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第10話 おじさんVS魔王ゲルグランサガ

魔王城まで100メートル地点で野営をしたおじさんたちは翌日早朝から魔王城付近へ向かっていた


「念のためもう一度確認しておきます。まず私が皆さんに即死無効の支援魔法をかけ、それが終わり次第魔王城の結界を昨日と同じく【連鎖(チェインエクス)爆発(プロージョン)】を使用。ただ、【隕石投下(メテオ・フォール)】は私たちも巻き込まれかねないのでその代わりに威力の底上げをした【投石(ストーンショット)】を使います。そして結界を破壊次第、魔王の攻撃魔法に注意しながら結界範囲に突入、ドラル、エリスの2人で接近戦を仕掛けます。魔法攻撃に関しては事前に支援魔法を掛けておきますので即死はないと思って大丈夫です。そして物理攻撃が効くかどうかを見極めて私を中心に攻略するのかドラルとエリスを中心に攻略するのか、逃げるのかを決めます。あとは臨機応変に対応しましょう。私の指示には従ってください。逃げる時の指示もですが、相手の魔法についても対処方法が違ったりしますので気を付けてください。基本は喰らって回復でいいと思います。」


「僕はどうすればいいでしょうか?」


「私の守りと場合によってはドラルとエリスのサポートですね。接近戦になった時は攻撃が散るだけでもだいぶ戦いやすくなるので。」


「わかりました。ヴィルドさんも回復よろしくお願いしますよ。」


「えぇ。それでは今のうちに支援魔法を掛けておきます。この魔法は2時間持続するので十分持つと思います。即死耐性をつける方は1時間なので引き際は見極めてくださいね。それに相手がこちらの支援を解除したり貫通したりする手段があるかもしれません。それにも気を張って倒しましょう!」


「それじゃ行くか。見えてきたしな。」


「そうですね、頑張りましょう!」


「うん。」


おじさんが全員に支援魔法を掛け終え、結界へ接近後即死耐性も掛け終わった。あとは結界を破壊するだけだ。結界を壊す際の爆発に巻き込まれないように結界までの距離は約10メートル。


「【連鎖(チェインエクス)爆発(プロージョン)】」


昨日同様結界にひびが入る。寝ていたらしい魔王も起き上がっておじさんたちの姿を確認する。


「【投石(ストーンショット)】」


魔王が魔法を使用するより前におじさんの魔法が発動して作り出した岩が結界に直撃!結界は見た目以外はまだ完全に戻っておらずあっさりと崩壊した。


「【瘴気の暗黒線(デス・レーザー)】」


魔王に即死が有効だと思い込ませるために全員で回避した。おそらくこれで来るということは読んでいたようで全員が回避できたみたい。それにおじさんはMPポーションで魔力の回復まで終えた。残りのMPポーションは5本。


「また来おったか貴様ら。城を破壊して魔族を生き埋め、それでもって魔王を4対1で倒すとか本当に逃げんか?」


その気持ちはわかる。


「あいにくこちとらスキルを持たない勇者なものでね。これくらいさせてもらわないと。」


「そうか貴様が今代の勇者か。これまでの勇者より年寄りだとは聞いていたが、確かに聞いていた通りだな。」


「これまでの勇者?これまでの勇者は皆魔王を倒していると聞いていたが。」


「何を言っている?これまで我を倒せたものなど1人たりともおらぬよ。ここ1000年間我は一度たりとも死んでおらぬ。アンデッドである以上既に死んでいるようなものではあるがな。」


「そうか。民の不安をあおらないよう秘匿にしていたのか。すまない。こちらの話に巻き込んだようですね。それではいざ尋常に勝負。」


おじさんの口調が明らかに違うけどあれは虚勢を張ってるな。結界の中に入って魔王のオーラを浴びて明らかに体の動きが固くなっている。ほかの3人はそこまでないみたいだけど、それもおじさんを信頼しているからかな。


「【瘴気の暗黒線(デス・レーザー)】を見切られている以上ほかのものを使うしかないか。あと、我に物理攻撃は通じぬよ。」


ドラルの背後からの攻撃が炸裂する。だが、それは魔王ゲルグランサガの体に命中することなくすり抜けてしまう。見た目は魔法を使う系のスケルトンな癖して霊体としての特性も持っているらしい。


「どうやらそうみたいだな。」


「今度はこちらから行かせてもらおう。【即死の瘴気(デス・オーラ)】」


結界範囲内に漆黒の瘴気がまき散らされる。かなり強い即死属性を持っているみたいだ。おじさんの支援魔法はどんな即死攻撃も無効化できる代物だから意味ないけどね。


瘴気が晴れる前におじさんが魔法の発動準備をする。霊体なので物質を解した魔法はすべて無効。有効なのは魔力そのものを使うもの、もしくは神聖属性の付与された魔法くらいだろう。もちろんおじさんが選ぶのは神聖魔法だ。


