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第1話 おじさんにできること

おじさんはあきらめて騎士たちの戦闘訓練に交じっている。おじさんの体にはきついらしく、すぐに音を上げている。まぁ、50のおじさんの体力が無尽蔵だったら逆にひかれるだろうし当然か。

1か月ほどで身体能力の基礎を身に着け、武器は杖を持つことにしたらしい。訓練の最中で分かったのはおじさんは身体能力に関しては何も特別なものを持っていない。それどころか武器の扱いに関しては一般人以下だった。ただ、魔法を使わせてみたところ、魔法の才能がすさまじい。魔力量はそこまで多くないが、魔法適性が全属性に加えて回復魔法にまである。もはや魔法に愛されたといっても過言ではない。

王直属の魔法使いである宮廷魔法使いが見たところ、魔力の消費効率も普通よりはいいとのことで総合的にみると冒険者の魔法使いくらいの強さがあることが発覚した。

ただ、あくまでも冒険者程度であり、そこまで強いわけでもない。極めればそこそこになれるが、とても宮廷魔法使いには届かない。唯一のアドバンテージはその幅の広さだけ。使える魔法が多いということはそれだけ戦術の幅が広くなるということ。それだけは宮廷魔法使いよりもすぐれていた点だ。

それでもおじさんは魔法の詠唱を一から覚える必要があってかなり苦労していた。これまで聞いたこともないような言葉の羅列だ。そうそう覚えられるものでもないだろう。それにおじさんが覚えなければならない詠唱は火・水・地・風・光・闇の基本6属性の魔法。これがそれぞれ初級中級上級と別れて1属性につき計12個の魔法がある。つまりこれだけでも72種類。それに加えて回復魔法。これは傷を癒す魔法、状態異常を回復する魔法、浄化魔法・蘇生魔法に分かれており、それぞれに種類がある。まず、傷を癒す魔法。これは初級中級上級に分かれていて3種類。次に状態異常を回復する魔法。これは毒・麻痺・呪い・昏睡の4種類。浄化魔法と蘇生魔法はその効果の強度によって3種類ずつある。

つまり全部で85種類の魔法の詠唱と種類をセットで覚えなければならない。正直鬼畜としか言いようがない。おじさんの魔法適性が高すぎることが祟ったといっても過言ではないだろう。本来蘇生魔法を操れるのは高位の神官くらいなものだ。それこそ1国にいる人数は片手で事足りるほどだ。

それだけ魔法に愛されているおじさんが何者なのか。国家の上層部が調査をしたらしいが、家計もごく普通の一般家系で何も見つからなかったらしい。普通ではありえないほどの魔法適性。そんなことは気にも留めていないおじさんは今日も頑張って魔法の練習をしていた。各属性の上級魔法まで使うことは出来たらしい。問題は詠唱を覚えなければならないこと。それができないと正直意味がない。

おじさんもそのことは分かっているけれど、なかなかおじさんの記憶力には酷なことだ。商売を生業にしていただけあってコミュニケーション能力は高く、騎士たちとはすぐに仲良くなれたらしく、楽しそうには暮らしている。まぁ、外部から見た印象でしかないからおじさんの本当の気持ちはわからないのだけれど。

それから少しづつ覚えていき、それに応じて時間もどんどん経過した。6属性魔法を覚えたころには1年が経過しており、おじさんの魔力量も少し増えていた。確かに力が増しているので国王たちに加え、他国の上層部の者たちも見守る姿勢を見せていた。どれだけ時間がかかろうと、上層部の貴族たちにはおじさんと同じくらいの年齢の者も多い。若者に対してはきつく当たるが、自分と同じくらいの年のおじさんが勇者として頑張っているのだから外部から何か言う気にはれないのだろう。

そこからさらに半年が経過し、おじさんはようやくすべての魔法の詠唱を覚え、実践で使えるレベルにまで成長したのだった。

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