水晶と蛍光灯
風に呑まれ遠くへ消えた言葉はもう忘れてしまった
錆びついた自転車のブレーキが臆病なままの僕を見た
生活感を掃いて捨てたワンルームの壁に傷をつけた
穴のあいた市営住宅のあの部屋を少し思い出した
公園で失くしたポケモンクリスタル
言い出せはしなかった あなたは叱らないから
レールの継ぎ目でリズムに乗せ電車の鼻歌は弾む
どこへだって行けると思った ふとあなたの顔が浮かんだ
鳴り止まない都会の喧騒 紛れ込むように歩いた
やっとたどり着いたと思った 満たされない胸 見ないふりした
チクチクと刺さるハンパな劣等感
ただ ごまかすように 日向をさがし続けた
あんな淡々とすり減らしたくせにこんなに恋しいのか
手を伸ばしたって届きはしない あの涙も拭えやしない
襖一枚で隔てられた蛍光灯に似た光は あれから見つかってすらいない
さがすだけ 虚しいから
初恋 幼稚園の先生 あなたの子を抱きあげた
少し湿った小さな掌が僕の指をぎゅっと握った
あの頃 いつも一緒に遊んだ友達が白血病にたおれた
「また遊ぼう」って指切りをした病室で10年を閉じた
何気ないひと言を 一生引き摺って
それでも生きていくよ あなたは笑うだろうか
あんな淡々とすり減らしたくせにこんなに眩しいのか
手を伸ばしたって届きはしない 月明りを忘れはしない
襖一枚で隔てられた蛍光灯に似た光は あれから見つかってすらいない
さがすだけ 淋しいから
https://youtu.be/cH0nw-7wd5U




