミカねー

「おおっ!!ソヨ坊!!どーした!!」


大きな声で手を振っている。俺は門下生の注目を受けながらミカねーの所まで行き、


ソヨヒト

「こんにちわ!!合宿所以来ですね早速で申し訳ないのですが、今日はお願いに来ました。」


俺は笑顔を一つ無い真剣な顔で言う、、、それを察してくれたミカねーさんは、、、


ミカねー

「わかった、、、話は居間で聞こう、皆はこのまま稽古を続ける様に!!」


ミカねーがそう門下生に指示をして、ささっと道場を出て行く、俺は少し遅れてミカねーの後をついて行き、ミカねーが廊下の角部屋に入っていったのを確認する、懐かしい〜ミカねーが入った部屋がこの家の居間で、この時間なら師範であるミカねーのお父さんが居る部屋となる。そう思って入った居間には誰もいなかった、、、。



ソヨヒト

「師範はご不在ですか?」


ミカねー

「うんんっとねぇ、、、放浪の旅に出てるよ、、、まったく不良親なんだから、、、」


どこかで聞いた話で思わず笑いそうになるが、、、

フッと、シルのことを思い出してなんとも言えない気分になる、、、。


座席に招かれて着席すると、さおねーの方から本題に触れてくる、、、。


さおねー

「それで、、、そんな複雑な顔をしたソヨ坊のお願いってのは?」


今の俺の表情は人に分かるぐらい複雑なんだろ、、、まぁ取り繕うってないんだから当然か、、、俺は率直に言う。


ソヨヒト

「月乃葉流のカウンターを教えて欲しい、、、」


さおねーが驚いた表情して直ぐに難しい顔になる、、、


さおねー

「、、、びっくりだね〜あんなに人と争うのが嫌いなソヨ坊からお願いされるなんて、、、まぁ大体想像は付いたけどね、、、」


俺は何度かそのカウンターの教えを習う機会があった、けれど全て断っていた、理由は単純だ、俺の生活にそんなものが必要無かったからだ、、、でも今は違う、、、。


ソヨヒト

「ちょっと言えない事情なんだけど、別に人を傷つける為じゃないんだ、、、」


俺はじっとミカねーの顔を見る、、、ミカねーは眉ひとつ動くことなく


ミカねー

「当たり前だろ!!この技はカウンターなんだから!!

あくまでも相手から攻撃をされないと出来ない技だよ!!

よし!!事情は聞かないで教えてあげるよ!!

って言っても、ソヨ坊の足捌きは完璧なんだ、、、

ちょっと教えれば直ぐに出来るよ!!早速、着替えて道場に行こう!!」


そう言ってミカねーは、居間の隅にあるタンスから貸し出し用の道着を出して、俺に渡して道場に向かった。

俺も素早く貸出用の道着を着て道場に行くと、すでにミカねーがひとりの門下生と対峙していた、、、。


ミカねー

「来たねソヨ坊!!良いかい!!一回しか見せないからね!!」


ミカねー自らのはじめの合図で門下生が、ミカねーに中段蹴りを入れようとするが、見事に手で薙ぎ払われ、体勢を崩した所で後ろ回し蹴りを顔面に受けていた、、、容赦ないな、、、


ミカねー

「わかったかい?」


わかったもなにも避けて払って蹴っただけじゃん、、、

でもそういうことなんだ、、、


ソヨヒト

「うん、、、」


結局、避けるか捌くかだけの違い、、、確かに足捌きがしっかり出来ていれば、、、


ミカねー

「それじゃ〜やってみるかねぇ〜」


そう言ってミカねーが俺に突進してそのままソバットを、、、俺はそれをギリギリで懐から右側に流し、その回転を利用して左回転の回し蹴りをミカねーの背後に入れようとすると、、、


ミカねー

「あまい!!」


ミカねーはソバットを放った右足に重心を移動させて、俺の後ろ回し蹴りを前のめりでかわし、右足を軸に左足で後ろ回し蹴りを入れようとする、、、俺はそれを左回転でかわして肘鉄をミカねーの胸元に当てパイタッチ、、、いや一本!!

でも、俺の肘鉄は威力が弱かった様で、ミカねーにダメージは与えられなかった。


ミカねー

「あはは、、、やっぱり負けたかぁ、、、」


いやいや俺はかなりギリギリだったけど、、、でもやっぱりって、、、


ミカねー

「あんたの足捌きは超一流だよ!!ソバットをかわされる前提で放って本命を左回し蹴りとしていたけど、、、やっぱりかわされるとは、、、それにしてもあの肘鉄は見事だ!!どこで覚えたんだい?」


ソヨヒト

「いや、、、ミカねーのカウンターを見て思いついた、、、大技もいいけどかわされるなら確実に狙える技はって、、、」


ミカねーは高笑いをしたあと、、、


ミカねー

「そうだね、、、ソヨ坊回し蹴りも肘鉄も精度が悪い!!

まぁ〜初めてにしちゃ〜上出来だけどね!!でもあの肘鉄じゃ〜敵は倒せない、、、しばらくここに通いな!!基礎の攻撃を教えてあげるよ!!

あと、約束通り、ソヨヒトのお嫁さんになってあげるね!!」


ソヨヒト

「、、、はぃ〜?」


おいおい!!一体なんの話だ?なぜそうなる、、、


ソヨヒト

「いやいやミカねー!!あんた彼氏いるだろ?」


この間合宿所で会った時、そう言っていたじゃん!!


ミカねー

「そりゃ〜今もその彼氏ってのが、目の前にいるんだけどねぇ〜結婚となるとわたしより強くないとねぇ〜」


俺はミカねーの視線の先の人を見る、、、その人物はミカねーに後ろ回し蹴りを顔面に食らった人物、、、あんたか!!


ミカねー

「まぁ〜ソヨ坊の言えない理由って、昔の約束だろ?ほら!わたしに勝ったらお嫁さんになってあげるって話の!!」


、、、あっ!!そんな話を勝手に言っていたなぁこの人!!


ソヨヒト

「いやいや違うよ!!」


ほら〜彼氏さんすげ〜俺を睨んでるよ!!


ミカねー

「ふぁっははは!!ごめんごめん冗談だよ!!

ちょっと情けない彼氏に葉っぱをかけただけなんだ!!悪いね〜ダシに使って!!」


まったく、、、昔からこの人は、、、


彼氏

「いつかかならず勝!!」


いや彼氏さん?意気込みはすごくいいんだけど、、、なぜ俺を睨んで言う?俺は関係ないよねぇ〜


その後、たわいのない雑談をして今日はこれで家路についた、明日から約1時間程度稽古をつけてもらう事となった。


帰りの電車でさおりからLINEが届く、俺のこと、シルのこと、根掘り葉掘、質問責めにあったが、シルの向こうの世界の親戚が不幸にあったと嘘をついて誤魔化している。

俺に至っては、家の用事で授業に出れなかったことにしている、、、こんな適当な嘘、、、いつまで持つのだろう、、、俺の決断はそう遠くない、、、

夕暮れの流れる景色を見ながら手紙の内容を思い出す。


老いたシルは長い年月を後悔しながら生きていた、、、けれど、これから訪れる未来では、


「絶対にそうさせない、、、」


流れる景色を見ながらそんなことを呟いていた、、、。




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