第一歩
進行台本?あらすじ?書いたけど長かった。
次話も決まってるんで明日あがるかも。
ノコサレタ ジカン ヲ コワサナイ タメニハ
「はぁはぁ・・・ぐ・・」
乱れた呼吸。痛みに耐え切れずにベッドにうずくまった。
鞄の中から荒々しくビンを取り出し中から白い粒を大量に取り出す。
口に運んで水で流し込む。
和春は暫く切れた息を整えるように深呼吸をしては薬を飲んだ。
「和・・・?」
不意に聞こえた声に和春を顔を上げる。
そこには夢がいて、心配そうに和春を見つめていた。
「何・・その薬・・・?」
息を乱しながら応えられずにいた和春。
ただ自分を見つめる夢を見つめ返して。
沈黙を守っていた
ノコサレタ ジカン ヲ コワサナイ タメニハ
シラレテハイケナイ
コワシテハイケナイ
電車の揺れにダウンした尚を夢は隣で同じく電車に揺られながら背中を擦っていた。
「大丈夫?」
「うぶ・・ぶへ・・・」
今にも吐き出しそうな声に夢はあせる。
「弱いね〜・・・上京するの大変だったでしょ?」
「う・・・うん・・・」
はぁとため息をつくと、夢は外の風景に目を向けた。
一面草木の生え茂る。
東京とはまったく違う、一言で言えば田舎だった。
「うあ〜・・不安と酔いで死にそうです・・」
「何弱気いってんのよ。」
頭を抱える尚を夢は励ます。
尚の家族に会いに行くために、尚が両親と向き合えるようになるために。
そのためにここにきた。
なのに夢はほかの事を考えることがあった。
「・・・和・・・」
そっと囁かれた兄の名前。
昨晩の和春の光景が脳裏をよぎる。
―あんなに苦しそうに、胸押さえて、大量に薬のむなんて・・・―
―何・・その薬・・・―
そう問うと和春は夢を見つめた。
冷酷な夢以外の何かを見つめるような目。
夢は一瞬和春が別人のように感じた。
しかし暫くしてから和春は立ち上がる。
そのときにはもう息は整って、笑顔の和春がいた。
「ほらまだ足が完全になおってないから、後遺症っていうか・・痛むんだよね〜足。」
「足?」
「そう。だから痛み止め」
そういって薬ビンを振ってみせる和春。
しかし、もう片方の手は確実に和春の胸に置かれていた。
―足が痛くて胸を押さえますか・・・?―
夢は和春に不審感を感じた。
しかし、和春が嘘をついて隠そうとしていることを
無理やり問うこともできずにいた。
「だからってそんなに大量にのんじゃだめだよ。薬だって量によっては毒なんだから。」
「うん、そうだね。気をつけるよ。」
そういって笑うと和春はビンを鞄にしまった。
「で?夢どうしたの?」
「ご飯・・できたよ?」
「あ〜・・ごめん・・今日は食欲ない・・・」
「・・・・そ・・・分かった・・」
そういって夢は部屋を後にした。
「夢?どうしたの?」
「え!?」
突然尚に声をかけられ我に返る夢。
「顔色悪いよ?酔った?」
うずくまりながら尚が夢の顔を覗き込む。
―尚の方が顔色わるって―
そう思うと思わず笑いが零れた。
「なんでもない。ちょっと考え事。」
「そう。ならいいけど、辛かったらいってね〜・・・」
―自分の方が辛いでしょ?―
それでも夢を心配してくれる尚が愛しかった。
―ダイスキ―
夢はそう思いながら心に決める。
昨日の和春は普通じゃない。
きっと夢と尚に隠し事をしている。
大量の薬。
乱れた呼吸。
しかし、尚はこれから親と話し合いに行く。
そんな尚に余計は心配はかけたくない。
だから夢は昨日の一件を自分の中に留めることにきめた。
「あ・・・」
尚が声を漏らす。
外の風景を見つめていた。
「ここ・・よく遊んでた・・・」
それは綺麗な水の流れる大きな河。
尚は懐かしそうにそれを見つめる。
「そういえば希美と卓磨くん、まだ続いてるんだってさ。」
「そうなんだ・・」
「親も認めてくれたし、幸せなんだって。」
「よかったね。」
「ちゃんと向き合えばうまくいくんだよね・・・」
「・・そうだね・・・」
「そろそろつくよ。」
2人で電車を下りるとタクシーを捕まえて尚の家へと向かった。
尚の家は豪邸だった。
古いが大きくて綺麗な屋敷。
「久しぶりに来た・・ここ・・・」
尚をそう呟くと俯いた。
微かに声が震えていて、夢は必死に言葉を探した。
そっと尚の手を握る。
尚は夢を見つめて、その手を握り返した。
「怖い?」
「少し・・でももう平気。夢がいるから。」
そういうと手を握り合い家に家に向かっていく。
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