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本当は昨日ここまでやろうと思っていたところです
ようやく話が動き出しました
しばらく暗い部屋の中で一人物思いにふけった後、これからの時間をどうすごすか考える。
まず思いつくのはもう一度寝なおすというもの。実際問題、魔物が関わるような案件において自分にできることが皆無であることはイヴ自身もよくわかっている。まだ子供であり現在の状況を何も把握していない自分が色々と動いている大人たちの中に入ってもおそらく邪魔にしかならない。ならば今はしっかりと休んでこの騒動が終わった後の事後処理の時にしっかり手伝うようにするのがいいだろう。
ほかに思いつくこととしてはこのまま―とりあえずお母さんが帰ってくるまで―起きて待っているというものである。起きてからしばらくたつが、どうも家の中に自分以外の人がいる気配が感じられない。おそらくではあるがお母さんは家の外に出ていると思われる。そしてこれもおそらくではあるが家の外に出ているということは何かしらの情報収集をしているのではないかと考えられる。
-今どうなってるのか気になるんだよね。ていうか起きてから時間がたって目がさえちゃったせいか気になって寝れそうにないんだよね。
そう考え、とりあえずお母さんが戻ってくるまで待つことに決める。
正直お母さんが一晩中戻ってこないという可能性もわずかながらあったがイヴは完全にその考えを考慮しないことにした。
-そうと決まればこれからどうしようかな。
そんなことを考え始めたところで家の扉が開かれる音が聞こえた。どうやらお母さんが戻ってきたらしい。扉が開かれた音を聞いた後お母さんがまっすぐに寝室の方まで急ぎ足で来るのが聞こえる。
-お母さん、そんなに急いでどうしたんだろう?
そう思ったところで勢いよく寝室の扉が開かれた。
「イヴ、起きなさい!」
そう言いながら部屋に入ってくるお母さん。
「起きてたのね。ならすぐ動けるかっこうに着替えなさい」
そしてそんな言葉を続ける。
「えっと、どうしたのお母さん?」
「理由は歩きながら話すわ。とりあえず早く着替えて。逃げるわよ」
そうお母さんは不穏な言葉を口にする。
そして私の現実はここから一気に音をたてて壊れ始めた。