#4:地底人 雨土 恵令奈
4話目です。
新キャラ登場、ここらへんから少しずつファンタジー要素取り入れていきます。
敵が出るのはもう少し先です_(_^_)_
「「ただいまー」」
もちろん誰も居ないのだが、何となく言ってしまう。3階建てのこの家には個室が10部屋。キッチンやリビングやトイレなどの共用スペースには1階にありさらに2部屋個室がある。そのため2、3回に行く用事は無く、使われていない。
「翔、夕食できたよー!」
入学式と言う事もあり赤飯を炊いてくれた。他にも唐揚げなどおいしそうな物がずらりと並んでいる。俺でも作れることは作れるだろうけど、ここまで作れるかと言われたら難しい物がある。夕食はとても美味しかった、胡桃と一緒に片付けた後胡桃に誘われて一緒に庭で遊ぶことにした。
しばらく遊んでいると地面が揺れだした。
「地震!?」
胡桃が叫んだ。でも地面が盛り上がっているような……いや待て確実に上がっている。しばらくすると止まったのだが、何と中から人が出てきた。透き通るような青い髪に青い目を持った女性がやって来た。そして、地面は下がり、元通りになった。
胡桃が俺の後ろに隠れるようにして言った。
「貴方は誰?」
するとその女性は困ったような顔を浮かべながら答えた。
「お姉さんの名前?雨土 恵令奈だよ。それよりもココって……」
「ココがどうかしたんですか?」
周りをキョロキョロ見ながら何か呟いていたので、話しかけてみることにした。
「えーっと……」
何か考えていると言うことは俺たちには話せない何かがあるのだろうか?そもそも何故地下から出てきたのか。そして上がった地面が再び下がったと言うことだ。一体どういうことなのだろうか……目の前に起きた現象を俺も胡桃も理解できなかった。
「雨土さんは、えっと……」
「お姉さんは空を見に来たの!」
「え?」
「へ?」
どういうことだろうか、空は別にいつでも見れると思うんだけど。少し探ってみるとするか……
「空はいつでも見れると思うんだけど……それよりもなんで地下から出てきたの?」
大地さんは少し驚いた顔をした後、何かを思い出したのか納得したような顔をしていた。
「お姉さんはそうね……俗にいう地底人ってやつかなー?」
「地底人ですか……聞いたことないわね」
俺は聞いたことなかったけど、胡桃なら知っているんじゃないかと思っていたので知らないのは驚きだ。でもまぁ常識的に信じられないというのは確かなんだけど。
「それよりこの家は?」
答えていいのかどうかは分からなかったけど答えた。
「ここは俺が管理しているシェアハウスだ」
「じゃあお姉さんもこのシェアハウスに住んでもいいですかな?今、家に帰ることは出来ないから……」
雨土さんは少し不安そうな顔をしながらコチラを見てきた。彼女なりにも何か理由があるのだろうか……仕方ないか。
「分かった、よろしく」
「いいの!?よろしくね!」
胡桃は少し不機嫌な顔をしていたけれど、渋々といった感じで彼女がこのシェアハウスに住むことを認めてくれた。
――
「どう?」
「美味しいわね、でもお姉さんも負けてないからね!」
雨土さんと夕食を食べた。このシェアハウスに来てからは胡桃と2人だったので、1人増えるだけでもその日の食卓は少し賑やかになった。
「それで地底人って何なの?」
夕食を食べ終わると胡桃が雨土さんに聞いた。雨土さんによると、昔に人口が増えすぎた時代があり、その時代に人々が地下に潜ったらしい。地下に潜った人々はそのまま地下で発展を続けており、いつしか文明が出来上がっていたのだという。それから何千年と時代が移り変わる間に地上にいる人間は地底人との関わりが薄くなっていった。そして約千年ほど前から途切れたということがあったらしい。
「なんか壮大な話ね」
胡桃はまだ今聞いたことが信じられないという顔をしている。もちろん俺も信じられるわけがない。それでも雨土さんが言っている話は嘘とは思えない。
「翔、雨土さんを部屋に案内してくるね!」
「分かった」
「お姉さんのことはお姉さんか恵令奈って呼んで!」
「分かった、じゃあ私の事も胡桃って呼んでね」
恵令奈さんも意外とコミュ力高いのかもしれないな……俺も雨土さんのことは恵令奈と呼ぶことになった。恵令奈は2階の部屋になった。それはそうと明日からどうするべきなんだろうか……とりあえず明日母さんに相談してみるとするか。
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