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異種族ライフの楽しみ方  作者: 久条 巧
1/1

これから人間に生まれ変わります

異世界ライフの楽しみ方の世界で起こった、もう一つのゆるーい転生物語です。

マチュアとストームのような激しいストーリではなく、まったりとした日常です。

六神の加護をダイレクトに貰っているので、ストームやマチュアよりも強いですが自覚はありません。


本編終了に伴い、こちらも完結扱いとさせてもらいます。


 この場所が好きだった。

 大好きなおばあちゃんの家。

 ちっちゃい頃に、お父さんとお母さんに連れてきて貰った家。

 ちょっと田舎で、バスも一時間に一本しかなくて

 電車も朝と晩に一本ずつしか無い不便な村。

 去年やっと村で最初のコンビニが出来た。

 おばあちゃんは喜んで毎日買い物に出かけていた。

 ちょっと足が悪くて、よたよたとコンビニにいくのが日課になっていた。

 近所に住んでいた人たちも、どんどん村から出ていった。

 それでも、おばあちゃんはずっとこの村に住んでいた。


 雪が酷く降り積もった日には、近所の消防団の人が雪かきを手伝ってくれた。

 様子を伺いに、デイケアから電話がかかってくるのが楽しみだった。

 おばあちゃんは月に一度、バスに乗って大きな村にいくのが楽しみだった。

 今年は、月に二回も大きな村に出かけていた。

 先月は、三回も大きな村に出かけていた。

 先週、白く煩い乗り物にのっておばあちゃんは村に向かった。

 昨日、ひさしぶりにおばあちゃんの子供たちが、遊びに来た。

 でも、おばあちゃんは何処にもいない。


 どこにいったの?

 いつ帰ってくるの?


 聞いても誰も答えてくれない。


 今日。

 おばあちゃんが帰ってきた。

 ずっと布団で眠っている。

 その近くで、子供たちが泣いていた。

 おばあちゃんの名前を呼んで泣いていた。

 どうして泣いているのか、わたしには判らなかった。

 だって。


 私の隣で、悲しそうな顔をしているばあちゃんが座っているから。

『ミャウや。ごめんね。一人にしちゃったね‥‥』 

 そう呟きながら、おばあちゃんは頭を撫でてくれる。

 ひとりじゃないよ

 おばあちゃんがいるから。

 どうしてそんな顔をしているの?


『もう、いかないとねぇ‥‥』

 ゆっくりと立ち上がったおばあちゃんは歩き始めた。

 目の前に、光る門がある。

『‥‥また、どこかで会えたらね‥‥その時は‥‥』

 私はおばあちゃんについていく。

 光の門にも入れた。

 後ろを見ると、私はおばあさんの傍らで眠っている。

 

 そうか。

 おばあちゃんも私も‥‥。

 


 ○ ○ ○ ○ ○


 何もない白い空間。

 本当に何にもない空間。

 ただ純白の世界が広がっている世界。

 足元も、空も、右も左も。

 地面が何処にあるのか分からないぐらい、とにかく白い。

 私はそこに立っている。

 体が何処にあるのか分からない。

 白い光になったと、自分でもわかった。

 でも、ここにはおばあさんはいない。


『あら? 迷子ですか?』


 どこかから声がする。

 はい、迷子です。

 おばあさんをさがしています。


『ちょっとまっててくださいね‥‥』


 はい。

 待ってます。

 待つのには慣れているのです。


『ふむ、何かの因果律によって、間違ってここにやってきてしまったのか』


 そうなのですか?

 ここは何処なのですか?

 おばあさんは何処ですか?


『ここはな。神々の住まう地エーリュシオンという』


 神様ですか?

 という事は、天国ですか?

 おばあさんは何処ですか?


『ちょっと待っててね。今調べてあげるから』


 ありがとうございます。

 おばあさんをひとりにしたくないのです。

 もう泣いているおばあさんをみたくないのです


『ちょっとミスティ、その子のおばあさんって‥‥ですよ」


 ん?

 すいません、ちょっと聞き取れません

 おばあさんがとうかしたのですか?


『貴方のおばあさんはね。輪廻の枠に乗れたので、もう転生したのよ』


 転生?

 ということは、どこかにいるのですか?

 どこにいるのですか?


『それは教えられないのだよ。すまんなぁ』


 そうなのですか?

 おばあさんは一人じゃないのですか?

 もう会えないのですか?


『‥‥どうしよう』


 ごめんなさい

 困らせてしまいましたか

 わたしはどうなるのですか?


『君は、何故か輪廻の枠から外れてしまった』


 はずれたのですか?

 でも、なににはずれたのかわかりません。

 おばあさんにあいたい


『困ったのう。自我が強すぎて、どうやらあっちからきてしまったか』


 あっちとはどこですか?

 わたしはおばあさんについてきました

 おばあさんにあいたい


『真央と善のときの歪みが、まだ強く影響しているのか』


 ぜん?

 まお?

 その人はしりません。


『うんうん、君の知ることではないよ』


 そうですか?

 おばあさんは何処ですか?

 おばあさんにあいたい


『どうする?』

『このまま此処においておくのも可哀想だが』

『でも、あの創造神のやらかしたツケでしょ?』

『やる?』

『まあ、不可能ではないが』

『八柱神が揃わないから、完全ではないよ?』


 なにをやるのですか?

 わたしはどうなるのですか?

 おばあさんにあいたい


『貴方のおばあさんは、とある世界で転生しました』

『といっても神々の気まぐれではなく』

『正しい輪廻転生を行った』

『貴方のおばあさんはまだ生まれたばかり』

『それに過去の記憶もない』

『それでも会いたいのか?』  


 あいたい

 もういちどあって、おれいをいいたい

 ひろってくれてありがとうって


『なら私は貴方に知恵を授けます』

『俺は強さを授けよう』

『私は、強靭な肉体を』

『私は魔術の深淵を』

『俺は無限の財力を』

『わたくしは最高の美を』


 そんなにいらない

 おばあさんにあいたい

 もうあえないの?


『貴方がおばあさんに会うには、貴方も転生しないといけないの』

『だが、輪廻の枠から外れた君は、普通の転生は出来ない』

『このままだと、ずっと此処で漂うことになる』

『だから、おばあさんの居る世界で、おばあさんを探しなさい』

『但し、輪廻の枠から外れた貴方は、過去の記憶も失ってしまう』

『但し、魂に触れると、貴方もおばあさんも一瞬だけ記憶を取り戻す』


 どうすればいいの?

 もういちどあえるなら

 おねがい、ちからをかして


『何もわからないところから始まるけれど』

『貴方は自分の足で歩かなければならない』

『どうしても困ったことがあったときは』

『マオとゼンに逢いなさい』

『きっと力になってくれると思うから』

『ということだ、がんばれ』


 ありがとう

 あなたたちはだれ?

 ほんもののかみさま?


『輪廻転生を司っているのは創造神だけ』

『私たちは、輪廻によって振り分けられる、幾つもの世界の一つの神』

『さあ、そろそろいくのです』

『最初は戸惑うこともあるでしよう』

『けれど、その優しさを武器に、世界を旅するのです』

『きっと、どこかで会えるでしょう』


 なに?

 もう声がきこえない

 かみさま、わたしはどうなるの?

 ねぇ、わたしは‥‥

 そうか‥‥

 わたしもおばあさんのいるせかいに転生するのか‥‥

 

 かみさま、ありがとう‥‥


To be continue……異世界ライフの楽しみ方


誤字脱字については随時修正していきます。

また表現やその他気になったところも随時修正していきますので。

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