#1:シェアハウスの管理人
新作投稿しました。恋愛物です。もう1つの小説の息抜きに書いていけたらと思っています。1話2000文字程度、週一更新予定です。
俺の名前は佐山 翔。明日はまちに待った引っ越しの日だ。高校生になると高校の近くのシェアハウスに住んでいいということになった。お父様が経営しているらしく、そこに明日から俺も住むことが出来るらしい。いったいどんな生活が待っているのだろうか……門限がなく、英才教育も受けることのない生活……今からドキドキが止まらない。
「フフフ、眠れないのね」
「うわっ、何で俺の部屋に入ってきてるんだよ。ノックしてから入ってよ!」
俺がこれからの生活を妄想しているところに母さんが突然入ってきた。この家は俺の出来ることはお父様によって制限されていた。実の父を相手に敬語で話すだけではなく、執事やメイドに対しても敬意を持って接しろと言われていた。ただ、それを見ていた母は2人きりのときぐらい楽に話して良いと言ってくれた。だから母には凄く感謝している、だからこそ……母に対して逆らえないのだけど……
「お邪魔だったかしら?明日も早いんだし、早く寝なさい」
「分かった、じゃあお休み」
「お休み、翔」
そういうと母さん部屋の電気を消して、部屋から出て行った。明日からの生活が楽しみすぎて、俺はしばらく眠ることが出来なかった。――
――
何か声がするような気がする
「起きてください、坊ちゃま」
執事の人か、とりあえず挨拶しなきゃ
「んん……おはよう」
「おはようございます、旦那様がお待ちです」
俺に用事とは、一体何だろうか。お父様が俺に用事なんて珍しいな。
「分かった」
1階に降りて、朝食を食べに向かうとそこにはお父様と母さんがいた。
「やっと来たか、翔」
「それで何のご用事でしょうか?」
「言い忘れていたことがあってだな。実はお前にはシェアハウスの管理人やってもらおうと思うのだ」
「え……と、そんな急に言われましても」
いやいや、絶対面倒なやつだよね?シェアハウスでのんびりと過ごしたいと思っていたのに、管理人なんて面倒くさい仕事をしたくなんかない。
「大丈夫だ、胡桃ちゃんもお前に着いていくと言っていた。何かあったら彼女を頼るといい」
え、ちょっと待て。胡桃も来るのか?全然聞いてないんだけど、それって結局は俺はお父様の監視下に置かれているだけなのでは?
――山本 胡桃。茶色の髪をしてショートカットをしている彼女は、翔の事を良く知る幼馴染で翔の中学校までの学校での監視役を任されていた。幼いころから一緒にいることが多く、翔の考えていることなら何でも分かってしまう。頭がよく、運動神経もいい上にとても可愛いために、かなりの異性に告白されたが全て断ったらしい。
朝食を食べ終えた後、俺は荷物を持ち出した。外に出るとリムジンカーが止まっていて、その前には胡桃が立っていた。お父様と執事たちは仕事があるらしく、見送りには母さんだけが来ていた。
「これからよろしくね、翔!」
「ああ」
胡桃もお父様や他のメイドたちが居るときは俺に対して敬語を使うのだが、2人きりのときや母さんの前では俺に対して普通に話す。ちなみに運転手も大体のことは察してくれているので、特に何も言われない。そればかりか笑顔で見守ってくれている。
「翔をよろしくね、胡桃ちゃん」
「はい、任せてください!」
母さんがそう言うと、胡桃は満面の笑みで返した。
リムジンカーに乗り俺たちはシェアハウスまで向かった。車で2時間ぐらいの場所なので割と家からは離れている。車に乗っている間は胡桃と色々なことを話していた。話しに夢中になっていると、車が止まった。
「翔様着きましたぞ!」
「分かった、ありがとう」
「ありがとうございます」
運転手からここの家の2つ鍵受け取った。シェアハウスというより屋敷に近い感じがする。広い庭がありその奥にある屋敷は俺の住んでいたあの家に匹敵するほどの大きさだ。
「うわぁ!スゴイ広いね」
「そうだな。でもこれからどうするんだ」
ここには執事やメイドなどが来ることはない。そして他の住民は俺が決めていいと言われた。学校が始まるまで後あと1週間は街を見て回った。パソコンを買ったり、念願のゲーム機を買ったりした。今までは買うことが出来なかったけど、やっと買うことが出来た。胡桃には反対されるかなと思っていたけどむしろ乗り気で、
「一緒にゲームしよ」
と言ってきた時は凄く驚いた。それから俺と胡桃は入学式までの休みの間ほとんどゲームをしていた。何故か胡桃は凄く上手くて、俺はほとんど勝てなかった。
シェアハウスの募集もかけてのだが、もう俺の通う学校の生徒でシェアハウスを必要としている人はもう他のところをとっているだろう。そのためだろうか、特に誰かが来る気配も無かった。まぁ普通に家から通う人も多いだろうし、俺自身人が増えないほうが管理は楽である。
「明日から学校だね、管理人さん?」
胡桃が子供がいたずらするような笑みを浮かべてそう言ってきた。
「その呼び方は辞めてくれ」
俺は呆れながらそう言ったのだが、それでも胡桃はコチラを見ながらニヤニヤしていた。全く、今は胡桃しかしないが……いやこれからも2人だけかもしれないけど、管理人としてこの家を守っていこう、何となくそう思った。
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