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「よろしい。それでそこから先は合流した人たちについていけばいいわ。正直一気に情報をたくさん伝えても大変だろうからとりあえずそれだけ覚えておいてね」
「はい!」
「じゃあ最後に今回の計画の目標、目指すべき到達地点について話すわ」
「ここから脱出することじゃないんですか?」
目指すべき到達地点と言われてイヴが真っ先に思い浮かんだのは研究所からの脱出である。というよりもそれ以外に何かあるのだろうかと疑問に思った。
「それは計画における目標の最低ラインの話。私たちの中の誰か一人でもつかまったままでいる限り吸血鬼に関する研究は続けられる。つまり人がどんどん死に続けることになるの。そんなことこれ以上やらせないためにも全員脱出は最低ライン。できるならこれ以上研究が続けられないように現在研究所内にあるすべてのサンプルや資料、研究データを抹消する。これが最大の目標になるわね。それがかなわないようなら、せめて私たちからとったサンプルはできる限り破壊しておきたいわね」
リリスの回答にイヴはなるほどと思った。確かに自分たちが脱出するだけでは不十分であった。しかしそれならばとイヴは一つ疑問が浮かんだ。
「それじゃあもしかして私も何かしないといけないんですか?サンプルを壊すとか?」
先ほどの話を聞いたなら当然の疑問であった。それに対してリリスが答える。
「イヴは特に何もしなくていいわよ。そういうのは他の人たちがやるから。イヴたちのグループはできる限り早く脱出することが仕事になるわね」
「……もしかして私のためですか?」
正直イヴはほんの少し前まで普通の村人をやっていた自分に荒事ができるとはとても思えなかった。吸血鬼の力もあるがそれだって自覚したのは数日前。使いこなせる気はまったくしない。そのようなことから先ほどの言葉が出たが、リリスはその疑問に対してすぐに答えた。
「いえ違うわ。そもそも最初からイヴが一緒に行動するグループはできるだけ早く脱出するようになってたから。そこにイヴを組み込んだのは配慮だけど、イヴとは別のところで早く脱出しないといけない理由がそのグループにはあるのよ」
「別の理由?」
「ええ。率直な話をすれば理由は完全に私にあるわ」
また中途半端なことに…。




