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えがおのレシピ  作者: 藤坂みやこ
3/10

第3章 初めての人

ライブ配信って人と人とのつながり。

お互い顔が見えないからこそ

湧き上がってくる想いというものが

あるのです。。。


  「浜野 智様 、、、神戸市東灘区日向陽町・・

   株式会社 インテックwebデザイン・・

   前の会社からか・・・」


  自宅のポストに届いた郵便物を確認してから

  昼ごはんを食べに街に繰り出す。

  サラリーマンでいう所の昼休み休憩時間だ。


  ライブ配信を始めて1週間がたった。

  九州に戻ってきてからはちょうど2週間になる。


  お昼ご飯に何を食べるのかを考えるのが

  最近、段々と億劫(おっくう)になってきた。 

 

  基本が、家での作業で

  顧客との取引も

  メールでのやり取りでほとんど済ませてしまう。

  電話する方が却って非効率なのだ。


  逆にネットさえつながる環境ならば

  どこでも作業、仕事ができると言えなくはない。

  でも、仕事に使うPCのスペックは

  ノートPCでは少々お高いものしか見当たらないので

  

  当面は、自宅のミドルタワーPCに頼るしかない。


  となると、必然的にそんなに遠くまでは行けない。


  もともとそこまでグルメな方ではないので

  スーパーで買ってきたキムチを

  すき家で買ってきた牛丼に載せて食べたり

  オムライスを作ってキムチを載せてみたり


  ・・・ん?これキムチ載せる必要あるかなぁ?

  でも載せて食べてるし。


  食事で何を食べるのかを考えなきゃならない・・・

  

  とにかく食事にキムチが必要なように

  配信の方も、少しずつではあるが

  盛り上がるようになってきた。

 

  なんか、違うな。


  そう、マイクが必要になってきたのだ。


  だいぶ違った。。。


  少しでもいい音質で聞いてもらいたいかな。


  でも、自分ではどういう風に聞こえているかは

  録画・録音しておかないとわからないし

  ましてや他の人にどう聞こえているかはわからない。


  とりあえずは、マイクだ。

  

  他の人の配信にも少しずつ顔を出すように

  なった。


  最初は、そんな気はあまりなかったのだけれども

  やはり来てくれる人がライバーだったりすると

  どんな配信をされているのかが気になる。

  あとは、お礼の意味合いも込めて。


  そんな折、見かけるのは

  家で配信をしていても

  それなりに見栄えのする

  音質もそこそこいいマイクを

  使って配信をしている人が

  意外と多いということだった。

 

  そしてその方が圧倒的に聞き取りやすい。

  リバーブもかかってた方が

  音楽配信は迫力が出る。

  音色が柔らかくなるのだ。


  姉が推しているJINさんの配信も

  その後行ってみたが、やはり

  そこそこいいマイクと

  サウンドミキサーがちらっと映っていた。

 

  その日の夜の配信後に、姉からLINEが入った。

  

  由里「あんたー配信始めたんだね?」


  智「なんで知ってるん??」


  由里「あたしのアカウント知ってる??」


  智「そういえば覚えてない」


  由里「だろうねー。あたしのIDは

   yuriko(鍵盤)(テニスボール)0407(にゃんこ)

   だもん。」


  智「あっ!その人!今日来てた!!」


  由里「だーかーらー!あたしなんだってば!」

  

  智「そうだったのか((」



  ~~配信中の回想~~


  ぎたろー「ありがとうございました、ZARDの

  PRIDE、でしたっ♪」


  yuriko0407「(拍手)(拍手)(拍手)」


  ぎたろー「ゆりこちゃ~ん♪ありがとぉー♪

  どちらから来てくれたのかなぁ?」


  yuriko0407「JINさんの枠からです♪」


  ぎたろー「ああー♪JINさんすごいですものねぇ♪

  あんな風にみんなに聞いてもらえる枠目指してまぁす!

