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それから走り続けることしばし、結局特にこれといった脅威と遭遇することなくイヴは目的地に到着した。
「他の人はまだ……あ、来たみたいですね」
イヴが到着した直後に自分と同じ服装―研究所に来てから毎日支給されている薄手の上下白の服―の集団がイヴの入り場所に入ってきた。集団は男6人に女3人のあわせて9人であった。その9人はイヴの姿を確認するとこちらに近付いてきた。そうして真正面から相対したところでその中の男の一人が話しかけてくる。
「確認するが君がイヴだな?」
「はい。そうです」
イヴが答えた後、男は品定めをするようにイヴを見てくる。……正直ちょっと居心地が悪い。
「外見も一致しているし、魔力反応もある。間違いないだろう」
どうやらさっきイヴを見ていたのは外見と人間にはない魔力を見ることで本人かを確認していたようだ。
「俺のことはキンバリーと呼んでくれ。それと悪いが他の奴に関してはゆっくり自己紹介というわけにもいかないのでな。その辺は走りながらでも。では先を急ごう。はぐれないよう俺たちについてきてくれ」
そう言って男は他の8人に目配せをする。8人がうなずいたのを確認すると今度はイヴが来た道でも9人が来た道でもない方の道を向く。
「行くぞ。リリスのもとに」
そう言って一気に駆け出した。イヴも皆に遅れないようについていく。
しかし走り始めてすぐ『もっと速くしなくて大丈夫でしょうか?』などと考えていたのだが、キンバリーはそれに気づいたのだろう。出だしこそイヴに気を使ってそれなりの速さ―一般人と比較すれば十分に速い―でしか走っていなかったが、「ペースを上げるぞ」と皆に声をかけた後、スピードを一気に上げ、先ほどイヴが皆と合流するまでに出していたスピードくらいまで上がった。
スピードが上がったことでイヴが改めてはぐれないようしっかりついて行こうと考えていたら―。
「イヴちゃん、速さは大丈夫?辛くない?」
とイヴの右側から声をかけられた。声がした方を向くと長い黒髪を後頭部で結んだ白い肌に整った顔立ちをした女性だった。
「あ、はい。さっきもこのくらいの速さでしたし大丈夫です」
「うわー、さすがは真祖。すごいね。あ、名前まだいってなかったね。私はリアっていうの。よろしくね」
そう言って笑いかけてくる。
「あ、はい。こちらこそです。それと……」
「ん?どうしたの?」
「さすがはしんそ?ってどういうことです?というよりそもそもしんそって何ですか?」
安定の切りの悪さ




