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ガトゴト、ガトゴト。
青い空、整備された街道。そこに一台の馬車が道を進んでいく。
馬車の中には小麦をはじめとした食料品に衣類の原料となる綿など数多くのものが積み込まれている。
そんな馬車に乗っているのは1人の男に2人の少女。外見年齢だけで話しをするなら、男と少女たちにはだいたい親子くらいの年齢差が見られる。まあ、男と少女たちはまったく似ていないので親子に見られることはまずないし、そもそもこの3人に血縁関係は全くないわけなのだが。
ではそんな3人を順番に見ていくことにする。
まず男の方に目を向ける。男は少し色のくすんだ茶髪におおよそ初老くらいの外見。そしてその身なりはいかにも旅の商人といった感じである。
次に2人の少女に目を向ける。
1人目の少女はきめ細かな白い肌に加え、淡い金色の髪を肩口あたりまで伸ばし、きれいな翡翠色の双眸をしている。外見年齢でいえば10歳過ぎ、おおよそ12~13歳くらいといったところか。全体的に活発でかわいらしい雰囲気をまとっている。
次に2人目の少女であるが、この少女を一言で表すならば異質である。しかし異質といっても決して悪い意味ではない。端的に言えば、神に愛されていると言われても信じてしまうような美をその少女は持っていた。少女の外見はおおよそ10歳程度。下手したら一桁だといっても通じる。その肌は雪のように白くシミひとつない。腰まで届く長い髪はまるで闇夜を照らす月のような輝きを持つ純白。しかしその瞳は燃えるような深紅。純白の中にある二つの紅い輝きは見た者をどこまでも引き込んでいく。
そんな何とも奇妙な組み合わせの3人であった。
「あらためてですけど馬車に乗せていただいてありがとうございます、セルゲイさん」
淡い金色の髪の少女が商人風の男―セルゲイ―に言う。
「イヴだったか?そんなに気にしなくてもいいぞ。どうせ行先は同じなんだから」
セルゲイは淡い金色の髪の少女―イヴ―の言葉に快活な笑みとともに答える。
「そうよ、イヴ。あんまり気にしすぎるのもどうかと思うわよ」
セルゲイの言葉に同意を示すのは白髪の少女。
「いやリリスちゃん。こういうのは気持ちの問題っていうやつでね」
しかし白髪の少女―リリス―の言葉にイヴは若干あきれ交じりで言葉を返す。
「はっはっはっ。リリスの言う通りだ。イヴはもう少し楽にするといいぞ」
そんなイヴとリリスの会話(というよりリリスの言葉)に、セルゲイは特に気を悪くすることもなく、むしろリリスの言う通りだと笑う。
「あ、はい。わかりました」
セルゲイの言葉にイヴはリリスの方を向いていたのをセルゲイの方に向き直り返事をする。するのだが―。
「イヴ、言葉が固いわよ」
そこにいらない一言を言ってくるリリス。
「リリスちゃん、うるさい」
「まあまあ、イヴはおいおい慣れていけばいいさ。むしろリリスのその物怖じしない態度はすげえと思うぜ」
「まあそれほどでもあるわね」
「……セルゲイさんの言葉に同意はするけど、リリスちゃんはもうちょっと謙虚さとかを覚えた方がいいと思う」
リリスの無駄に大きな態度にイヴがため息交じりにそう言う。
そんな会話を繰り広げながら馬車は街道を進んでいった。
なんか思うように手が進まなかった…。




