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stringere  作者: 汐音真希
10/23

振り返り

一週間放置すいませんでしたぁ!

1人になるのが嫌だった。

でも周りの人はいつでも俺を1人にしていく。

俺はそれを作った笑顔で見送ることしかできなかった。




雨の中和春は自分の過去を思い出していた。

天祢の話が和春の思いに拍車をかけたのだろう。

彼の言葉は、和春の母に似ていた。


―和君・・・ごめんね・・・―


18で、父親が事故で死んでも和春はその事実を受け止め人前で涙を流すことをしなかった。

泣けば誰もが同情する。

それは和春にとって迷惑をかけることにもなる。

そんな中で昔の母親からかかってきた電話。

父親が死に、自分の血を引く息子が1人となったことを聞いた。

いてもたってもいられなかったと母は言っていた。

だったら迎えに来ればいいのに。

探しに来てくれれば良いのに。

電話の中で彼女を謝るだけだった。


―お母さん失格だったね・・・あのとき和君を引き取っていれば・・ごめんね―


そう思うんだったら、なんで迎えにきてくれないの?

一緒に住もうとか思わないの?


電話の向こうで赤ん坊の泣き声が聞こえた。


―そんなことないよ。いいお母さんだった。俺は、親戚の家で頑張るから―


そういって一方的に携帯をきると、父の墓場を後にした。

引き取ってくれる親戚はいたが、和春はそこには行かなかった。

どうしても、他人に迷惑はかけたくなかった。

だから和春はここに来た。

東京へ。


知らない人ばかりで人に迷惑をかけないで済む。

なのよりそんな気遣いが不要で開放的な気持ちになれた。

もういっその事ぐれてしまおうか。

そんな考えから何故か手に取ったタバコを銜えて歩いていった。

火をつけてもむせてしまうから、ただ銜えているだけ、

それでも、自由な気分にはなれた。

今では火をつけて普通にすえるようになっていた。




「はい。」


雨が自分に当たらなくなって和春は我に返った。

そこには、天祢の姿があった。


「なんで?」


なんでここにきたんだよ?そう聞こうとして口を閉じた。


自分の上にかざされた大きな傘。

笑顔で自分を見つめる天祢。

和春は暖かいものを感じた。


天祢の体は濡れていた。きっと傘を差さずに和春を必死に探してくれていたんだろう。


「どうしてそこまで・・・」


そういうと天祢は首をかしげた。


「風邪・・引いてしまうよ?」


「俺をこんなずぶ濡れになって探して・・どうするってんだよ・・意味ねぇじゃねぇかよ・・」


「和春くん・・?」


「いやなんだよ・・人に迷惑かけるのは・・・」


「・・・迷惑なんて思ってないよ?」


この言葉に下を向いていた和春が顔を上げる。

天祢の優しい笑顔が和春に向けられていた。


「おっさん・・。」


「ずぶ濡れだね。とりあえず、私の家へおいで、

服を乾かさないと。」


そういうと天祢は和春の肩に手を置いた。

和春はただ黙っていた。






+++++++++++++++++++++++


「今思えば俺のこのこ付いていっちゃいけねぇんだよな〜・・・」


「危険ですよね」


ひと段落話して笑い混じりのジョークを交わすと、和春はまた窓の外を見た。


「検査の結果・・・どうだった?」


「・・・・え・・・」


「いや・・・なんでもない・・・」


そういうと和春はまた話し出す。




ここまで読んでいただいてありがとうございます!

祝読者1500人越え!

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