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激怒

 隣国から戻ってきた宰相ハインリッヒがホルストから聞いた事実は彼いやフラマン王国にとって惨事以外のなにものでもなかった。


 「おい! てめえが考えたんだろ! こうしてやる! 陛下にも危害を加えたんだろ」


 ハインリッヒの手には護身用の鞭が握られ怒りの鉄槌を振るっていた。温和で知られている彼がやるとは、周囲の者も唖然とするしかなかった。


 「やめてください! 宰相閣下だっていっていたでしょ! あの娘キャサリンの処遇は難儀だと! これで解決じゃないじゃないですか」


 ホルストはそう言い訳し鞭の攻撃をかわそうとして躓いてしまい、ますます苛烈に鞭うたれていた。ホルストが着ていた上等な服は無残にも切り刻まれたような跡が次々と生じた。そして切れ目から血が滲みだしやがては噴き上げるようになった。


 「たしかにそういったが、それは王太子の関心が向かないことだ! 一度婚約した、でも必要がなくなったし男の方が前向きじゃないから婚約解消しました! そして始末しました! なんてなったら我が国の評判が落ちるぞ。お前ってやつは!」


 そういうと、今度は宰相執務室に置かれていた太い槍の柄でホルストを殴りだした。ホルストは頭から血が噴き出すほど殴られたところでようやく室内にいた者に止められたが、すでにホルストは息も絶え絶えだった。


 「おやめください! 死んでしまいます!」


 「死んだってかまわないぞ! どうせ処刑は免れないからな! ここで死んだ方がマシかもしれないかもな、ホルスト。お前のような男はまさに逆臣だな!」


 ハインリッヒの肩は近衛兵二人かかりで抑えられたが、肩で息をしているような状態だった。それでも急いでやらないとならぬことがあった、


 「早く刑場に近衛兵を向かわせろ! キャサリン様の刑の執行を止めさせろ! それとあのバカ息子、いや王太子殿下を拘束しろ! 緊急事態だ! とにかく急げ!」


 ハインリッヒは大慌てで指示を与えたところで半殺しになったホルストは部屋から追い出したが、その直後から官憲による厳しい取り調べが行われた。


 「ふー、どうしたものかな。陛下の容態はどうだ? とりあえず閣議の招集と関係各国に事の次第を伝達させろ。王太子は・・・ほっとけ!」


 ハインリッヒはホルストから奪い返した宰相の椅子に深々と腰掛けて天を仰いでいた。

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