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「リリスちゃんに?何かあるんですか?」
「ええ。理由は大きく分けて二つよ。まずこの吸血鬼に関する一連の出来事がすべて私を起点して起こっているということ。つまり極論私一人が手元にいれば吸血鬼の研究は全部できるのよ。だから研究者たちにとって私というのは最優先で確保すべき対象なわけ。それに加えてもう一つの理由がこの計画の第一段階、私がここのシステムを壊すことになってるけど……多分ここで私は私の力の大部分を使うことになるわ。そうなると私はただ不死身なだけの存在になる。そうなったら私は格好の獲物ね。なんせ不死身だからどれだけ手荒に扱っても問題なし。その上反撃らしい反撃もほとんどできないんだもの。だからね、私はこの計画においてできるだけ早く逃げないといけないの。それでね、さっきは何もしなくていいって言ったけど、正確には脱出前に一つ寄り道をしてほしいの。つまりね―」
「計画の始まりと同時にできるだけ速く仲間の人たちと合流。そのあとリリスちゃんを助けに行く」
これからやるべきことを再確認したイヴは、それを口に出すのと同時に決意を固める。
絶対にリリスと一緒にここから出ると。
イヴがどうしようもなかったとき、話しかけてくれたのはリリスだった。
心を失くさずにすんだのもリリスのおかげ。
そしてリリスのおかげでもう一度先を見すえられるようになった。
だからイヴは自分を救ってくれたリリスに少しでも何かを返したかった。
―これで少しでも返せれたらいいのですが……。
だから守る。何があってもリリスがここから出られるように。
イヴはそんな決意を一人固めながら脱出計画の開始を待ち続けた。
そして―。
ビー。ビー。ビー。ビー。ビー。
研究所内に普段発せられることのない音が響き渡る。それは研究所が何者かからの攻撃を受けた際に発せられる音である。しかしそれも数秒続くとすぐに鳴りやむ。もちろん誰かが手動で止めたというわけではない。それらの警報システムが内側から破壊されたからだ。そしてそんなことを行った人物はもちろんイヴはわかりきっている。
ここまでは計画通り。
「さすがリリスちゃんです。あとは私たちが頑張るだけ!」
そうして吸血鬼たちの反逆が始まった。
ここから反逆の開始です。




