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ミラクル14✡マジカルデーモンスレイヤー  作者: 印朱 凜
第4章 ゴブリン軍団
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美少女降臨 弁天ちゃん


 その時、博物館のそこかしこに設置されている巨大液晶モニターから素っ頓狂な声が響いてきた。この博物館の新イメージキャラクター、湖の女神・弁天ちゃんと黄金ナマズ・イワちゃんのアニメーション映像である。


「はぁい! 私、琵琶湖の守り神でもある弁天ちゃんこと、弁才天ですぅ!」


「僕は弁天ちゃんのパートナーを務めている黄金のイワトコナマズです。そうだなぁ……イワちゃんとでも呼んで下さいねぇえ!」


 弁天ちゃんはミニスカ風天女服と羽衣をフリフリと振り乱し、その周りをイワちゃんが衛星のように泳ぎ回る。ロリ女神様は、エレキ琵琶の弦をピックで弾かせながら解説を始めた。


「ねえねえ、聞いてよ。イワちゃん!」


「なんだい、弁天ちゃん? エレキ琵琶のボリュームがデカすぎて聞こえにくいよ」


「ごめんごめん。実は琵琶湖博物館は近々、リニューアルオープンされるんだよぉお!」


「そいつは驚いた! 弁天ちゃんは七福神もバイトでやってるから、これから忙しくなっちゃいそうだねぇえ!?」


「おっとぉ、そいつは館長にもナイショの話だから、大きな声で言わないでぇ」


「あいむソーリィー」


「ところでイワちゃん、日本各地で水に関係する場所には弁天の名が……」


 液晶モニターが石斧と棍棒で乱暴に破壊されると、映像は途切れてしまった。プラスチックの筺や展示物を粉々にした小人はヒヒヒ、と醜く笑う。

 イグアナのような体色をした背の低いモンスターが、続々と2階へと集結しつつあったのだ。

 博物館を訪れていた他の人達は、いつの間にか姿を消していた。あれほどいた家族連れ等の方々は一体どこに? ……どうもコイツらにも今までの化物と同様に、人払いの能力が備わっているとしか思えなかった。


 西田秋水は、モンスターの襲来に『またか……』という溜め息にも似た独り言を呟いた。まだこの前のバトルの記憶が、色褪せていないというのに。


「ティケさん! また来ましたわよ! ディアブルーンから抜け出してきたかのようなモンスターが! 見覚えがありますけど、ゴブリンかな?」


「秋水!? 何か変な口調になってるよ!?」


「そりゃあ、一番来て欲しくないタイミングで、不意を突かれると、こうなりますがな!」


「そうなの? 安心して。数は多いけど、レベルの低い奴らだから」


「くそ雑魚でも、質より量で押し寄せてきたら危ないんじゃないの?」


「そうかもね、よく見ればアマゾネス・ゴブリンみたい」


「何じゃそれは!?」


 ゴブリン達は、三つ編みの頭に簡素な兜を被ったり、長い髪をポニーテールに縛っている。ワンピース風の毛皮や防具の下にある胸は、それぞれ女性らしく膨らんでいた。背が低くても結構筋肉質で締まっており、手製の棍棒や盾の他、人間やドワーフから奪ったとみられる槍や剣などの武器を携えているようだ。


「ゲッゲッゲッ……!」


 尖った耳に凶悪な面構えをしたアマゾネス・ゴブリン軍団は、緑色の顔を西田秋水に向けると、嬉しそうに涎を垂らすのだ。


「秋水、気を付けて! どうも私だけでなく、あなたも狙われてるみたい!」


「何だって!?」


「アマゾネス・ゴブリンは女性しかいないから、人間の男を誘拐するそうよ」


「狼女の時といい、何で僕はモンスターどもから好かれるんだ!?」


「マキちゃんも行久枝ちゃんも秋水の事が好きみたいだし、本当に羨ましくなるほどモテモテだね」


「そんな冗談を言ってる場合じゃない! 昼間はカゲマルの助けも期待できないし……。この数はマジでヤバいよ!」


 ティケは髪に差していたドラゴンメイスを巨大化させると、軽々と素振りした。本来メイスとは、鎧などに打ち付ける打撃用の武器なのだ。

 




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