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とりあえず書いた分だけでも…
「う……だ……」
「否定したい気持ちもわからないでもないけど残念ながら本当のことだよ」
「うそ……だ……」
「それにさっきも言ったけどもうなんとなくわかってたんじゃない?」
「うそだ……」
「ほら、実際君も見ていただろ。全身から血を流して倒れていく人たち」
「うそだ!」
必死に室長の言葉を否定するイヴ。
「そんなの……絶対……おかしいよ」
しかしすでにイヴの思考はまともに働いておらず、ただただ室長の言葉を否定したい一心であった。
「だって…………みんな……さっきまで…………あんなに……」
どうにかしてあの朝以外のことを思い起こそうとする。
「でも……そんな……」
しかしそんな努力もむなしく、思い出されるのは赤い血が大量に流れるところ。そしてその血を流している見知った人々。
「違う……違う違う違う!」
そうして徐々に意識が混濁していく感覚に襲われ、再び目の前が真っ赤になっていくイヴ。
「……」
その様子を室長はただ黙って観察している。
そうして必死に現実を否定し続けていたイヴであったが徐々に意識の混濁は進み―
「い……や……」
あの朝と同じようにつぶやいて再び意識を手放した。
次に起きた時にはこれまでと変わらない日常が広がっていることを心の奥底で祈りながら。




