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第4話 おじさんのパーティーメンバー

翌日、おじさんと引き合わされたのは4人の冒険者だ。


「紹介しよう。この街にはAランクのランサーがいなかったのでそれ以外の4人だ。まず、戦士のドラル。主武器は大剣だが、斧なども扱うことができる。」


「よろしく、勇者ヴィルド殿。」


「よろしくお願いします。皆さん敬称は不要ですので気軽に接してください。」


戦士ドラル。見たところ確かにかなり腕が立つ。今のヴィルドといい勝負なんじゃないかな?もちろん愛称差もあるけど。


「次に大盾使いのペルドルだ。」


「よろしくお願いします、ヴィルドさん。」


好青年といった印象だ。とてもタンクをこなすようには見えないけれど、ステータスは確かに防御系の数値が高いし、大盾を扱いなれている様子だ。


「次にシーフのエリス。」


「・・・・・・」


エリスは軽く会釈をするだけで何も言わない。機嫌が悪いわけでもなさそうだしただ無口なだけっぽいかな。ヴィルドもそれは表情と雰囲気で察してるみたい。


「最後にアーチャーのメルだ。」


「何で私がこんな奴とパーティー組まなきゃいけないのよ!」


これまで静かにしていたのに急にギルマスに突っかかりだした。おじさんと同じパーティーなのが相当嫌なんだな。


「年齢はともかくヴィルド殿は確かな実力者で勇者だぞ。その言い方はあまりにも無礼ではないか?」


ギルドマスターのそれは正論だ。ただ、それでも引き下がれないらしい。


「そんなの関係ないわ。こんな老害がいたら私たち4人の負担が増えるだけじゃない。どうせ大したことできないんでしょ。」


ヴィルドの方を見ながら嫌味ったらしくそういう。それに対して何か言おうとするギルドマスターをヴィルドが制止する。


「確かに私はおじさんだ。もし私と同じパーティーにいるのがどうしても耐えられないというなら入らなくて構わない。アーチャーがいなくてすぐに困ることはないし、嫌がっている娘を引き留める気はないよ。」


「それなら私は入らないわ。それじゃもう用は済んだでしょ。」


そういいながらメルが去っていく。無礼にもほどがあるけれど、ヴィルドの懐が広かったおかげでお咎め無しってところかな。


「すまないな。あいつは最近このギルドに所属したばかりで貴殿のことをよく知らんのだ。勇者パーティーについて話したときは飛びついてきたんだが、昨日も来ていなかったらしく勇者を若い男と思っていたらしい。代わりはどうする?こちらで探そうか?」


「いや、大丈夫です。とりあえず4人で活動してどこかで巡り合えたらその人を仲間にします。」


「そうか。本当にすまないな。それと、3人も急な相談に答えてくれてありがとうな。」


「いえ、勇者パーティーに加われるなんて光栄なことです。」


「あぁ。そうだな。こんな機会一生に一度きりだからな。」


「私はヴィルドさんに個人的な恩があるから。」


個人的な恩?なんだろう。ヴィルド本人もわかっていないような顔をしている。ギルマスは知ってるっぽいな。


「それじゃ皆さん私とパーティーを組んだことのある方もいないのでとりあえずご飯でも食べながら自己紹介と今後の方針を話しましょうか。人に聞かれるのはまずいので私の家でも大丈夫ですか?」


3人が頷く。


「それでは昼前にこちらに迎えに来ますのでそれまでは自由時間ということで。」


「食事の用意なら俺たちも手伝うぜ。」


「そうですよ。ヴィルドさんに任せるのも申し訳ない。」


「いえ、私一人で大丈夫です。私料理は得意なので期待しといてください。それに今後私の方が皆さんにお世話になることも多いと思うので。食事くらいは作らせてください。」


3人ともそういうことならと納得したらしく、一度解散した。おじさんは自分の家に戻り、食事を用意していた。

勇者になる前に露店で販売していた串焼きと野菜の串揚げの仕込み、炊飯を済ませ、そのころには昼前になっていた。

おじさんは急いでギルドに戻り、3人を家に迎えた。おじさんの家はいつ来客があってもいいように必要そうなものはすべてそろっている。6人まで座れる食卓にそこに置く椅子。食器なども多めに常備してある。


「それでは串焼きと串揚げを用意するので少し待っていてください。」


おじさんはそういうと、温めるだけの状態にしてある串焼きと、さっと上げるだけでいい串揚げを同時に調理して皿に盛って食卓まで持っていった。もちろん全員にご飯もよそって並べてある。


「あっという間ですね。とても慣れていらっしゃるんですね。」


「もともと露店を営んでいたので。さぁ、冷めないうちに召しあがってください。見た目は地味ですがおいしいですよ。」


おじさんがそういうと皆串焼きと串揚げに手を伸ばし始めた。串焼きと串揚げ、両方とも箸を使わずに食べるので一見食べ合わせが悪いように見えるが、茶碗に余裕を持たせることで串から外したおかずをご飯の上にのせて食べることができるようになっている。

おじさんがその食べ方をしていたので3人も真似しておいしそうに串焼きと串揚げを頬張っていた。

皆黙々と食べていたので少し時間が経ち、落ち着いたころにようやくヴィルドが話し始めた。


「落ち着きましたし、まずは自己紹介をしましょうか。改めまして私はヴィルド。もとは串焼きの露店を営んでいましたが今は勇者をしています。各属性の攻撃魔法とすべての回復魔法、結界魔法のすべてを無詠唱で扱うことができます。」


「無詠唱とはすげぇな。魔法の多様さについてはうわさで聞いていたが、無詠唱はさらに格が上がるな。俺は、戦士ドラルだ。最近は大剣を使ってるが斧の方が得意だ。防御も少しなら受け持つことができるぞ。」


「次は僕ですね。僕はペルドルといいます。ギルドマスターから説明のあった通り大盾使いです。僕のスキルにはパーティメンバーの攻撃を肩代わりすることができる物があるのでお役に立てると思います。」


「私はエリス。罠の解除と鍵開けが得意。AGIが高いから暗殺とかもできる。」


「みんなよろしくね。今朝も行ったけど。食事は基本私に任せてください。皆さんの負担を減らしたいというのもありますが、料理が好きなので。」


「それについては特に異論はないんだが、先に一つ聞きたいことがあるんだがいいか?」


「どうしました?」


「エリスが朝、ヴィルドに恩があるって言ってたろ?あれってどういう意味なんだ?」


「それは私ではなくエリスさんに聞いてください。正直私もピンと来てないので。」


全員の目がエリスの方を向く。するとエリスは語り始めた。

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