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stringere  作者: 汐音真希
20/23

兄弟

設定どんどん沸いてくるが・・・!

ノープランだ!←

今回更新ずいぶん遅れましたね〜!

夏休み中に一回あげたくらいかな〜

お待たせしました〜!


―天祢組組長、中間和春さん。

俺にもっと教えてよ。あんたの病気のこと―









「・・・・雅輝おせぇな〜・・・」


そうつぶやくと尚は部屋から出て階段を下りる。

猫をリビングにいる他の猫たちの場所に返してから


トイレへと向かおうとした。


「・・・!?」


「あっ、尚。」


「雅輝!お前・・なにやってんだよ。そこ和さんの部屋じゃねぇかよ!」


「え〜?あ〜・・・トイレわかんなくて聞いてたの」


「・・・・」


「だから尚怖いって!そんなに睨まないでよ!」


「・・・・トイレはすんだのか?」


「ん?うん。」


「そうか・・じゃあ部屋もどれ。」


「はいはい。」



雅輝が階段を上がっていったのを確認すると、

尚は和春の部屋の扉をたたいた。


「和さん?お騒がせしました。すいません。」


「・・・・・」


「和さん?」


扉越しから和春の声は聞こえなかった。


「入りますよ。」


寝てるかな?そう思いながらも扉をゆっくり開ける。


そこにはベッドに腰を下ろす和春の姿があった。


「和さん。雅輝になんかいわれたんですか?」


「・・・いや。尚。」


「はい?」


「雅輝くんはなんか仕事してるの?」


「いや。高校生ですよ?夢と同い年ですし。」


「・・・そうか。」


「あっ!そだよ!高校!」


「?」


「あいつ高校どうしたんだよ!」


「・・・・・・尚?」


「あっすいません。」


「・・・・そういえばさ。」


「はい?」


「とりあえずちょい座って。」


「はい」


和春に座るようにいわれ、尚も隣に腰を下ろした。


「なんですか?」


「さっき。何を言おうとしたの?」


「え??」


「雅輝くんがくる前。」


「・・・・あ〜・・・・いいえ。なんでもないんです。」


「・・・そうか・・・」


少し腑に落ちないという顔はしていた。


だが、和春も尚もそれ以上話を進めようとはしなかった。



「「・・・・」」



「・・・じゃあ俺・・もう寝ますね。」


「そうだね。お休み。」


「お休みなさい。」



尚が出て行って階段を上がる音がする。


その音が聞こえなくなると和春はため息をついた。


「・・・あいつ・・何なんだ・・・」



なぜ、尚の弟が、自分の正体をしっているのか。

なぜ病気だとわかったのか。

もしかしたら、尚の弟も、ヤクザにかかわっているのではないか。

そんなことをずっと考えていた。




階段を上って自分の部屋へ入る。

そこには、雅輝が布団を引いてその上に寝転がっていた。


「寝るなよ。」


そんな弟の腹を足で軽く踏むと雅輝は苦しそうな声を出す。


「そんなに強くけってねぇだろ。」


「そ〜ですね〜。」


「ったく・・つかお前・・・学校どうした。」


「・・・・休学届けだした!」


「・・・馬鹿じゃねぇの?」


「なんで!」


「何しにきたんだよ。」


「それは〜・・・」


「・・・・」


「尚に会いに♪」


「・・・帰れ。」


「ひっどっ!」



「とりあえず。明日には帰れよ。響さんも心配してんだろ。」


「いや、響さんはOKしてくれた。」


「なんで!」


「さぁ?」


「・・・・・・あの人・・・」


「あっね〜。つか。布団一枚なの?」


「お前床で寝れば?」


「尚ひどい!」


「はいはい。俺が床で寝るよ!馬鹿」


「え。一緒に寝るとかないの〜?せっかく兄弟水入らずなのに。」


「ない!そんなのない!いらない!」


「傷つくわ〜・・・」


自分に背を向けて寝転がる兄に雅輝は微笑んだ。

自分の兄は少し意地っ張りな部分がある。

それとも本当に自分のことを嫌っているのだろうか。

あの事件がきっかけで・・・



昔から、兄のことが大好きだった。

でも、兄は俺のことが嫌いだった。

決して弟とは言ってくれなかった。

決してやさしくしてくれなかった。


お兄ちゃんと話したくて。近寄っても近寄った分だけ離れていく。


もの心ついたときからそうだった。


俺には自慢の兄だったのに。

お父さんとお母さんはどうしてそんなにお兄ちゃんを怒るの?

