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ファンタジー系

議題:世界運営への妨害行為についての会話記録

作者: ボイスレコーダー

「では次の議題、『世界運営への妨害行為について』ですね。はい、皆様もまだ記憶に新しいと思いますが、少し前にも世界運営妨害が発覚して問題に上がったことがありました」


「アレか。確か、該当世界で死後に画家として評価されて後世の画家達へ多大な影響を与える予定であった人物に干渉したんだったか」


「はい。予定では該当者の作品により信仰心の向上が見込まれていましたが、該当者は一国の総統にまで成り上がり、果ては該当世界の主要国家ほぼ全てを巻き込んでの世界大戦に発展した結果、予定外の技術革新が進み深刻な信仰低下を引き起こした事例がありました。これは該当世界管理者が妨害者を発見し、神格を二段階程下げる程度の報復行為を行ってる最中に、該当世界の国家が協力して該当者を討伐した事により事務的には終わっています」


「昔なら該当世界の住人に力を与えて引っ掻き回して神同士で取っ組み合いをするのは日常茶飯事だったがな。色々と面倒な規約が増えた事だ」


「その妨害者は管理世界二つの没収処分でしたな。既に解決したことを蒸し返す理由は?」


「新たに別の方法での妨害行為が二つ発見されました。管理世界の住人に過剰加護をつけ妨害世界に放り込むというもの。もう一つは管理世界から住人ではなく死にたての魂を選び、それに過剰加護を付与して妨害目的の世界に転生させるというものです」


「ほう?いやはや、目に鱗な方法だな」


「品が無さ過ぎて誰も思いつきもしなかっただけでしょう。過剰加護なんてしたら妨害に使ったその魂は時間をかけて崩れていくだけですよ」


「だがまぁ、効果的ではある。過剰加護を受けた人間は総じて無自覚に世界を荒らすが、該当世界の魂ではないから発覚も遅れるからな」


「資源である魂を妨害の為に使い捨てるとは思い切った事を。逆に人間を送り込んで育った後に回収するのはあったが、これも発想の転換という奴か。」


「管理用分霊への被害報告もあり、中には修正不能と断じられ廃棄となった世界も出ています。これからもこの様な妨害が行われるようであれば全体的な信仰量にも影響が出るのも時間の問題です」


「個々の問題では済まないと?」


「その様に考えています」


「だがどうやって止める?そもそも犯人は分かっているのか」


「効果的であるなら模倣しているのもいるだろう。それら全てを止めるのは時間が掛かるな」


「その通りです。なので、対応策として他管理者の世界への転生及び人材の移動に制限をかける処理を施す案が出されています。詳細は資料の32-5をご覧ください」


「これか。だが、これだと魂の停滞防止の移動等にも余計な制限がつくのでは?」


「臭いモノに蓋は簡単だが、管理者上りから言わせて貰えばこの案は現実的ではない。なぜ世界が他の管理者が妨害しやすい位に無防備な状態で置かれている理由はきちんと把握しているのか?ただ管理がしやすいからと思っているのならばもう一度調べ直してから改めて議題に載せて貰いたいものだ」


「世界の活性化の為であるのは重々承知しています。ですが、放置すれば停滞以上の損害が起こる可能性が高いのです」


「信仰収集は本来は副次的なものだという意識はあるかね?我々の目的は管理運営する世界の昇華にある。それを阻害する規約は本末転倒の最たるものではないかな」


「しかり。世界幾ら妨害が多いからと言って至上目的を蔑ろにする理由にはならん」


「ですが――」


「まぁ御三方、このままでは議論も並行線だろう。至上目的を蔑ろには出来んが無為な世界の損失、ひいては信仰量の低下も見逃せない。ここは折衷案を論じることが現実的な対処じゃないか」


「一理ある。それでそちらには何か案があるのかな?」


「勿論、無い。だが、妨害者を見つけさせるのに最適なのを知っている」


「誰ですか?」


「初めに話題に上った奴だ。監査部が妨害者を見つけるよりも前に見つけ出してボッコボコにぶちのめしてただろう。それ以前にもあれ程大規模のではないが、幾つか妨害を受けてたが、奴はすぐに見つけ出して妨害者をぶちのめしてた」


「鼻が利くわけか。しかし、それが今回の妨害に関わってたらどうする?」


「奴はそういう妨害には手を出さんよ。直接的に自分の管理世界が向上するのでなければリスクの方を重く見るタイプだ。それに奴は魂を多く維持する為に、普通なら修正不能で廃棄する世界も僅かにでも信仰があるのであれば管理を続けてるぐらいだ。あんな風に魂を使い捨てるマネはしない」


「随分と詳しいですな。お知り合いで?」


「教え子だ。その時から喧嘩っ早いがそういうのに頭が回り鼻も利く」


「成程。ですが、管理者の仕事もしながらとなると良い返事は期待できないのでは?」


「成果に餌をやればいい。リスクを考えて手は出してないが、リスクが無いならやり返すぐらいにはあの妨害の事に根を持ってる。一回だけ妨害に目を瞑ってやるとすれば飛びつくだろう」


「ふぅん。監査部が手を焼いてる事をどうにか出来るとは思えんが、試しにさせてみるのもいいだろう。反対意見はあるか?」


「……無いようですね。では極秘に協力を要請しましょう。では折衷案について議論を―――」






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