プロローグ1 「魔術師の秘密」
この世界には古の時代から『魔術』と呼ばれるものが存在する。
魔術は基本的に火、水、風、土の4属性存在するが、ごく稀に、光、闇、無の3属性を使える人間がいる。
その確率は百万分の一以下だと言われており、使える人間に会えたのなら幸運だろう。
そのような魔術を扱う人間たちは俗に『魔術師』『魔法使い』『魔女』などと呼ばれ、魔術師を尊敬する人間もいれば妬んだり嫌ったりする人間もいる。
私はそんな人間共を何度も見てきた。
例を挙げるとすれば、魔術師一人を百人の人間で襲いかかり魔術師を殺したり、魔術師を尊敬していた人間が魔術師にリンチされ殺されるなどだ。
私は、魔術とは人を殺す道具ではないと思っているのだがやはり、現実は違うらしい。
そのような事を考えていると、
「お嬢ちゃ〜ん、俺たちと遊ぼうよ」
と、言いながらいかにも危険な匂いがプンプンする見た目の男たちが私の元へと寄ってきた。
どうせこいつらも魔術師なのだろう。
こんな真夜中に外を出歩くやつは馬鹿か魔術師か自分を強いと思いこんでる可哀想な奴くらいだろう。
その中で一番確率が高いすれば魔術師だ。
つまり、こいつらは魔術師という事になる。
「お嬢ちゃん、お兄さん達の話聞いてるかな〜?」
「いいえ、まったく」
こいつらのような奴には適当な態度をとって逃げるのが手っ取り早い。
だから素っ気ない態度をとることにした。
「聞こえてんじゃん! 嘘は良くないぞ〜! お兄さんの魔術がお嬢ちゃんに飛んでくぞ〜?」
「ご勝手にどうぞ」
「もしかして、お嬢ちゃんも魔術使えるのかな〜?」
「そうかもしれないですね」
そんな会話をしていると、周りにいた男たちが私に腹を立てたのか突然、魔術を放つ姿勢に入る。
それを私は見逃さずに次々と男たちの懐に入り、思いっきり腹を殴る。
すると、男たちは腹を抱えながら抱え込んだ。
「えぇ……」
と、私に話しかけてきた男は驚いていた。
「どうかしましたか?」
「え、いや、その……」
「そんな座り込んで何に怯えているんですか?」
と、私はニヤリと笑みを浮かべながら問う。
「すみませんでしたー!」
笑みを見た男は涙目になりながら走り去っていった。
このような奴らが生まれるから魔術というものは危険なのだ。
強大な力は人を狂わせ、その果てに人を飲み込む。
魔術はそのように出来ている。
私は思わず、
「……魔術師、辞めようかな……」
と、言葉を零す。
私はこれでも魔術師の中では最強と呼ばれる存在であるがため、そう易々と魔術師を辞めるわけにはいかないのだ。
だが、最近の魔術師の様子を見ていると段々と魔術師でいたくないという欲が強くなっていく。
だから、こんな夜道をただ一人考えながら歩いているのだ。
どうするのが正解なのか、という事を……
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