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キンバリーたちが戦っている隠し通路の守護者の男と戦っている中、イヴたちは戦闘開始と同時にそのわきを一気に駆け抜け通路をさらに奥へと進んでいく。
「キンバリーさんたち大丈夫でしょうか?」
「大丈夫。そうじゃなくても大丈夫だと信じるだけ」
今は前に進むことだけを考えるべきではあるのだが、後ろに残してきたキンバリーたちのことも気になってしまう。キンバリーは強い。これは間違いない。出会ってからほとんど時間など立っていないが、彼とここまで一緒に来たことでその強さは十分に見てきた。しかし強さというならそれは守護者の男にも言えること。イヴは戦闘に関しては当然素人以下である。だから相手の力量を測ることなど当然できない。しかしそれでも感じるのだ。キンバリーと似たような雰囲気を。さらに言うならあれだけ強いキンバリーが3対1で戦いをしようというのだ。この事実だけでも相手の力量が高いことがうかがえる。
「もうすぐ目的地よ」
「……はい」
ついつい考え込んでしまったイヴであったがリアの声に意識を目の前に戻す。そう、今は考え込んでる場合じゃない。
そうして前に戻した視線の先には両開きの大きな扉がある。その扉は金属製のもので、イヴにはよくわからない幾何学模様のようなものが描かれている。
「ティナ、お願い?」
「まかせて」
リアに呼ばれてティナと呼ばれた少女が前に出てくる。淡いブロンドの髪にあどけない感じの顔で全体的に小柄で線が細い。見た感じイヴより2、3歳上くらいといったところか。
「どう?いけそう?」
「……うん、これなら問題ないよ。事前に予習した通り」
そう言ってティナ扉の前に手をかざす。すると紫色の光が扉を覆った。
イヴにはティナが具体的に何をしているのかわからなかったが、彼女はこの目の前の扉の開錠を行っていた。そもそもこの地下の機密エリア、他の場所と違い中枢からの一括制御による防衛システムに加え予備用に独立したシステムも備えている。そのため中枢を落としただけではここのシステムすべてを落とすことはできない。それは当然この場所の重要性ゆえである。そしてだからこそティナが必要となってくる。彼女は戦闘能力というようなものは一切ない。吸血鬼ゆえの身体能力の高さはあるがそれだけである。おそらく研究所の戦闘員たちと闘ったら秒殺されるのが落ちである。しかしティナには戦闘能力に代わる魔力の操作能力がある。それはこの脱出計画が始まるまでのすべてを戦闘能力ではなく目の前の扉を開ける力を得るために費やした努力ゆえである。
そうしてティナは扉にかかった防衛システムを一つ一つ壊していき―。
「開いた」
その一言とともに扉を包んでいた自身の魔力を霧散させた。
「お疲れ、ティナ」
「ありがと」
仕事が終わったティナにリアはねぎらいの言葉をかける。
「さて。じゃあ開けましょうか」
そのリアの言葉にイヴたちは首肯で返す。
みんなの反応を見た後、リアは扉に手をかけ、ゴゴゴと音を立てながらその扉を開いた。