お兄ちゃんは悪い子なの?

僕は?

僕はいい子?


そんなことを親に聞きたくても聞けなくて。

兄を叱る両親をそれに涙を流すことなく、だたひたすら両親を睨み返す兄。


それを俺は黙ってみていた。


―お兄ちゃん・・・絆創膏はろう?―


父につけられた腕の傷。


母はその隣でないていた。


2人とも気づいている。


兄が悪いんじゃない。

兄に自分の不満をぶつけてるだけ。


兄がそれを全部受け止めるから俺が無事なだけ。


兄の腕から血が流れていた。

兄は痛みに顔をゆがめながらも涙を流すことなく、じっと

どこか一点を睨んでいた。


―おにいちゃん・・・・―


俺はそんな兄を。お兄ちゃんを助けたいと思った。


でも俺は無力だ。

非力だ。


兄はそれから親と親と呼ばず、家に帰ってくることも少なくなった。




16歳の夏、何ヶ月ぶりだろうか、兄が家に帰ってきた。


「兄ちゃん!!」


「・・・・・」


駆け寄っても兄は俺の横をすり抜ける。


―どうして―



―どうして俺を認めてくれない?どうして俺を嫌う?―


袖をまくった時に見え隠れする昔の腕の傷。


その上にはなぜか黒いものが見えた。


「兄ちゃん・・・それ・・・」


「・・・・・・・・」


なにをいっても兄は黙ったまま。


どう見ても刺青にしか見えない。


母もそれをみて絶句した。


父も拳を握りしめた。


その拳が兄に当たりそうになったとき。

考えるより体が動いた。


初めて人に殴られた。

痛い。痛い。

涙が出る


兄は小さいころからこんなことを涙も流さず我慢してきたのか。


「兄ちゃん・・俺。」


「・・・・・・・」



兄は黙ってまた家から出ていった。


「雅輝!大丈夫?」


母が頬をなでた。


その手を俺は振り解いた。


痛かった。頬も心も。


「なんであんなやつをかばったんだ!」


―あんなやつ―


自分の子供だろ。


自分の子供によくそんなことが言えるな。


俺は怖かった。


自分の親が始めて怖いと思った。


「最低だよ!」


そう叫んで俺は家を出て行った。




「兄ちゃん!!兄ちゃん!!」


「・・・・・・」


捕まえた。

やっと。


兄の腕をつかんだまま乱れた呼吸を整えて兄の方を向いた。


兄はずっと顔をそらしていた


―こっち向いてよ。俺をみてよ―



「・・・・兄ちゃん」


ふと頬に触れた手。

冷たくて、やわらかい。


父に殴れられて腫れていた頬には気持ちよかった。


「馬鹿だなお前、俺のことなんかかばって。」


「・・・兄ちゃん・・・」


「お前は俺みたいになるなよ。」


初めて兄とまともに話した気がする。


兄は俺の頬から手を離すと俺がつかんでいた手を振り解いて去っていった。


―待って・・待って―


信号の向こうに歩いている兄をみて


追いかけようとした。


兄しか見えなかった。


―俺は―








「雅輝!」


兄の声がする、痛い。痛い。

頬だけじゃない体中がいたい。


頭が痛い、

足が痛い、

腕が痛い

全部痛い。


「兄ちゃん・・・」


「雅輝!」



兄の声が遠くなっていく・・俺は・・どうしたんだろう・・・









「お〜い」


「ん!?」


はっと我にかえる雅輝


「マジで寝たい。電気けせ、そしてお前もねろ。布団はあげるから。」


「え〜・・・もっとさ〜話しようよ〜!盛り上がろうよ〜!今夜は寝かさないよ〜!」


「修学旅行かよ」


「あはは。寝るよ。」


電気を消して、布団に上に横になった。


自分の隣にいる兄に布団を半分かけて雅輝も眠りについた。



隣の兄の腕をつかんでみる。

そこには服の上からでもわかる傷跡があった。


「触んなよ。」



「尚・・ごめんね・・・ごめんね。」


「・・・・・・」


「ごめんね。お兄ちゃん。」



兄と呼ばないと決めたあの日。


あの日のことは忘れない。


「ごめん・・・・」


「・・・・・・・・」





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ここまで読んで頂ありがとうございました!

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