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私が永遠を生きるその前の話  作者: Towa
1章 そして私は永遠を手にする
80/102

<80>

「これで二人目」


 男はイヴの胸に突き刺したダガーを引き抜こうとする。

 これで完全に場のバランスは崩れた。いまだ吸血鬼のほうが数が多いがそれも時間の問題だろう。そう思い男は三人目のターゲットとしてリアの方を見据えようとする。


 ガシッ。


 しかし唐突に現れた腕の違和感によってその行動は中断させられる。何が起きたと彼が視線を下に下げる。


「……やっと捕まえた」


 そこには胸を刺された痛みに顔をしかめながらも男がダガーを突き刺した腕を力の限りつかむイヴの姿があった。その瞳は絶対に逃がすものかと男を強くにらみつける。


「なっ!?どういうことだ?」


「それはどういう意味で聞いてますか?でも、あなたに教える義理はありません。リアさん(・・・・)やってください(・・・・・・・)


 男がイヴの声にあわててリアの方を改めて見ると、そこにはすでに男のほうに迫っているリアの姿。


「くっ、はな―」


 男はイヴの拘束を振りほどこうとする。しかし単純な身体能力において吸血鬼の方が上である。そのためイヴの拘束を一瞬で振りほどくなどという芸当は当然男にはできなかった。その結果リアが放った拳を男は真正面から受けることとなった。


「うっ……」


 バタッ。


 リアの攻撃をまともに受けてしまった男はそのまま地面に倒れふした。






「お疲れさま、イヴ」


 敵の一人を倒しリアが今度は仲間の援護に向かった後、イヴは後ろから声をかけられる。振り返らなくても誰かはわかる、リリスだ。


「何とか作戦通りになったよリリスちゃん。でも正直痛みで意識が飛びそうでかなりぎりぎりだったけど」


「ごめんね、あんな不確定要素も多い作戦とも言えないような作戦しか考えてあげられなくて」


 そう言ってリリスはイヴにすまなそうな顔を向ける。


「まあ何はともあれ、リリスちゃんの考えたとおりになってるんだから問題ないよ。この武器も、予想通り真祖吸血鬼の私には効かなかったし」


 その言葉とともにイヴが手元の血のように赤い武器に目を向ける。先ほどまでイヴの胸を刺していたものだ。


「それに関しては私も安心したわ。吸血鬼を殺すようなものが()以外に見つかってなくて」


 『血の武装』またの名を『吸血殺し』。不死とされる吸血鬼でさえ殺すとされる武器。今まさにイヴの手元にある試作品もそのひとつだ。

 だがここで一つ疑問が生まれる。不死といわれる吸血鬼、そんな規格外の存在を殺せるようなもの一体どこから出てきたのか?

 過去研究所では様々な方法で吸血鬼の不死性に対する研究が行われた。しかし唯一つの例外を除いて吸血鬼を殺すということはかなわなかった。

 ではその例外とは何か?


 答えはリリスの血である。


 リリスの血は摂取したあらゆる生物を殺す。魔物しかり不死であるはずの吸血鬼しかりである。

 そんなある意味で万能のアイテム、どのように使うと聞かれればもちろん兵器開発である。なにせ人間だけにとどまらず魔物でさえもリリスの血は殺すのだ。当然何かしらの武器として扱うことになってしかるべきである。実際に研究所でも吸血鬼が生まれる前までは兵器開発に関して一番研究をされていた。最近はあまり兵器関連については研究されていない様子であったが、このイヴの手元の『血の武装』を見る限り、研究自体は続けられており、最近になってその成果が出てきたようであるが。

 しかし万物を殺すリリスの血にも例外というものがあった。それが真祖吸血鬼と呼ばれる存在である。そもそもなぜ吸血鬼などという存在が現れたのか?それは偶然にもリリスの血を摂取しても大丈夫な存在が発見されたからである。理由はわからない。そもそも真祖と呼ばれる存在が現状二人しかいないため研究もほとんど進んでない。だが一つ確実にいえることは、吸血鬼の始まりたる真祖吸血鬼はリリスの血で死なず、他の生物にとって死でしかないリリスの血を自分に適応させ我が物とできるということだ。

 これらの事情があった結果吸血鬼に対してさえダメージを与えるはずの赤いダガーは、真祖吸血鬼であるイヴにとって致死でもなんでもない通常のダガーによる刺突ダメージしか与えられなかったのである。

やっとこの辺の伏線を回収できた…。

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