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第十七章(エピローグ的なもの)

夜会当日のお昼過ぎにフレッドが私の部屋にやってきた。

彼は箱から指輪を取り出して今日の夜会つけて欲しいとお願いしてきた。指輪は彼の瞳と同じ紺碧のサファイアが輝いていた。

「喜んでつけさせてもらうわ」

フレッドは私の左手の薬指にこの指輪を嵌めて手の甲にキスをすると「婚約指輪だから」という。

私は「もちろんわかっているわよ」と彼の首に抱きついた。

彼は私の唇に唇を重ねてきたし、私はそれを受け止めることにした。

数瞬の後、彼は唇を離し、「じゃあ後からまた迎えに来るよ」と言って部屋を出て行った。

サラと王宮の侍女たちは「よろしゅうございましたね。まず湯浴みからですからせっかくの指輪は外しておきますね」と外して箱の中に置き、お風呂場で私の体を爪の先までピカピカに磨き上げてくれた。

髪は香油でまとめ上げられている。

「お召し物はこれですね」と見たことのないドレスを持ってくる。

「これは王妃様から?」

「殿下からに決まっているじゃありませんか」

ドレスも彼の瞳の色である青であった。

胸元はそれほど強調されていないが、体の線はしなやかに強調され、レースをふんだんにあしらった豪華なものであった。

「フレデリック殿下も隅に置けませんね」

侍女たちはフレッドを嵌めてくれるがちょっとくすぐったい。

丁寧に化粧を終えた頃にはもう夕暮れになっていた。

準備されたアクセサリーを身につけ、婚約指輪を嵌めた。

侍女たちは「さすがセレス様です。よくお似合いです」と言ってくれた。

程なくフレッドもやってきた。

「旧都での夜会の時も美しいと思ったが今日はさらに美しい。格別だね」

「それは、王都の化粧品はサイラルのものより高級ですからね。フレッド、この素晴らしいドレスもありがとう」

「気に入ってもらえればよかったよ」

フレッドはこの夜会が終わったら旅行に行くことを告げてきた。

「そりゃ、各国の様子を見て魔人の侵入についても監視しなければいけないわよね。それに本当に魔王が侵入しているならばそれは討ち果たさないと真の平和が来ないものね。そのための聖剣探索だったわけですもの」

「少し苦労をかけるよ」

「私も大聖女らしいですからね」

「そろそろ夜会の時間かな。一緒に行こう」

フレッドは私に手を差し伸べてきて、その手を私は取った。

エスコートされながら私たちは夜会の待機室に向かった。

既に最初の招待客は会場に入場を始めているが、主賓の私たちは一番最後に入場することになる。

今日はノーラとその婚約者も招待されているそうである。もう中に入ったのだろうか。

そのうち、ドンドンと名前が呼ばれて次々にカップルが会場に入ってゆく。最後に私たちが中に入った。

既に国王陛下は上段に立っておられてわたしたちを手招きした。

国王様の下段に二人で立つと国王陛下はもうニコニコ顔で「今日はみなさんよく集まってくれた」と挨拶を始めた。

フレッドが異界の王子を倒したこと、聖剣の探索に成功したことを告げ、フレッドが従者から手に取った聖剣を抜いた。

それを見て会場中からから「おおう」というどよめきが聞こえた。

国王陛下は「このフレデリック王子を王太子と任じて王位継承権第一位の座につけ、聖剣を獲得した勇者の称号を許す」と厳かに宣言した。

会場中が賛辞と祝福で大騒ぎになった。

国王陛下は満足げな顔で椅子に座った。

騒ぎがやっと静まると、今度は神殿長が立ち上がる。

神殿長は私、セレスティア・リンデン公爵令嬢が大聖女の試練を乗り越えてその称号を得たことを正式に報告した。

その時、プラタがパタパタと飛んできて私の肩に止まった。

会場はシーンと静まり返っている。

神殿長は「かの大聖女の浄化の技は魔人を吹き飛ばすに十分な威力を持っている」と付け加えた。

会場がザワザワとする。

そこで国王陛下がまた立ち上がったので会場はピタッと静まり返った。

「諸君、私はここにフレデリックとセレスティア・リンデン公爵令嬢との婚約を許可した。この素晴らしい結合がさらに国を発展することを望む」

会場中が拍手の渦に飲み込まれた。

楽隊がダンスのリズムを奏ではじめた。

私とフレッドは広間の中央に進み出てワルツを踊りはじめた。他にも数組が踊っている。

フレッドのリードも落ち着いていたので特に問題なく踊り切ることができた。

「セレス、大丈夫かい?疲れていない?」

「大丈夫よ」

「じゃあご挨拶を受ける時間だね」

私はフレッドと手を繋ぎながら用意されていた椅子に二人並んで座ることになった。既に国王陛下ご夫妻の前には列ができている。こちらにもどんどんと列ができはじめた。

皆私の方は知っているだろうけれど、長年外国にいたフレッドのことはよく知らないだろうから彼の人となりを知ろうとする気が満々である。

私についてはドミニク王子とマージーの出奔は既に知られつつあるのでそこの質問がないことはありがたかった。

フレッドに無茶なツッコミをする挨拶者もいなくはなかったが、そこはさりげなくフレッドをサポートして挨拶を終わらせて行列をはいてゆく。

行列の最後の方にはノーラとその婚約者もいた。婚約者殿ってもうガチガチに緊張していたので、こちらはゆったりと「ノーラと仲良くしてあげてね」というと「は、はい!」としゃちほこばって答えていた。

フレッドはノーラに「素直そうな婚約者殿じゃないか。しっかりと仲のいい家庭を作るんだよ」と言われて「殿下、お言葉ありがとうございます。差し幸せな家庭を築きたいと思っております」と答えていた。これはノーラがしっかり操縦できそうね。

夜会が終わった翌日、朝から旅行の計画が立てられることになった。

まずはフレッドが長年過ごしていたルーデシアに向かい、そこの王様に挨拶してからジェラルディンの故郷であるゼニス公国に向かい、ジェラルディンの問題を解決してフェデナック自由貿易都市の港から船を使ってドラゴンベイ、魔王城に向かうというルートである。

「今のところ魔界の王子を倒したからは魔人の侵略はなさそうだけれどあなたたちが動いたと知られれば何らかの反応が起こるかもしれない」

「私はもう第三騎士団長ではありませんが、第三騎士団の選抜隊を護衛として連れてゆきたいのです」

国王陛下は好きに選んで連れてゆけと鷹揚に言った。

「フレッド、できたら女性騎士も2〜3人選んで欲しいの」

「ああ、そうしよう」

第三騎士団には女性騎士もいるのである。

ノーラはさすがに婚約者殿を放り出して旅に連れてゆくわけにはいかない。エオーラとカールは正式に婚約したからねえ。

あとは物資の補給ポイントや各国の協力者の確認を済ませているうちに一日が過ぎてしまった。

会議の後は食事になったが、旅の話がほとんどだった。

食事後、フレッドは私の部屋にきてサラに入れてもらった紅茶を仲良く二人で飲むことになった。

「本当は魔王なんてきていなかったらいいのにね」

「それを調べるために300年前に魔王がいたという魔王城まで行くんだよ」

「一年後の結婚式までには帰ってこれるかな」

「大丈夫だよ。きっと帰ってくるよ」

フレッドの腕は私の肩を抱き寄せていて彼の唇が私の唇を塞いだのだった。

とりあえず第一部終わり的な

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