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stringere  作者: 汐音真希
19/23

雅輝

う〜ぬ。本編に出すかどうかは知らんが

この兄弟はいつまでも若い女性でありたいと願う母親に「お母さんって呼ばないの!響さんとおよび!」っていわれていたため。小さいころから響さんと呼んでいました・・・

お前が光で俺が闇。


人はみんな光に向かって。

闇を背を向ける。


俺は人の背中ばかり見てきた。


誰一人俺に向かってくることはなかった。


お前は光なのに、そんな俺を求めてくれた。


でもそれが俺には憎しみでしかなかったんだ。







「なんでお前がここにいんだよ!」


思わず大声を出してしまった、

夢も驚いて上から降りてくる。


「お久しぶり♪・・・・お兄ちゃん」


「え?お兄ちゃん?」


「こんにちわ!俺尚の弟の雅輝です♪」


「・・・・・」


「睨まないでよ〜お兄ちゃん。」


「・・・・・・お前・・・そんなやつじゃねぇだろうがよ?」


「尚・・?」


いつもと違う尚の口調。

夢はかすかに異変に気づいた。


和春も気づいたらしい。


尚をなだめるように、2人の間にそっと立つ。


「お兄ちゃんなんて可愛くいうタイプじゃねぇよな。てめぇ・・」


「・・・・そうだね。久しぶりだよ。尚」


まるで兄と認めないというかのような冷たい呼び方。

2人でにらみ合うと雅輝がふっと笑った。


「俺はただ尚と一緒に住もうと思ってね。」


「は?」


「大家さんだれ?」


「俺だけど。」


「あ〜。あんた・・・・・・」


雅輝は和春をまじまじと見て絶句する。


「あんた・・・」


嫌な予感がする。


もしかしたらこいつは・・・


そんな考えが尚と和春に過る。


「・・まぁいいや、ここ下宿みたいなもんでしょ?家賃とかは払うよ。

部屋空いてない?尚と同じ部屋でもいいやぁ〜!」


「空いてるけど・・・・」


和春はそういうと言葉を詰まらせ尚を見つめる。

尚はまだ雅輝を睨んだままだった。


「尚・・?」


夢は尚の肩をたたいた。

尚があまりにも怖くて。


いつものように笑ってほしかったから。





雅輝と名乗る少年の第一印象は、悪がきっぽい。

そのとおり、尚と話す少年はまさに悪がき。


若干あどけなさが残り、時々見せる無邪気な笑顔は尚に似ているものがあった。


確かに兄弟といえば納得する。




「今日はちょい俺の部屋に泊めていいですか?明日には返します。」


「・・・・そっか・・・分かったよ。」


「え〜!俺帰んねぇよ〜?」


そういう雅輝を尚は黙って自室に連れて行く。


「夢ももう寝な。疲れたでしょ。」


「・・・うん・・・。」


夢も自室に戻り和春はしばらく玄関に立ち尽くした。


「尚・・・さっき何言おうとしてたんだろう・・・」


そんなことを考えながら自分の部屋に戻った。







勢いよくドアの閉まる音。


「痛いって!尚乱暴!」


「るっせぇ!なんでお前がここにいんだよ!」


「え〜。ちゃんと響さんには許可とりました〜!」


「んなもん知らんっ!」


「ひどっ!」


尚が手を乱暴に離すと雅輝はそれを確認したから

床に転がった。


「響さんと話したんだって〜?」


「・・・ああ。」


「更正したって訳ですか。」


「そうですね。」


「え〜。はぁい。」


「・・・・・・」


「・・・ごめんなさい。」


寝るなと寝転がっている雅輝の腹を軽く足で踏むと尚は隣に座った。


「明日には帰れよ」


「ここにすむ〜!」


「駄目!」


「なんでぇ〜!」


「駄目ったら駄目!」


そんな会話をしていると尚のドアの外からカリカリと扉を引っかく音がした。


「何の音?」


「猫だろ。ここにくるってことはシロかな。」


そういってドアを開けると小さな子猫が勢いよく部屋に入ってきた。


「あ〜!猫飼ってんだ〜!へぇ!」


「こいつはよく俺の部屋くんだよ。」


「ふぅん。すかれてるね〜!」





別にこいつが嫌いなわけではない。


だた、昔から比べられてきた自分は

いつもこいつに居場所を奪われてきた。


お前が光で俺は闇。

みんな光に向かっていく。

闇には背を向けて。

俺はお前に向かっていく人の背中ばかり見てきた。


だれも俺を見てはくれない。

俺に振り向いてはくれない。


お前から離れないと俺のことを誰も認めてはくれない。


ただのお前のおまけにはなりたくない。


だから。離れた。


お前が優しくお兄ちゃんってよってくるのが俺には辛かったんだ。


「あっそだ。ちょいトイレどこ?」


「トイレ?下降りて奥だよ。」


「あ〜。さっきの大家さんの部屋のもっと奥?」


「そ。」


「ふぅ〜ん・・いってきま〜す!」


「迷子なんなよ。」


「はいはい。」



お前は俺を好いていてくれた。

でも俺はお前がだいっ嫌いだった。









鼓動が強い。

眩暈がする。

息ができない。


肩で呼吸をしながら和春は薬を大量に手にし。

一揆に水で飲み込んだ。


そのとき部屋のドアを開ける音がする。


「・・・鍵かかってませんでしたよ?」


少し笑みを浮かべた雅輝は入ってきた。


「・・・だからってノックもなしで入るのはどうかな?」


「なんか俺この家の人に嫌われてます?」


「・・・俺はまだ君を嫌う理由はないからね。でも尚はどうなん?」


「尚は俺のこと嫌いみたいです。」


「・・・そ・・・」


「苦しいんですか?」


「・・なんでもない。」


「死ぬの?」


「!」


「末期なんでしょ?」


「なんで・・・?」


「・・・さぁ?・・・なんでだと思う・・?天祢組・・・」


「!!」


「組長・・・中間和春・・・さん・・・?」


「お前!」


ゆっくりと雅輝は和春に近寄る


和春の目の前まで来て視線を合わせるようにしゃがみこんだ。


「俺にもっと教えてよ。あんたの病気のこと。」


かすかに見せる笑み。


和春はなにか危険なものを感じ取ったのかも知れない。

かすかに頬に汗が伝う。




「大丈夫。誰にも言う気はねぇから。」




そういうとにやりと微笑んだ。




ここまで読んでいただいてありがとうございます!

4000人突破感激です!

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