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ほのぼの生活  作者: ミルフィーユ
プロローグ:はじまり
7/34

#7:ライリー=ロージェスト

7話目です。

ライリーの過去についての話となっています。

 思わず、変な声が出てしまった。付き合うってあのなんでまた突然。


「なんのつもり?」


 胡桃がいつもの声からは想像できないぐらい低い声で言った。というか、胡桃さんちょっと怒ってらっしゃいませんかね?


「胡桃、落ち着きなさい。それで、結局一目惚れしたってのは本当なの?」

「はい!」


 恵令奈さんが聞くと今度は照れずに元気よく答えた。彼女が何者かどうかも分からない、さらにお互いのことを知らなさすぎるんだよな。こんな状況で告白を受けられないな。とりあえずまずは彼女がどんな人物か見極めることとするか。


「その前に貴方のことをよく知らないんだけど。だから教えてくれると嬉しいな?」

「うん!」

 

 少女は顔を赤らめると元気よく返事をした。恵令奈さんは何かを考えており、胡桃はずっと不機嫌そうだ。



  

 私の名前はライリー=ロージェスト。小さな農村で産まれたのですが、両親が名の知れた冒険者だったため、私は幼いころから剣術や魔法などを教わりました。そして13歳になると教会で職業が与えられる。私の職業は〈勇者〉という、非常に珍しい職業でした。


 それからは私は勇者としてさまざまな場所を廻りました。途中で仲間も出来たし、みんなとの冒険はとても楽しいものでした。王都に行くと貴族や王子などが私に一目惚れなどと言って私にしつこく求婚してきました。好みのタイプの男性もいなかったので全て断りました。あるとき、たまたま私の話が出ているのを偶然耳にしたので、私はすぐさまその場に隠れ会話に耳を澄ました。


 内容はどうして勇者を嫁にしたいかということだった。部下の男が貴族の男に聞くと動揺などせずにやつの力がほしいからだと述べました。私は他の貴族についても探ってみた。するとどの貴族もやつとの子供なら強いはずだとか、勇者の夫となり権力を手にしたいと言う人しかいなかったのです。誰も私自身を見てくれる人なんていなかった。


 最初はカッコいい人がいいと思って断っていた求婚も、気づけば貴族や王族とは絶対にしたくないという願望に変わってしまっていた。私たちのパーティが魔王を倒すとさらにその動きは加速した。パーティメンバーの態度も以前とは違うものになっていた。


 なかなか王子と結ばれないことに苛立ったのか、遂には王が指名手配を出して私のことを捜索し始めた。そして私の故郷には常に兵が張り付くようになった。気配を消して、兵を掻い潜りながら村に入った。気配を隠して行動していたら村人の私への愚痴が聞こえてきた。


「あいつのせいで俺たちの村には兵が纏わりつくようになったんだ!」

「王子と結婚してくれれば、この町も優遇されたはずだっ!それなのに」

「あいつが、勇者になんてなったからだ!」


 私はただ皆を守りたいが為に強くなったのに。何で私が陰口を言われなければいけないの。


 私は気配を消したまま家に忍び込んだ。リビングには両親がいた。


「あの娘、大丈夫かしらね。王に指名手配されていると聞いたけれど」

「心配だ。でも戻ってきてくれたとしても私たちにはどうすることも」

「ライリー、そこにいるんでしょう?」


 私が気配を隠していたのにも関わらず、お母さんはそれを見破った。昔からお母さんに魔法で勝つことは出来なかった。


「ただいま」


 2人はおかえりなさいと言って、私の事を抱きしめてくれた。そしてお母さんが覚悟を決めたように言った。


「ライリー、ここにいても貴方の幸せは恐らくやって来ないわ」


 幸せが来ないって、そんなことは分かっていた。私は強くなることともう一つ夢があった。誰かと結婚して、幸せに過ごす。それがたとえ養う側だったとしても別にいい、一生私のことを好きでいてくれる優しそうな人に出会ってみたかった。私はいつも相手の顔を想像していた。それが私の毎日の楽しみであり、もう一つの夢だった。


「ライリーには話していなかったね」

「実は私たちは元勇者で転生者なの」

 

 お父さんとお母さんはもとはこことは違う別の世界から来た転生者だという。そこは魔物もいない、魔法もないそんな世界らしい。2人は事故に遭ってこの世界に2人とも神によって転生させられたらしい。2人はそれから力をつけて勇者となった。そのころにはお母さんは元の世界に転移する方法を編み出していたらしい。しかし、2人はもとの世界では死んでいるということと、この世界が気に入ったと言うこともあってか結局この世界に戻って来たらしい。


「1か月もあれば貴方はその世界とコチラを往復できるようになると思うわ」


 私は頷いた。向こうの世界が気に入らなければ戻ることも可能らしいので、行ってみる価値はあると思った。それから1ヶ月の間私は毎日特訓をして通常の『テレポート』とは違い、世界を移動できる『世界の移動』を習得した。


「それじゃあ、行ってくるね!」

「おう、行ってこい!」

「ええ、気を付けてね」


 両親に見送られるなか私は魔法を使った。普通の『テレポート』ならば無詠唱で瞬時に出来るのだが、流石にこの技だと時間がかかる。足元に魔法陣がだんだんと書かれていった。そしてその魔法陣が完成した瞬間、私はこの別の世界へと旅たった。



 『世界の移動』はほぼ成功した。私はこの世界に来るのが初めてだったためなのか、空中に転移してしまった。そして、私はその下にいた人にぶつかってしまった。


 私が起き上がろうとすると「大丈夫か?」と言って手を差し出してくれた。よく見ると私と同じぐらいの年の男の子だった。その笑顔に私はやられてしまったのかもしれない、何よりこの人は私が理想としてた人だ、そう直感で思った。これが一目惚れってやつなのかな?


「あの、名前は何て言うんですか?」


 いきなりの直球は無理だった。だからワンクッション挟むために彼の名前を聞いた。どうやらカケルという名前らしい。ええい、女は度胸よ!


「カケル君、人目惚れしました。私と付き合ってください!」


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