「【神の領域(ゴッドフィールド)】」


おじさんの魔法発動と同時に結界範囲内の瘴気が消滅、さらにおじさんにだけすべてのステータス上昇の恩恵、魔王にはすべてのステータス減少と、死霊魔法の使用禁止のデバフが与えられた。

この魔法は神の力を借りたもの。それもこの世界で崇拝されている神ではなく、この世界の創造神のものだ。どうやったのかはわからないけれど、私の力を勝手に使っていたらしい。おそらくこの世界に満ちている魔力自体が私のものだから、その力から私の力の断片を使う魔法なんだろうけど。


「貴様、もしや領域魔法の使い手か!?」


領域魔法。それはこの世界に存在している魔法。特定以上の強さのもののみが使うことができる魔法で、自身に有利なバフの付いたフィールドを周囲に広げることができる。ただ、その範囲から出てしまえば解除されてしまうし、敵にデバフを与える場合、デバフを与えられる対象が外に出てしまうだけでも強制解除されてしまう。厄介な特性を持っている。ただ、それ以上にバフの効果が大きい。

その使い手は基本的には人間ではなく魔族に生まれる。ヴィルドが仕えるのは勇者であることと、自身の魔力ではなくこの世界の魔力を用いて私の地あkらを広げているからだ。私のお気に入りである以上ヴィルドにだけはバフがかかっているのだろう。


「これ自体は私の力ではありません。知識だけは持っていたのですが、使うなら今だと思って試してみたに過ぎないですが、この世界の創造神の力の断片だそうですよ。」


「そうか。貴様自身の力でないなら関係ないわ。【死の領域(アンデッドフィールド)】【魔王の領域(デモンフィールド)】、複合領域魔法【死霊魔王の領域(デスモンドフィールド)】」


結界範囲内から出られない以上解除させることができない。それなら上書きするといわんばかりに領域を塗り替えた。しかも2種の領域を複合させることでより効果を高めている。


「なるほど。そちらも領域魔法を習得しているということですね。」


「伊達に1000年以上生きているわけではないわ。これで我の勝ちだ。この領域、デメリットが大きいのであまり使いたくはないのだがな。」


「見たところ、自身のステータスを大幅上昇、即死魔法の効果上昇、攻撃魔法の威力上昇、魔法を自在にコントロールできるようになる。といったところですかね。」


「正解だ。さすが勇者でありながら魔法使いをしているだけはあるな。それでは勝負と行こうか。お仲間は既に戦闘不能なようだな。我の即死魔法を喰らって生きているだけすごいがな。これまでの勇者たちは即死魔法で即死だったからな。」


「そうですか。」


おじさんとドラルの間に魔王?何でこんな構図で立っているんだ?戦闘不能の仲間をかばおうとしないのか?


「【神の光線(ホーリーレイ)】」


もちろん魔王は回避行動をとる。その光はドラルに命中するが何も起こらない。


「なるほど。神聖魔法なら味方を巻き込まない。それにしても攻撃魔法と神聖魔法を両方使いこなすものを相手にするのは面倒だな。」


そんな間にもおじさんは支援魔法を発動させる。自身への支援に紛れ込ませて無詠唱、魔法の名前さえ声に出さずに発動させたみたいだね。あの魔法は気配を隠ぺいする魔法?確かに魔王に探知されづらくはなるけど、戦闘不能なら意味がないんじゃないか?


「どれだけ支援を掛けようと我の領域にいる以上貴様に勝ち目はない。貴様は即死魔法に対策を売っているようだが、それなら攻撃魔法の物量で押すまで。」


その瞬間魔王の背後からドラルの斧が横なぎに払われた。魔王も接近して攻撃をされるまで気が付かなかったらしい。それでも当たらないと余裕をもって悠然とその場に立っていた。それが悪手だった。

魔王に斧が命中し、領域ギリギリのところまで押される。すなわち結界範囲の限界。魔王はこの地に縛られているとはいえ、全く離れられないわけではない。ここを離れることにペナルティを与えられているだけ。それが地を流れる魔力を利用した魔法の原則だ。


「【魔力拘束(マジックリストレイン)】」


ヴィルドの魔法で魔王が拘束される。わずか3秒で解除されてしまったが。それだけあれば十分だ。ドラルが魔王に接近、そして斧で結界外にはじき出した。

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