  よろしくね♪」


  yuriko0407「頑張ってねー」


  ~~~~


  まぁバンドやってた時から聞いてもらってるから


  恥ずかしいとか、そういう気持ちはないけれども。



  智「来てくれて、ありがとう」


  由里「また聞かせてねぇー(はーと)」


  智「姉だってことは黙っといてよ???」


  由里「もちろんっ♪でも、枠内では、今日みたいな

  感じで頼むよー??」


  智「・・・」


  姉に垢バレしてしまった。。

  JINさんの枠では、ギフトを投げてみた。

  もちろん無課金だが。。


  それをJINさんが拾ってくれて、

  俺が配信していることをプロフィールから

  察知して、枠内で宣伝してくれたのだった。


  こういう宣伝は非常にありがたかった。

  ライバーレベルというステータスがあるのだが、

  それが低いから、ライブ配信を始めたばかりだという事も

  他人から見ても、わかりやすいのだろう。

  


  ------〇------


  次の日、


  配信をつけると、

  すぐにインしてくれたアカウントがあった。


  kodama3321 さんだった。。



  ぎたろー「こだまぁーん♪いらっしゃーい!」


  (確か、こだまでいいよ、って言ってたよな・・)


  kodama3321「お久しぶり!」


  ぎたろー「今日も、ゆっくりしていってねぇ

  こだまは、ぎたろー枠の最初の配信に来てくれた

  大切なリスナーさんだからね♪」


  緊張もした。

  

  柄にもない言葉を言った。

  

  でも、これは言っておきたかった。


  それだけ大切なリスナーさんだと思ったから。


  また来てくれたから。


  少しでも、俺の配信枠に居て欲しい。


  そう、思ったから。   

 

  kodama3321「聞きたい曲があるの」


  まじか!


  ぎたろー「はい、何をお聞きになりたいですか?」


  できる曲にも限りはある。


  少しでも配信で弾ける曲を増やせるように


  TAB譜(ギターの譜面)は曲の数だけあったが

  ないと、どうしよう。。


 コメント欄に緊張が走る。。。


  kodama3321「こないだ弾いてくれたやつ、

  あれを、もっかい聞きたいの。」


  ああ、、、、soulか。


  よかった、できる。。


  が、エネルギーチャージが必要なように


  この曲は、テンション、つまり、乗ってないと本気では

  歌えない。


  それくらい、熱い曲なのだけれども。


  他でもない、


  こだまが望むのなら・・・


  俺は歌おう。


  心の(おもむ)くままに。



  ぎたろー「わかりました!じゃあ準備するからちょっと

  待っててね」


  「kodama3321が、応援(1)を送りました」


  あ、読まなきゃ

 

  ぎたろー「こだま♪応援ありがとう♪」


  kodama3321「応援してるよーマジで」


  おおっと(汗


  譜面をめくっている手がタブレット端末を


  ひっぱたいてしまうくらい焦った。


  ゴンっという音が


  配信に入ってしまった。。


  ぎたろー「あー入っちゃった、失礼しましたー」


  落ち着け、落ち着け・・


  歌詞、譜面、、


  この曲を書いた当時は、誰の・・・


  なんて、全く当てがなかったわけではなかったが


  現実世界ではない


  情熱の世界の自分が


  いつかこんな、


  全身が燃えるような恋をして


  一生傍にいて欲しいような人に捧ぐ


  、、、そんなつもりで書いていたのに


  結局、歌詞の中の自分だけが


  架空の恋に燃えていた。


  だけど今は、


  そんな人が


  目の前にいるような気がする。


  こだまは、そんな人に


  なってくれるのかもしれない・・・?


  今、目の前で弾こうととしているこの曲は


  俺の


  今、目の前で、


  現実になるかもしれない・・・



  なったら、いいなぁ。。。


  それは、なんて言うんだ?


  ・・・恋なのか?


  軽い言葉ではないと思う。



  恋をする。



  大切な人を見つけるという事。


  俺は、こだまの何を知ってる?


 

  名前?



  顔すら知らないじゃないか。


  好みのタイプなのかどうかすらわからない。


