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危機

 馬車は異常に遅く進むため、夜明け前に到着するはずなのに、夜が明けても、まだまだ北の刑場に到着しなかった。御者は「牛歩戦術」を実行していた。しかし途中で王太子一派のホルストの部下がしびれを切らせて迎えに来てしまった。その時、どこかに雲隠れする事は出来なくなった。


 「早うしろ!」


 「へい、馬の調子が悪くて、まだ寝ぼけているんでしょうかね?」


 「目ぼけているのはお前だろ! トロトロしやがったらお前の頭と胴体を泣き別れさせてもいいんだぞ!」


 「へい・・・」


 それで仕方なく少しだけ早くしたが、それではついてしまう! 御者は焦っていたが見透かされると自分も殺されるため、身が削られる重いわしていた。そしてついに刑場についてしまった。


 ホルストがキャサリンを王宮で殺害しなかったのは、あとで一応法的手続きで処刑したことにするためだった。フラマン王国では処刑が出来るのは決められた刑場だけで、一種の職業であるといえる死刑執行人が執り行うことになっていた、。しかし、ここでもホルスト派はしくじっていた。死刑執行人を確保できなかったのだ。あまりにも早急にヴィルヘルムがキャサリンの処刑を決めたからだ。計画遂行は杜撰なものであった。


 それでもキャサリンをどこかで殺したら罰せられるので、ヴィルヘルムが国王に就任してから遡及して合法的に極刑にしたことが出来るように、わざわざこのようにしたのであった。まさに錦の御旗に保護されるようにしようとしていたわけだ。


 「遅いだろ! 早くしろ!」


 ホルスト一派たちは北の刑場に集結していた。ホルストはゴロツキや無法者を多数雇い入れていた、全てヴィルヘルムが実権を握ったら多額の報酬を与えると約束していた。


 馬車からキャサリンを引きずり下ろすと、刑場の中央につれていった。そこで死刑が執行される場所であった。フラマン王国では絞首刑と斬首刑による極刑が決められていたが、国家反逆罪は四肢割きという残酷な刑罰が規定されていた。もっとも、実際に実行されたのは長い事なかった。


 「さあ! お前! さっさと女になれ!」


 法的な死刑執行人がいないこの場所でホルストの一味が実行しようとした儀式があった。そうキャサリンの貞操を奪うことである。

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