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「他に何か聞きたいことはあるかい?」
「……」
そう聞かれ次に何を聞くべきか考えるイヴ。するとそれをさえぎるように室長が声をかけてくる。
「それにしても意外だね」
「……何がですか?」
「いや、よく考えるとやっぱりそれほど意外でもないかも」
「だから何がです」
「聞かないのかなかなぁって思って。あの後のこと」
あの後のこと。その言葉から思い当たることはある。あるのだが……。
「……そもそも、何で私に色々と教えてくれようとしてるんですか?」
イヴは別の気になっていたことについて聞いてみる。……本当は一番気になっていることを考えないようにするために。
「ああ、それに関しての説明は簡単だよ。君たちに対して約束したからだね」
「約束?」
イヴはその『約束』というものについて考えてみたが、まったく思い当たる節がなかった。……正確には考えないようにしていることがあるため正解にたどり着けなかった。なぜなら……。
「もしかして覚えてないかもしれないけど、君たちがここに来た次の日の朝に打ちの研究員が1人来ただろう。その時君たち、なんか色々と質問とかしたそうだったから言ったらしいんだよね。『疑問は後でちゃんと受け付けます。その時に質問したいと思った人は質問してください』って。」
「……」
「正直なところただの口約束だし別に守らなくてもいいんだよね。それに多分結果的に(・)質問なんて1つもないだろうって思ってたんだろうね」
「……」
「でもいい意味で予想は外れて質問がで(・)き(・)る(・)存在が出てきてしまった。だから私は口約束とはいえ約束は約束だし、君とも一度話したいと思っていたからこの場を設けたってわけだよ。なんせ君はあの中でた(・)だ(・)1(・)人選ば(・)れ(・)た(・)側の存在だからね」
「……」
そう。話題を変えるために出したこの質問の答えこそが、まさに考えないようにしていたことそのものであったからだ。
「いやー、改めて考えてみてもうれしい誤算だよ」
「や……て……」
「まさか1人生き残るなん―」
「やめてよ!」
ここにきてイヴは大声を上げ室長の言葉をさえぎる。
「どうかしたかい?」
不思議そうにする室長。
「その話は聞きたくありません」
それに対して明確に拒絶の意思を表すイヴ。
「ん?ああ、なるほど。これは君が避けていた話題につながるね」
「……」
イヴはその問いに対して何の反応も返さない。しかしその反応こそ室長の言葉に対する肯定を如実に表していた。
「んー。そう言うならこの話はここでやめてもいいけど……もう大体予想できてるよね?」
「……」
「それに……」
室長はここでいったん言葉を区切り、その顔に笑みを浮かべる。瞳に狂気を宿しながら。
「ここで君に真実を教えたらどういう反応が返ってくるのか興味が出てきた」
「―ッ」
その言葉にイヴはばっと顔を上げ、室長を見る。
「君が住んでた村の人たちだけどね」
「やめて」
それは懇願であった。
「実験の結果体に拒絶反応が出てしまってね」
しかしそれを一切気にせず言葉を続ける室長。
「……やめてよ」
しかしイヴの懇願もむなしく。
「君を残してみんな」
室長はただイヴの反応が見たいからというだけで言葉を続ける。
「……お願いだから」
そしてその時は徐々に近づき。
「死んでしまったよ」
そう宣告された。
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