#11:裏隠居 影音
影音の住んでいた世界の話+αです。
彼女の名前は裏隠居 影音というらしい。彼女は裏世界という場所に住んでいるらしいのだが、俺は聞きなれないその言葉に首を傾げた。同じように生活してきた胡桃はもちろんのこと、他のメンツもどうやら知らないらしい。
「そもそもこの世界は表と裏2つから出来ている、と私たちは言い伝えられている、みんなはそれも知らない感じなの?」
「ええ、そうね」
俺たちが住んでいる世界が表の世界、だがこの世界には表裏が存在するらしい。ただ球体の内側にあるという訳ではないらしいのだが、詳しい位置関係については分かっていなかったりと謎は多いらしい。
先ほどのゲートみたいなのは世界を表裏を移動できるゲートらしい。もともと裏世界の人間は特殊能力、主に闇や影の力を扱うことを得意とするものがいるらしく、彼女のそれも一種の物らしい。
そして、10年ぐらい前から魔物が生まれるようになったらしい。そしてこの魔物は能力を持った人を中心に襲うらしい。時々なので余り重要視されていなく、国も何も対策を経てていないのが現状らしい。彼女は魔物と遭遇してしまい能力を使ってコチラの世界に跳び込み、俺たちに助けられた、これが経緯らしい。
「ただ、魔物は1回出ると次出るのには大分時間がかかる。それに恐らく国も動く。だから心配無用」
とりあえず彼女の住む世界はしばらくは安心できるらしい。けれどもこんな危険なタイミングに返すというのもどうかなという気がした。彼女も今は帰ることが出来ないらしい。世界の表と裏を移動するにはかなりの闇の力が必要らしく、しばらくは元の世界に戻ることもできないとのことだった。安全だと分かっていても、何があるかは分からない。ライリーと一緒に居れば何かが会った時でも対処できるだろうと思った。彼女もしばらく滞在する場所が欲しかったみたいで、利害が一致したことで、一緒に住むことになった。
最初、ライリーは来ることを余りよしとしなかった。護衛が面倒と言うことなのかもしれないが、無理やり頼み込んだ。すると、今度俺と一緒に出かけることを条件づけられた。まぁ1日ぐらいならいいと思った俺はその条件を呑んだ。
「ん、ここが私の部屋?」
「そうだよ!」
「改めて、私は裏隠居 影音。影音って呼んで」
「よろしくね、影音!」
ライリーが影音に「よろしく」と言っていた。影音がこのシェアハウスに来たときは大違いでビックリしている。これもあの条件の影響だろうか?影音と話しているときのライリーはとても楽しそうだった。影音も若干雰囲気に呑まれつつも別に嫌って感じでもなく照れ隠しをしようとしているようにも見えた。
「影音ちゃん、私の部屋来て遊ぼ?」
ライリーが夕食を食べ終わった影音にそう言うと、彼女はどうしたらいいのか?と言う目でコチラを見てきた。これは、遊びたいのか?遊びたくないのか?
「私たちのことは気にしなくていいわ。話ならいつでもできるし」
「うん分かった。ライリー行こ」
影音は俺たちに対してまだ遠慮していたのか。そこまでは気づかなかったな。胡桃はどうやらそこまで見抜いていたらしい。実はずっと緊張している素振りはあったらしい。けど決して顔には出していなかったのだという。だから俺は気づけなかったのだろう。
「それにしてもこの家も賑やかになったなぁ」
「ええ、そうね」
「お姉さんも来てからそんなに立っていないけど、そんな気がするわ」
「そうなんですか?」
影音の部屋はライリーたちと同じく2階ということになった。最初胡桃とこの家に来たときは、2階以上は使っても1部屋ぐらいと思っていたけれど、まさか2階全て埋まってしまうなんて想像もしていなかった。しみじみと賑やかになったと感じた。胡桃も恵令奈さんもどうやらそれを実感しているらしい。エマは昨日の今日の話なので首を傾げていた。
1時間ぐらい経った後、エマと恵令奈さんもそれぞれの自室に戻った。エマはどうやら何かの研究の為の資料を作成するとのことだ。恵令奈さんはどうやら早く寝たい気分だったらしい。そんなわけでリビングには俺と胡桃しか残っていない。俺たちはソファに座ってテレビを見ていたわけなのだが、突然胡桃が体を俺の肩に預けてきた。
「どうした?」
「昔を思い出しだたけよ。2人で無邪気に遊んで、はしゃいで、一緒に寝たころを」
「まぁ、今じゃ2人ではしゃぐなんてこともできないもんな」
胡桃のことをスパイだの完璧な人間だとか思っていたけれど彼女もか弱い乙女で俺の大事な人なんだなと胡桃の顔を見て感じさせられた。
「折角だからさ……」
胡桃が短い髪を弄り、少し照れた様子で何かを切り出そうとしていた。しかし、よほど緊張していたのかそのあとの言葉が続づ、顔を背けてしまった。5分後胡桃はある程度落ち着いたのか深呼吸すると決心がついたのか再び俺の方を向いた。
「私と一緒に寝ない?」
胡桃は俺の部屋に来ていた。胡桃は最初顔所の部屋に俺を呼ぶつもりだったらしいのだが、幼馴染とはいえ、女子の部屋に入るのは抵抗があった。そのため、俺の部屋ならいいいということで妥協した。
「2人っきりだね」
ベットに仰向けで寝ている俺に対して、横から抱きつきながらそう囁いてきた。暗くて彼女がどんな表情をを浮かべているのかは分からないけど、俺の心臓の鼓動がものすごく早くなっているのは間違いないだろう。
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