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「あれ?その辺りのことリリスから聞いてない?」
「その辺り?」
「うーん、こういう時どこから言えばいいのかな……」
イヴの疑問にどうしたものかとリアが考え始める。しばしの間考えていたが、結局それは長くは続かず、すぐに終わりを告げる。
「話は一旦やめろ。敵だ」
キンバリーの声にイヴは前方を確認する。しかし前方にはそれらしい影は見られない。一方リアの方は相手に備え前方を向き直りつつ、いつ攻撃が来ても大丈夫なように警戒を強める。その姿から、イヴは敵の認識ができなかったがおそらくリアの方は敵の認識できているのだろう。そうこうしているうちに前方にある曲がり道から何人かの人が曲がってくる。
「さすがに一人も敵と出会わず脱出ってのはむりだよね……」
リアのため息交じりの声を聞きつつ、相手の方を確認する。数は3人。そしてその全員が仮面こそしていないが、あの夜に村を襲った集団と同じ全身真っ黒な服装をした男たち。イヴにとって因縁のある相手だ。
「俺が先行する。お前たちはそのまま突っ切れ」
そう言ったと同時にキンバリーは一気に加速し濃紫色の残光とともに前方を駆ける。その姿に全歩の三人も一瞬驚くもすぐさま反応し、迎撃の姿勢をとる。
「悪いが先を急いでいるのでな。押し通る!」
勢いそのままで前方の三人に一気に突っ込むキンバリー。勢いそのままに拳を一番手前の男に叩き込もうとする。しかし相手もただキンバリーが来るのを待つなどということはなく、何やら突然白い障壁のようなものが男の前に出現する。しかしキンバリーは障壁などお構いなしに躊躇なく拳を振りぬく。振りぬいた拳は障壁を一撃で破壊し、そのままその後ろにいた男を文字通り吹き飛ばした。
これにはさすがに残った二人も驚愕の顔をしていたが、すぐに切り替え片方は腰の剣を抜きそのまま切りかかる。しかしそれもキンバリーは左腕を使い素手で剣を弾いたかと思うとそのまま右の拳でもってやはり男を吹き飛ばす。
しかし最後に残った一人が先ほど剣を持った男とキンバリーが戦っている間に何かしたようで、空中に白い光の球をいくつも作っていた。パッと見たところ十個以上はある。それらを一気に解き放ちキンバリーの方に発射する。キンバリーさん大丈夫!?とイヴは思ったが突如濃紫色の光がキンバリーの全身を包んだかと思うと光の球などお構いなしに突っ込む。明らかに光の球の直撃を受けているにも関わらず一切ひるむことなく最後の男の前に到達する。男は後ろに下がろうとしたがやはりキンバリーの方が動きが早く、そのまま彼の拳に男は吹き飛ばされた。
ちなみにここまでわずか十秒足らずの出来事であり、当然キンバリーは無傷であり、吹き飛ばされた男たちは起きる気配が全くない。そしてそのまま何事もなかったかのようにイヴたちのもとに戻ってきた。
「……キンバリーさん、強すぎじゃないですか?」
「ははは。……私もそう思う」
そんなキンバリーを見て、思わずといった感じに言葉が漏れてしまうイヴとリアであった。




