ミラクル・フォーティーン
「……よう! カゲマル!」
「あれれ? 腰を抜かさんばかりに、驚くかと思ったんだけどな……」
「今まで、どこで何してたんだよ、随分と遅かったじゃないか!」
日没まで待っていたヴァンパイア忍者は、長髪を結わえると、口元の襟巻きを指で下げて会話モードに入った。
「秋水殿、ここは本当の現実世界だが、私はどう見えるね?」
「いや、相変わらずの男前だぜ!」
「そんな事はどうだっていい。現実世界に私が現れる事を、これほど前もって確信できたのは、なぜかって思う訳よ?」
「フフッ! それはね、これさ……!」
秋水はポケットから、握り拳大の赤い宝石――ドラゴンドロップを取り出した。
ワイバーンの眼光を思わせる激レアアイテムは、蛍光灯の光を透過反射して光輝く。
「おお~っ! こいつはマジで驚いたぜ! ドラゴンドロップは他の世界、ミラクル14から現実世界へと持ち越せるのか!」
「この宝石が手元になかったら、さすがの僕も全て夢物語か、空想の類いだと片付けてしまったかもしれない」
秋水からドラゴンドロップを手渡されたカゲマルは、悪いクセで懐にしまおうとしたが、秋水に殴られた。頭を押さえた忍者は、間諜らしくディアブルーン再開のニュースを告げたのだ。
「秋水殿、コイツをディアブルーンのギルドとか、宝石商に売却したら、億万長者にだってなれるぜ」
「つまりログインしたら、いきなり最強の剣に最高の盾と鎧、それに最上の技と際限なしの装備が手に入るって事か!」
「すげえな! う~ん、これは憧れのMAX状態。正にディアブルーンで前代未聞の、最強チートプレイヤー誕生の瞬間が拝めるかもしれない」
西田秋水はドラゴンドロップを手にすると、慣れた操作でオンラインVRゲーム、ディアブルーンにログインする準備を着々と進めつつあった。
「早っ! もう行くのか。覚悟はできているよな?」
「ああ、カゲマル。ディアブルーンで、また会おうぜ」
「いつもの場所でな、アスカロン、いいや秋水殿!」
佐野影丸は、そう言い残すが早いか瞬間移動のように、この場から消え去ったのだ。
秋水もネットに繋がっているゲーム機にVRゴーグルを接続すると、すぐさま電源をONにした。
「待ってろよ、ティケ……」
VRゴーグルが起動すると、暗闇にグリーンの文字列を表示し始めた。
「もう一度、会いに行くからな!」
Welcome ......
Welcome back ......
Welcome back to the ......
Welcome back to the Diabloon ......
Welcome back to the Diabloon world !
【おわり】
1年以上お付き合いしていただきまして、誠にありがとうございました。
プライベートのゴタゴタがありましたが、無事に完結させる事ができました。
これもみな読者様のおかげです。
楽しんで書けましたが、いつかディアブルーン篇も書いてみたいなぁ。
土曜日からは異世界ハーレム飛行が再始動しますので、そちらもヨロシク!




