#10:初戦闘
10話目です。ついに初戦闘です!
ジャンルをやっぱりローファンタジーに戻します_(_^_)_
内容はほぼ変わりません。
「どうして来たんだよ?目立つから来ないでって言ったはずだけど」
俺はライリーに怒った。すると、ライリーは首を傾げた。
「カケル君は目立つのが嫌なんだよね……認識疎外の結界をかけているから私たちの姿は見えないはずだよ?」
ライリーは認識疎外の結界を張っているそうだ。だから俺たちの姿は結界の外にいる人からは見えないらしい。それならば……と思い俺は怒るのを辞めた。彼女は異世界から来て孤独なんだ。あまり怒るのも彼女がかわいそうだ。
「ごめんな、急に怒鳴ったりして」
「ううん、ちゃんと説明しなかった私が悪いから。そんなことより早く帰ろ!」
「それにしても、なんで2人までついてきたの?」
胡桃がクスリと笑いながら、恵令奈さんとエマに聞いた。胡桃がこの笑い方をするときは、相手の考えていることが読めている、あるいはある程度の予想がついている時だ。
「「ライリーが危なっかしいから」」
恵令奈さんとエマが口をそろえて言った。
「ええっ?ひどくないですか!」
全力で抗議しているライリーをよそに恵令奈さんは話を続けた。
「それに、2人が通っている学校というものにお姉さんも興味があったから……つい、ね?」
「ついてきちゃいました」
「やっぱり、そういうことね」
どうやら胡桃は彼女たちがどうして来たのか見破っていたらしい。迎えに来るならせめて事前に言うという条件を約束させていた。
もうすぐ家に着くと思った瞬間、目の前に黒い靄が現れた。こんなもの始めてみた。しかし、これは危険なにおいがする。逃げようと思った次の瞬間、靄が縦に広がり、中から少女が飛び出してきた。彼女は服も肌もボロボロで何かから逃げてきているようだ。しかし、彼女が何者で、一体何が起きているのか分からないので近づけない。向こうも、俺らの姿を見ると焦ったような表情を見せた。
ゲートのようなものが再び薄暗く光った。すると何かが出てきた。サソリのように大きな魔物が次から次へと出てきた。少女は後ろを振り返ってその姿を確認すると、こちらを見て走ってきた。
「ボクを助けて……」
そう言うと彼女は俺の前で倒れてしまった。慌てて胡桃が彼女を抱える。
「あいつらは一体何なんだ」
「認識疎外の結界の範囲を広げておきました!これで周りからは見えないはずです!」
こんなものが他の人に見られたら大騒ぎになりかねない。ライリーの選択は正しいものだろう。だが、こいつらはやばい。本能で感じ取れた。
「みんな、逃げるわよ」
胡桃がそう言うと、俺と恵令奈さんさらにエマはその場から逃げようとする。
「ライリー、逃げるぞ」
しかし、ライリーが逃げる様子がない。ライリーが魔物の方を向いて動かない。まさか、怖気ついて逃げられないのだろうか。怖いが、助けにいかなきゃ。俺は震える足を動かしてライリーを助けに行こうとした。
「カケル君、大丈夫だよ。私に任せて!」
するとライリーは突然俺の方に振り返って、そう言った。
「『聖剣召喚』からの『サンダービームソード』」
ライリーの手元に突然剣が現れた。そして、彼女が剣を2回振ると敵の上空からビームのようなものを出して、敵を全滅させた。魔物がいなくなるとそのゲートは閉じてしまった。
「カケル君、見ててくれた?褒めて褒めて!」
「ライリー、すごかったよ!」
「うん、びっくりしたわ!」
彼女が俺に抱き着きながら、褒めてと言ってきた。さらに頭を撫でてとおねだりしてきたので、頭を撫でていた。撫でているときの彼女の表情はとても可愛らしかった。もっとしてほしいとおねだりしてきたのだけれど、妙に機嫌の悪い胡桃が、早く家に帰りたいと言った。その態度に怖気ついたのか、誰1人として反対する人はいなかった。
「それにしても彼女はいったい何者なんでしょうね?襲われていた魔物についても気になりますし」
「そうだよなぁ、俺もあんなのは見たこともない、恵令奈さんは?」
「お姉さんも見たことないわね、とにかく彼女に聞いてみないと何も分からないと思うわ」
胡桃は俺がおんぶしている少女の方を見て言った。ちなみに、少女は胡桃に男なんだから持ちなさいと言われておんぶしている。あの雰囲気の胡桃の言ったことを断る勇気なんて俺にはない。
「……ここは?」
家に帰ってから30分ぐらい経っただろうか。少女が起きたのだろう。あたりをきょろきょろしている。すぐに魔物のことを思い出したのか周囲を警戒したが、ライリーがもう倒したと言うとホッと溜め息を吐いていた。そして、彼女は俺たちに礼を述べてきた。俺たちが聞きたいのはあのゲートのこととサソリみたいな魔物のことだ。そんなことを思っていると、すでに胡桃が少女に俺が思っていたことを、全て先に聞いていた。
「順を追って説明する」
少女はそう言うと、話し始めた。
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