<36>8年前⑥
それは本当に突然のことでした。
お昼休みも終わり午後になってしばらくしてからです。
「うぅ。お昼ご飯を食べたあとの勉強はどうしてこうも眠いのですか」
現在私は絶賛睡魔と闘い中。しかし私の意識は必死の抵抗むなしくだんだん睡魔に侵食されていきます。
「この時イアン君はどうしてこんな行動をしたのか―」
ちなみに今は物語を読んでその内容について読みといていくといった授業です。今も先生が何やら言っているみたいですが……正直いまの私からしたら子守唄と大差ないです。
「こんなときこの座席位置が恨めしいです」
なので私は寝ないようにするためにとりあえずどうでもいいとこを考えて気をまぎらわすことにしました。
ちなみにさっきのセリフはハナちゃんを眺めて眠気をまぎらわそうかと考えたけどそれが難しいことに対するものです。ハナちゃん、私の左隣なんですよね。前にいたら堂々と見れたんですけど、さすがに左隣をずっと見るなんてことをしてたら絶対先生にバレます。そうなったら後々面倒なことになるんですよね……。隣なのは嬉しいけど今ばかりは恨めしいです。
「ですがそこで諦める私ではありません」
堂々とは見れないですが、どうにかして視界の端に捉えようと努力します。しかしこれ、先生には感付かれてはいけません。その微妙なさじ加減が難しいところです。
……。
……。
……。
……、ホントに私は授業中何をやってるのでしょう。
一瞬我に返った私。気がつけば先生の話をまったく聞いてませんでした。
ま、まぁでも、眠気はどこかにいったので当初の目的は達成です。達成ったら達成なんです!
そうして今更ながらに先生の方を向こうとします。
しかしその時、私の視界の端に何やら妙なものが映ります。具体的には窓の外、空に何やら黒い影が見えます。
「鳥でしょうか?」
とりあえずありそうなものを考えて見ますが、私の勘は鳥じゃないと言っています。なんというかもっと違う、私たちとは違う何かだと私の本能が告げています。
「じゃあいったい―」
私はあれは何なのか考えることにしました。しかしそれは結局できませんでした。
ドーン。ドドーン。
直後に何やら大きな音が窓の外から続けざまに聞こえてきました。それはまるで何か大きなものが壊れている、そんな音でした。
後になって思い返してみると、あれは日常が壊れ始めた音。そんなものだったような気がします。
この過去編もそろそろ終焉に向かいます。もうしばらくお付き合いください。




