#16:騒がしい部活
放課後の部活編です。次話ぐらいからファンタジー要素出して行ければいいかなぁ……と考えています。
「失礼します」
俺たちがいつも通り部室の扉を開くと、既に新条先輩と暁先生がいた。ここまではいつも通りの光景。
「うわぁ、カケル君見て!本があるよ!」
そりゃあ、曲がりなりにも文芸部だし、本ぐらいはあるよ。あと隣は図書室だから静かにした方がいいんじゃないのか。部室に入ってしまえば、声も響かないだろうし、いいだろう。
「えっと……あなたたちが噂の転校生ね?ようこそ文芸部へ」
「おお、芹香ちゃん慣れてきたね!」
「……そうでしょうか?」
新条先輩は奥手だからなぁ、そういう面ではこいつらを連れてきて良かったのかもしれないけど。
「それにしても……あなたたち本当に可愛いわね。まるでファンタジー漫画のヒロインみたい」
エマとライリーの方を見ながらそう言った。新条先輩はライトノベルも読むのか。難しそうなジャンルを読んで、そういうのには興味はないんじゃないかとも思っていたのだが。
「ファンタジー漫画って……カケル君なに?」
「私も聞いたことありませんね」
「私もない」
そういえばライリーとエマと影音の3人はそもそも本を読まないからな。それにライトノベルの定番は実際に体験してるだろう。エマの宇宙船とかはSFのような気もするが、どのみち俺たちよりは魔法とか詳しいんじゃないかな。しかし、彼女たちに説明するとなると何て説明したらいいのだろうか。
「それはお姉さんが説明するわ!」
恵令奈がファンタジーとかライトノベルについて話し始めた。彼女は読書が趣味と言っていたが俺の知らないようなこともしっていてちょっと驚いた。以外にもライリーと影音の2人は恵令奈の話を真面目に聞いていた。
「胡桃先輩、何かして遊びましょうよ!」
「いいわよ、何して遊ぶ?」
未来と胡桃の2人は本を読む気はないようだ。おいおいそれでいいのか文芸部よ。まぁ、俺はゲーム何て持ってきてないし、普通に何か本を読むとするか。
「佐山君、よかったらこの本一緒に読まない?」
新条先輩が少し大き目な本を持って俺にそう言った。新条先輩と同じ本を読むのか、何か凄いドキドキする。新条先輩がソファに座ると手招きしてきた。俺は新条先輩の隣に座った。
「あれ?芹香ちゃん、佐山君のこと好きなの?」
すると、暁先生がニヤニヤしながらそんなことを言った。新条先輩は顔を真っ赤にしながらも否定していた。
「ち、違います……誰かと一緒に本を読む機会なんてなかったですから」
その様子は普段の先輩の美しさに、可愛さが足されている感じだ。
「それじゃあ、読むわね」
先輩は本を開くと、俺の肩に彼女の肩を密着させてきた。コッチのほうが見やすいは確かなんだけど、恥ずかしい。先輩はラノベを音読して、俺はそれを聞いているのだがキャラによって声質を変えたりと結構上手い。
「先輩上手かったですよ」
「本当!?ありがとう……そういうこと言ってくれる人いなかったから嬉しい」
流石に全部は読む時間はないため、ほんの少しだけなのだけど凄く楽しかった。新条先輩も楽しかったと言ってくれたし、ただ話を聞いているだけでも先輩が喜んでくれるなら何時間だって付き合うさ。
「……そろそろ帰る時間ですね」
「いっけね。もうそんな時間か。みんな帰るぞ。新条先輩、暁先生お先に帰りますね」
俺はまだゲームをしている胡桃や未来に声をかけた。ライリーと影音はもうすっかり眠ってしまっていた。俺がライリーをおんぶすると、新条先輩が俺に声をかけた。
「え?みんな家は近いの?」
あ、そうか知らないのか。何て説明したらいいんだろうか。俺は暁先生の方をみると彼女は何となく察してれたようだ。
「あ、みんな翔君の家に住んでいるから大丈夫よ」
「……そうですか羨ましいです」
その時の新条先輩の表情は少し暗かったのだが、この時の俺に気づく由もなかった。
「胡桃と未来、変わってくれないか?」
「男なんだから女の子一人ぐらい持ちなさい」
「そうです、先輩ファイト!」
「翔君、お姉さんと一緒に頑張ろうね」
「変わりましょうか?」
「いや、大丈夫だよ」
俺はライリーを、恵令奈さんは影音をおんぶしながら家に帰っている。女の子に対してこんなことをいうのは失礼なことだろうけど、重い。いや、確かに普通の男の人に比べたら軽いというのは間違いない。だけど、彼女も人間である以上、ある程度の重さはある。そして、元帰宅部の俺に耐えられるはずもない。胡桃と未来に変わるように言ったのだが、こいつらは変わる気がないらしい。エマは変わると言ってくれたのだか、エマに手伝ってもらうのは何か気が引けるので辞めておいた。やっぱか弱い女子に持ってもらうのは引けるっていうかね。
「翔、何考えてるの?」
「先輩、失礼なこと考えてませんよね?」
2人の視線が怖い。何か俺のことをじっと見つめてきた。何で君たち俺の考えていること分かるんだ。そうこうしていると家に着いた。結局変わってもらえなかったことは言うまでもないだろう。
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