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私が永遠を生きるその前の話  作者: Towa
1章 そして私は永遠を手にする
2/102

<2>

実質第1話です

話は特に進みません

 オクテ村。

 それがこの地の名前だ。

 村と呼んでいるが基本的にそこに住む住人たちが呼んでいるだけである。少なくとも一般に流通している地図には載っていないので公式のものではない。まあ、このあたりに関しては辺鄙なところにありすぎて外の人々にまったくといっていいレベルで認識されていないといった事情もあるのであるが。そんな辺境の村の中をとある昼下がり1人の少女が歩いている。


「あら、イヴちゃんじゃない。こんな時間からどうしたの?」


 そう呼ばれたイヴという少女が振り返る。淡い金色の髪を肩口あたりまで伸ばし翡翠色の双眸をした少女だ。


「あ、エイミーおばさん。こんにちは」


「はいこんにちは。それで今日はどうしたの?いつもならこの時間は学校じゃない?」


「それが先生のところのおじいさんが急に体調を崩したとかでこの時間までで終わっちゃったんです」


 学校などと呼ばれてはいるが、実態としては都市部の学校のようなきっちりしたものではない。先生も有志の村人でありたまに私用でいなかったりする


「あらそうなの。何かお見舞いでも持っていった方がいいかしら?」


 そんなことをつぶやきつつエイミーおばさんは考え出す。


「そうですね……何か元気の出るような食べ物なんかもっていくとかどうでしょう?」


「それがいいかもね。あ、イヴちゃん引き止めて悪かったね。気をつけて帰るんだよ」


「はーい」


 こんなやり取りをした後、私はまた帰宅を再開するのだった。






 帰宅してお昼ご飯を食べた後、時間が空いてしまったので私は家の手伝いをすることとなった。まあお手伝いなんていっても村の自警団に所属するお父さんたちの所にちょっとした差し入れを持っていくだけなのだが。

 ちなみに自警団とは言葉通り村の警備が主な仕事である。しかしこんな辺鄙なところ、外から人が来るなんてめったになく、村の中も平和そのものである。最後に村の中で事件があったのは……いつでしたったか?とりあえず皆の記憶にない程度には昔のことだ。ではそんな村でいったい何を警戒するのか。


 それは魔物という存分からである。


 魔物とは『魔の力、つまり魔力を有しているもの』らしい。その外見は狼や鳥といった動物のような形からなんだかよくわからない不定形のものまで様々である。だがそんな魔物にも共通しているところがある。一つは黒い霧状の何かに体が包まれている点。その霧は見ているだけで気分が悪くなるようなもので一般的に普通の動物と魔物はこの外見上の違いですぐにわかる。それともう一つ、これはイヴも学校で習ったことなので実際に見たわけではないのだが、魔物というものは『発生』するものであり『生まれる』ものではないらしい。このあたりの詳しいことはよくわからないがとにかくそういうものらしい。


「うぅー、それにしてもどうしてこの時期の昼過ぎはこんなにも暑いんですか」


 現在季節は夏。それも時間は昼過ぎ。普通に一番暑い時間帯である。こんなときは家の中に引きこもっていたいものである。まあ、だからこそ水分補給などのかねて差し入れを持っていくのであるが。

 ちなみにこの村には季節というものがある。春、夏、秋、冬の四季である。これも学校で習ったことだが世界には四季がない場所もあるらしい。ぜひとも一年中春の場所に住みたいものだ。


 そうこうしているうちに目的地である自警団の本部に着いた。村の防衛拠点でもあるため、なかなかに立派な建物である。


「しつれいしまーす」


 そういいながら本部の中へと入る。


「おお、イヴちゃんじゃないか。相変わらずかわいいね」


 そういって私を出迎えてくれたのはお父さんの同僚のバリーさん。


「もー、そんなこと言って。そんなこといっても何も出ませんよ」


「はは、イヴちゃんが見れただけで十分さ。知ってるか、かわいいものは正義って言うんだぜ」


「そんなことばっかり言って、お父さんに見つかっても知りませんよ」


「う、それはちょっと困るな」


「はは、気をつけてくださ……ちょっと遅かったみたいですね」


「どうにも娘を口説いている不届きものがいると聞いたんだが……貴様かバリー」


 そういってバリーさんの背後から出てきたのイヴのお父さん。


「いやいや、別に口説いてたわけじゃないですよ。ちょっとめでてただけですよ。ほら、かわいいは正義ですし」


「だまれロリコンが!貴様に娘はやらんぞ!」


 そう言ってバリーさんに迫るお父さん。……というか今さらっとお父さん言いましたけど、どうにもこのバリーさん、そのロリではじまってコンで終わる人である疑いがかけられている。……真偽のほどは定かじゃないが。


「そんなこと言わないでくださいよ、お父さん」


「誰がお義父さんか!」


 なんか一向に話し合い(?)が終わりそうにない。しょうがないので一言かけて帰ることにする。


「お父さーん、差し入れここに置いておくからみなさんによろしくねー」


一応、「貴様にはやらんぞ」「そんな殺生な」とか聞こえてきたような気がするのでたぶん大丈夫でしょう。何が大丈夫なのかは自分にもよくわかりませんが。


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