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今回は研究所内のとある一幕です
研究所内のとある部屋にて。
「エレイン、今回の実験結果の報告を頼む」
そう聞くのはくすんだ茶色の髪に青い瞳のおよそ40歳台と見られる男。
「はい室長。それでは今回の実験結果の報告をいたします」
そしてそれに答えるのは金色の髪に青い瞳の30歳になるかならないかといった見た目のエレインという女性。
現在この部屋にはこの二人のみ。部屋の中はこの研究所で行われた実験の報告書などの書類がそこかしこに置かれているような状態である。そんな書類が散乱していると言ってもいいような部屋であるが、この部屋の主な使用者である室長と呼ばれた男はどこに何があるのか正確に把握しているため実はこれで問題なかったりする。
「今回の実験ですが、被験者数は165名。そしてその全員に対してリリスの血を摂取させました。摂取後所定の時間を置いた後165名全員に血を摂取したことによる反応が確認されました。その内164名は血による反応に体が耐え切れず、死亡が確認されました。しかし―」
「待て」
エレインが報告を続けようとしたところで室長がいったんその報告をさえぎる。
「今164名と言ったか?」
「はい。今回の実験において被験者165名の内死亡者は164名です」
「……その報告に間違いはないんだな?」
「間違いありません」
「ではその残り1名はどうなった?」
「はい。165名のうちの最後の1名はリリスの血を摂取して所定時間が経過してなお生存していることが確認されました」
「では現在その1名はどうしている?」
「現在は血による影響からか意識を失ったままです。現在は特殊医療室に寝かせています」
「一応確認するがリリスの血の生存者で間違いないんだな?」
「間違いありません」
室長と呼ばれた男はその言葉を聞いた後、数秒ほど何事か考えるそぶりをし、考え事が終わったのか上機嫌でエレインしゃべり始めた。
「すばらしい、すばらしいよ。正直成功するなんてまったく思っていなかったからよ。なんせここ8年で成功したのなんて彼くらいなものだったからね」
男はそれはもう楽しそうに言葉を続ける。
「本当にすばらしい。なかなかサンプルが増えなくて困っていたからね。これでもっと面白い実験結果が得られそうだ!ああ、本当に最高だよ!」
男はそれはそれは楽しそうに、そして無邪気に笑う。しかしその瞳には狂気の色が映る。
「こうしてはいられない。これからやることのリストアップをしなくては。エレイン、報告ご苦労様。すばらしい報告だったよ」
「ありがとうございます」
「あ、それとその生存者のデータを後でまとめて持ってきてもらえる。なんせめったにないことだからね。データはあればあるほどいい。あとはその生存者、意識が戻ったら教えてもらえる?別に意識がなくても実験自体はできるけど、やっぱり直接しゃべっても見たいし」
「承りました」
「さあ、おもしろくなるぞ」
この言葉を最後に室長と呼ばれた男はエレインを退室させ、自身はこれからやることのリストアップのためせわしなく動き始めた。まるでおもちゃを与えられた子供のように。
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