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廃嫡

 フラマン王国の国王はヴィルヘルムの父が在位しており、子息は一人しかいなかった。それで相当甘やかしてしまったのが今回の危機を招いてしまった原因であった。息子が真実の愛を探して女と逢瀬を重ねていると耳にしても、結婚すれば治るだろうとしか思っていなかった。それに正妻がいても側妃という名の愛人だって囲うことだってできたはずだった。だから、あまり顧みられることはなかった。


 そんな国王は半年前から王妃とともに体調を崩して死の床にいた。原因はホルストが食事に微量の砒素を混入していたためであった。ただちに王宮内のホルスト派は粛清されていった、しかし、それは王宮だけでなく王国政府の機能をも麻痺させてしまった。それだけホルスト派は多数派を形成していた。


 「宰相閣下! とらえられる者が多すぎて監獄がたりません! どうしますか?」


 ハインリッヒはこう言い放った。


 「構わん! 貴族専用の牢獄に平民でも入れろ!」


 それには法務官吏がひるんでしまった。そこにはヴィルヘルムとジェーンがいたからだ・


 「ですが・・・王太子とフォレスタル公爵令嬢が入っていますが!」


 「それじゃあ、地下牢に二人をぶち込んでしまえ! 二人が害悪の源なんだから」


 「はい!」


 こうして二人は地下牢へぶち込まれてしまった。そこは脱獄の心配はないが、確定死刑囚がぶち込まれるところであった。


 「宰相閣下! 国王陛下のご容体はいかに?」


 副宰相のオットー・リンツは不安そうに尋ねた。


 「帝国から派遣されてきた医師の診察によれば、全快はもはや望めないそうだ。病死を装うために買収した料理人が食事に微量ずつまぜていたそうだが、最も多く摂取したのは砂糖だそうだ。あのバカ息子がホルストからもらった豪華な砂糖壺に砒素が入っていたそうだ」


 この時点でホルストの処刑は決定事項だった。あと問題になるのはその他の者たちだった。そしてヴィルヘルムの処遇も。


 「全快は望めないですか・・・とりあえずやらないといけないことがあります。国王陛下に万が一のことがあればですが、次の国王を決めなければならないですよね?」


 「それであるが、国王陛下がわたしに一任されている。あまりにもショックがひどくて真面な判断が出来ないそうだ。だからわたしに全権委任状を出していただいた。それでまずあのバカ息子の王太子であるが、廃嫡だ」


 「は、廃嫡、ですか?」


 「そうだ! そもそもあいつが婚約破棄してキャサリン様を殺そうとしたのが、原因だからな。でも手遅れだな。国王陛下はこの200年続いたフラマン王国最後の国王になるのは間違いないな」


 「最後! なんでですか?」


 オットーは思わず声をあげた。


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