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慚愧

 ハインリッヒは黙々と業務をこなしていた。フラマン王国の葬儀委員長のように。問題なく国土を三分割し割譲させるのと同時に、帝国領内に新設される「フラマン公爵領」の準備だ。前者は従来の統治体制を構築しなおして、後者は「次期国王」および「公爵家当主」になるハンスに関する事だ。


 「帝国領内のうち、マジョリティ州とダリス州から12郡となるとの内示がありました」


 地図と地勢報告書を渡されたハインリッヒは愕然とした。


 「いまの十分の一ぐらいしかない! これでは残っている貴族を養う事は出来ぬ!」


 フラマン王国傘下の貴族の三分の二は滅亡するか除籍されたが。まだ10家程度残っていた。全て今まで通りに主従関係を継続できないのは覚悟していたが、それでは半分程度しか無理だった。もし全て継続したら旧王家の取り分は無くなってしまう。とりあえず、意向を確認する事にした。出来れば全部辞退してほしいところであった。


 「仕方ありません。それに公爵領の政庁ですが、めぼしい城塞もないので帝国政府が提示した候補地から選んでほしいとのことです」


 提示された候補はどれも見ずぼらしい物件ばかりであった。そもそも帝国の行政区は州に分割されたうえで、各貴族に割り振られているのだが、その二つの州は政府直轄領で、めぼしい産業といえば農業ぐらいで、人口の集積地など存在しなかった。


 「しかたないなあ、ダリス州のムンクに設置しよう。そこは・・・文句をいってもしかたないな。とりあえず先発隊を派遣するように」


 ハインリッヒは疲れ切っていた。今こうしていても自分自身は罷免が決まっていたからだ。王国最期の宰相兼摂政として運命を共にしなければならないからだ。

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