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stringere  作者: 汐音真希
23/23

夢と望美

ああ~。


気がついたらおもっくそ放置してました・・




    気持ち悪い。



   あんなのが



 





「夢・・・?」

後ろから望美の声が聞こえる。


きっと自分を追いかけてきたんだろう。


屋上の風に髪の毛を遊ばせながら振り向く。


望美の髪も風に揺れていた。


「いきなり教室から出て行くから・・もう授業始まってるよ・・?」


「うん・・・そうだよね・・・」



夢は動く気配がない。



望美も夢の隣に立った。


「私はここの風がすき。」



「・・・・・?」


いきなり言い出す望美を夢は不思議そうにみつめる。



「春と猫と、たらこすぱがすき。」


「望美?」


「・・・・・夢は、教えてくれない。こんなこと夢はとっくに知ってるよね?

私のことを夢は沢山しってる。でも。私は夢の事・・・知らない。」



あの時から・・・




初めて話したあの時から。

夢は自分のことは話さなかった。



望美の話を夢は黙って聞くだけだった。


「私が困ってるとき。夢は何もいわないで傍にいて助けてくれる。支えてくれる。」


「・・・・それは・・・友達だもん。」


「友達で、私のこと理解してるから。」



「うん・・・」



「でも私はそれができない。夢を知らないから、夢が泣いてるとき。困ってるとき。

どうすればいいかわからない。お兄さんが倒れたときだって

私は、怖かったよ。夢のこと余計に傷つけちゃうんじゃないかって。

それぐらい、夢の泣き顔が珍しいっていうか・・・・。夢にはまだ私の知らない部分があるな~って

思った。」


「望美・・・?」


「最近なんとなくわかる。夢は恋してる。」


「!!」


「私も恋してる」


「うん・・・・」


「それでもって夢は悩んでる。」


「・・・・・」


「怒ってる・・・?あきれてる・・・?そういうのじゃない・・・なんか・・・」









         自分を否定してる・・・・





自分を否定してる・・・・正しいのかも知れない。

夢は思った。



「それだけ。なんとなく思ったの。でも私はどうすればいいかわからない。

・・・どうすればいい?」



「・・・・・」


「夢の心の闇を、私は払う事ができる?」



払いたい。親友の心の闇。


私にはできることがある?



夢・・・。




「傍にいて。私の話を聞いて。」


「うん。」



「ありがとう・・・」



そういってゆっくり夢は話し出す。









私は自分の父親の顔を覚えてない。

でも本当の父親はすごく優しくて暖かかった気がする。


親が離婚して、新しいお父さんができて。


でも自分は違うって。



新しいお父さんとは家族にはなれない。




やっぱり赤の他人なんだって思った。




知らないおじさんがお母さんと一緒にいて。

一緒に暮して。


でもお父さんじゃない。




気持ち悪い。




気持ち悪くて怖い。



でもお母さんは私のことを考えないで、お父さんを変えていく。

そのたびに気持ち悪い。


なんでこんないやな思いしないといけないんだろうって。

自分は生まれてきちゃいけなかったのかって。

そう思った。


つい最近分かれたおじさん。


何人目だったかな。


おじさんに首・・・触られたことがあった。



気持ち悪い顔で、気持ち悪い声で。


「お母さんには内緒だよっ。」


って、気持ち悪かった。



気持ち悪くてすぐ逃げた。


公園の水道で、服が濡れるのもかまわないで首を洗ったけど。

いまだにおじさんの手の感触がこびりついたみたいに残ってて。


気持ち悪い。



それで・・・・和の家にいった。


沢山のお父さんの中で、和のお父さんだけは、私を子供のようにしてくれて。

お兄ちゃんも優しくて楽しかったから。


お父さんは死んじゃってた、和だけが東京で、今の家に住んでた。


私もそこで住むことにしたんだ。


笑顔で迎えてくれた和は、暖かくって。昔のお父さんにそっくりだった。

自分の居場所ができてうれしかった。




「それで・・・今の家に・・・・か・・・」



「うん。」



そこまで聞いて望美はため息をつく。



「わかってるよ。初めに家族に疎外感を勝手に感じたのは自分。

私が勝手に家族じゃないっていったの。」


「・・・」


「だけど・・だめだった・・・・」


「私が夢だったら同じだったと思う。

新しいお父さんなんてすぐなじめないよ。それに年頃になったら気持ち悪く思うだろうし・・」


「・・・・・」


「ごめん。わかったような口きいて」


「いいの。ありがとう、すこしすっきりした。」



「・・・うん。」



「ありがとう。」



「私・・決めたよ。」


「ん?」



「夢は夢のままでいいもの。今のままでいい。私は無理に知ろうとしない。」


「望美・・・?」


「夢がじっくり、自分のことを教えてくれればいい。私はそれを全部受け止めるから。」




だから・・・と夢をまっすぐ見つめる。



「行き場のなくなった鬱憤とは不安は私にぶつけて。夢の感情と一緒に私が受け止めるよ。」



「うんっ・・・!」


夢はうなづくと望美に抱きついて泣いた。







汚れたように思えた過去も、君に話せば薄れていく。






ありがとう。


あはは・・・もう・・・おほほ・・・

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