  でも、そんなこと関係ないと思えるほど


  この人は、


  俺の書いた歌を


  もう一度聞きたいと、


  ここ(18)にやってきてくれた。


  もう、それだけでも


  十分に


  大切な人だと


  思ってもいい


  足がかりなんじゃないだろうか。



  もし、好きなものが同じだったら


  嬉しいかな。


  ----v----


  熱い思いを込めて歌った。


  むしろ熱くないと


  歌えないな、この曲は。。。


   kodama3321「(拍手)(拍手)(拍手)」


  ぎたろー「ありがとうございました!

  オリジナルソングで、ソウルでした♪」


  その瞬間、

 

  画面が一瞬白くなったと思ったら・・・


  何やらピンク色のハートやらがふわっと飛んできて


  アプリの配信キャラ(ボーヤと言うらしい)


  が3Dで雲に乗ってビューンと飛んでいくエフェクト

  

  が流れて、、


  最後にハートがいっぱい降ってきた。


  この間わずか3秒ほど。


  何が起こったのか、一瞬わからなかったが


  何やら、ギフトが飛んだらしいことは


  ギリギリ理解できた。


  ぎたろー「わぁーーーーーーい、貴重なギフト、ありがとう♪」

  

  ギフトにも、大なり小なり、

  

  コイン数の大小、


  つまりお金でいう所の値段が存在する。


  その金額を見て、一瞬目がおかしくなったのかと思った。


  

  「kodama3321が、天使のハート(25000)を送りました」


  貴重、とは自分で言ったものの、、、


  こんなに大きなギフトは自分で送ったことなどもとより


  誰かに送られているのを見たことすら、


  せいぜい人気ライバーの枠で飛んでいるのをみたことが


  あるだけだった。。。


  同じものだったかどうかはわからないけれど。


  それくらい、大きなギフトだったのだ。



  ぎたろー「ここここここここだまタン?!?!?!」


  kodama3321「また、聞かせてね。」


  kodama3321「素敵な、ギターやね!」


  頭の中は、結構真っ白になっていた。


  まるで、太陽に照らされた日差しの中にいるように。


  外は真っ暗な時間帯だったが、


  心の中は、真っ白に


  照らされていた。


  こだまは、どんな人なんだろう。


  どんな顔をしているんだろう。


  ----------------〇---------------〇--------------



  ミュージックライバーなんて、星の数ほどいるし。


  イケメンの雑談ライバーだって、星の数ほどおる。


  

  やのに、なんでやろ。


  ギターの音色ってやつは不思議だ。


  思い出さないように・・


  なんで思い出さへんようにしようとするん?

   

  ええやん、別に思い出したって・・


  それは、私の素直な気持ち?


  ・・これが、私の気持ちなの?

 

  それは、もう一回、、

  

  あの枠に行って


  確かめてみたらいいんじゃない・・


  恥ずかしい。。


  でも、聞きたいでしょ?


  あの歌を、


  もう一度・・・


  

  いつ始まるんだ・・・


  フォローはしてる。

  

  プロフには書いてない。


  待つしかない・・


  他の枠を巡りながらでもいい・・か?


  いや、だめ。


  いつ始まるかわからない。


  inした枠ではフル応援する、


  たいていの人がそうしてる18アプリで


  中途半端に見るくらいやったら、


  待ってた方が数倍マシだと思えた。



  電車の中でも、


  家に帰ってからも、


  18アプリは開いて、掲示板やチャットは見ても


  配信枠にだけはどこにも入らなかった。


  

  ただ、ひたすら待った。。


  そして、、、


  20時ちょうど。


  こだま「来た!!!」


  ぎたろー、、

  

  の枠が・・


  出てきた!!!


  ぎたろー「こだまぁーん♪いらっしゃーい!」


  この言葉のギャップ。


  どうしてこのルパン三世みたいな


  ふにゃっと緩い声が、


  この声が、、、


  どうしてあのギターにすごくよく合う


  凛としてピシっとしているのに

 

  どこか甘い声に変わるんだ、、、


  謎でしかない。



