表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほのぼの生活  作者: ミルフィーユ
プロローグ:はじまり
8/34

#8:新入生歓迎会

8話目です。これからの予定ですが、少しずつファンタジー要素を入れていきます。



「一目惚れと言って近づいてくる人を嫌ってた貴方が、一目惚れしたってこと?」


 胡桃が少し呆れながらそう聞いた。それにしてもライリーさんは本当に大変な思いをしてきたんだなぁと思った。俺とは全然状況が違う。


「大変だったんだね、ライリーさん」


 そう言って僕は彼女の頭を撫でた。彼女は少しの間俯いていたが、しばらくすると顔を上げた。


「ライリーって呼んで?カケル君!」


 頬を赤く染め、照れながら上目づかいで頼むという仕草にドキッとしてしまった。


「分かったよ、ライリー」


 俺はしばらくの間彼女の頭を撫でてあげた。






「それでライリーはこれからどうするの?」

「カケル君と一緒に生活したいです!」


 一緒に生活したい、つまりはこのシェアハウスに住みたいということだろう。断る理由もないわけだし、俺は彼女がここに住むことを許可した。ちなみに彼女は2階の部屋になった。


 俺たちはライリーにこの世界のことについて簡単に説明した。この世界に住む人々は魔法を使うことはできず、剣を持ち歩いている人もいない。さらには魔物もでない世界だと説明した。彼女は最初は驚いていた。しかし、魔法は俺の為にしか使わないから大丈夫だと言っていた。本当に大丈夫なんだろうか?


 明日から学校もあるため恵令奈さんにライリーの部屋を伝えてもらって、俺と胡桃は早めに寝ることにした。





 翌朝目が覚めた俺は、ベットから降りようとしたのだが体が動かなかった。俺のお腹のほうを見ると左から手が伸びる手が俺のことを押さえつけていた。左を向くとそこにはすやすやと眠るライリーさんの姿があった。

「ライリー!?なんでこんなところにいるんだよ」


 俺が慌てて言うとライリーは目を擦った。そして俺のほうを向くとおはようと言って寝たままの状態で俺に抱き着いてきた。


「ちょっとライリー、誰か来たらまずいって」

「えー?誰か来たら私たち付き合ってるって言えばいいよ」

「いやいやいや」

「私と付き合うのは嫌?」


 ライリーが上目づかいでそう聞いてきた。いやライリーは可愛いし別に嫌ってわけじゃないが、付き合うにしても早すぎる気がする。そう伝えると少し考えた後、


「じゃあ、惚れさせればいいんですよね?」


 と言って俺の頬にキスをしてきた。逃げようと思ったのが彼女の力は強く、逃げることはできなかった。ちょうどその時、俺の部屋のドアが開いた。


「カケルご飯の時間……って何してんのよ!?」


 ドアのほうを見ると胡桃が立っていた。最悪な場面を見られてしまった。


「何って一緒に寝ただけですけど、ねーカケル君?」

「本当なの?」


 ライリー、事実を勝手に変えないでくれ。胡桃がめっちゃ怒ってるから。


「朝起きたら、ライリーが俺に抱き着くようにして寝ていただけだ」

「ライリー、どういうこと?」

「ええっと」


 ライリーは答えたくないのか、露骨に目を逸らした。


「はいはい、その話はそこまでにして。早くしないと2人は学校に間に合わなくなるよ?」


 いつの間にか胡桃の後ろに立っていた恵令奈さんが止めてくれたことで胡桃の怒り?はとりあえず収まった。




「それじゃあ、行ってくるね」

「行ってきます」

「いってらっしゃい」

「頑張ってねーカケル君!」


 恵令奈さんとライリーさんに見送られて、俺たちは学校に向かった。入学式を除けば初めての高校なので、とてもわくわくしていた。そんなことを思っていると胡桃が、俺に手を差し出してきた。


「手繋いで行くわよ」


 頬を赤くしながら言った。誰かに見られたらどうするつもりなんだか。とりあえず手は繋がないと言ったら少し悲しい顔をされた。


「……鈍感」


 何かを言っていた気はするが、何を言っていたかまでは俺には聞こえなかった。校門を通ると胡桃は先に行くと言って1人で先に教室へと向かった。



「おっす、おはよう」

「おはよう」


 教室に入ると爽が笑顔で俺の所にやって来た。朝の時間帯は人があまりいないため、結構退屈していたらしい。ちなみに男子は俺と爽以外まだ来ていない。結構早めに出たことが関係しているのだろう。





 それから10分ぐらい経つと続々とクラスメイトたちが登校してきた。まだ2日目なのもあってか、まだみんな話しづらい状況なのかほとんど話さない。爽だけは色んなやつと話しているが。


 HRの時間になると暁先生がやって来た。すると早速体育館に行くようにと言われた。何でも新入生歓迎会というイベントがあるらしい。


 歓迎会では在校生のさまざまなパフォーマンスがあった。校歌も特に期待はしていなかったが、悪くはなかった気がする。吹奏楽部による演奏など、他にもさまざまなパフォーマンスがあった。しかし、在日留学生による英語のスピーチは英語が分からず俺にはさっぱり分からなかった。


 それから教室にもどり、今度はホールに1学年全体が召集がかかった。部活についての説明があるらしい。運動部はサッカー部、野球部、バスケ部、バレー部、卓球部、テニス部、剣道部などがあるらしい。文化部は文芸部や、吹奏楽部、理科部、茶道部などがある。どの部活も今日から見学が可能で、仮入部期間は1週間だという。


 説明が終わると解散となった。俺の名前を呼ぶ声がしたので、振り返ってみると胡桃がいた。


「翔、帰ろ」

 俺は胡桃に手を引かれてホールを出た。ホールを出るとそこは部活勧誘の戦争が起きていた。どの部活も必死に人を集めようとしている。当然俺も勧誘を受けたのだが、胡桃の勧誘はすさまじいものだった。特に運動部からの勧誘が凄かった。選手になってくれだの、マネージャーになってくれなど言われていた。胡桃は全て断ってそのまま教室へと入った。もちろん俺の手を引いたまま。後日、爽に質問攻めに遭うことをこの時の俺はまだ知らなかった。


この作品が面白いと感じた方はブックマーク•評価をお願いします。

誤字の報告や感想もお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