  kodama3321「お久しぶり!」


  ぎたろー「今日も、ゆっくりしていってねぇ

  こだまは、ぎたろー枠の最初の配信に来てくれた

  大切なリスナーさんだからね♪」


  ・・・


  大切なの?


  私が?


  何それ・・・


  すごくうれしいんだけど・・・


  最初に来ただけじゃん。


  まだ、1回しか来てないのに?


  でも、大切なんだよね?


  じゃあ、この願いも


  聞いてくれるよね?

 

  kodama3321「聞きたい曲があるの」


  ぎたろー「はい、何をお聞きになりたいですか?」


  よかった、多分、大丈夫そう。  


  kodama3321「こないだ弾いてくれたやつ、

  あれを、もっかい聞きたいの。」


  ドキドキする。


  これを聞くために、


  生きてきた気さえするくらいに


  胸がドキドキする。


  弾いてくれるよね・・・?


  ぎたろー「わかりました!じゃあ準備するからちょっと

  待っててね」



  よかった、、


  ここで、やっぱりダメでしたとか言ったら


  もう、応援してやんないぞ・・・?


  あ、応援、、、送るの、忘れてた・・


  「kodama3321が、応援(1)を送りました」

 

  ぎたろー「こだま♪応援ありがとう♪」


  そうだ、私はこの人の大切な人なんだろ?


  じゃあ、こっちも全力で応援してやるっ!


  kodama3321「応援してるよーマジで」


  ・・しまった、、「!」マークを


  書き忘れたまま送信してしまった。。


  なんだか、冷たいメッセージに見えないかな??


  そんなつもりじゃないのにっ(汗


  スマホのアホーー!!


  なんかニュアンスが違う・・・


  ぎたろー「それではお聞きください!

  オリジナルソングで、ソウル!」

  

  ・・・そして、曲が始まった。


  胸を焦がす言葉。


  そんな言葉自体が安っぽいなんて


  思っていたけれど


  使い古された歌詞のような言葉は


  先人たちの素直な気持ちだったのかもしれない。


  ひとつひとつのメロディー


  そして、歌詞が


  胸に熱く突き刺さってくる。


  

  

  kodama3321「(拍手)(拍手)(拍手)」


  ぎたろー「ありがとうございました!

  オリジナルソングで、ソウルでした♪」


  こんな素敵な曲が


  この世にあったなんて。。


  信じられない。


  もうひとつ、信じられないことが起こった。


  月初めだったから、


  1か月分の課金して、潤沢だったはずの


  私のコインが、、、


  「kodama3321が、天使のハート(25000)を送りました」



  あああああれあれあれ????


  ぎたろー「わぁーーーーーーい、貴重なギフト、ありがとう♪」

  

  いや、いや、、


  確かに、何か大きなギフトを送りたいなとは


  思ってみてたんだけど。。


  ああああああああ!!!!!


  私の1か月分のコイン返してええええええ!!!!(泣


  

  ぎたろー「ここここここここだまタン?!?!?!」


  ようやく、ぎたろーも


  このギフトのヤバさに気が付いたみたいだった。


  まぁ、、、いっか。。


  コインなんかじゃ


  足りないくらいの


  素敵なドキドキを


  くれた。

  

  それに、報いる、という意味でも(泣


  しばらく、またスーパーのもやしが友達になりそうだ(泣

  

  考えてもコインが戻ってくるわけじゃない。


  自分の投げたコインが見られるギフトボード。


  そこに燦燦と輝く、kodama3321のアイコン。


  そんな見栄みたいなこと


  本当はどうでもいいのだけれど、


  今日だけは、ちょっと誇らしかった。


  

  kodama3321「また、聞かせてね。」


  

  それだけじゃ、なんか言い足りないな・・



  kodama3321「素敵な、ギターやね!」

  

  

  てか、相変わらずの


  ギターと身体しか映ってない配信。


  ぎたろーは、どんな顔してるんや・・・


  気になるやろ、アホ・・


  前も言ったような気がする、、、


  言ってないか?

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