イモムシみたいだね
朝のベッドの上で始まる、些細で不条理な姉弟の攻防戦。
二度寝の誘惑と布団のぬくもり、そして容赦のないハスキーヴォイス——。
どこか甘やかすようで冷ややかな、姉との少し不思議な朝のひとコマをお届けします。
『早くおきなさい。おい、早く起きろ!』
姉の怒声に近いハスキーヴォイスで再び目覚めた。
朝勃ちの真っ最中な僕はしかし、そのまま気を失うかのように再び眠りに就いた。夢を見た。姉に叩き起こされる夢だ。現実と夢との境界が曖昧だった。
ふと薄目を開けて仰ぎ見ると、そこに姉の赤いプリーツスカートの中身があった。
黒いレースのショーツだ。こんなアングルで見たことは度々あったけど、黒いレースは初めてだ。
『今日は勝負日なの?』
と何気なく訊いてみたら、足の裏で思い切り額を踏まれた。
『早く起きなよ。お弁当の支度だってしなきゃならないのよ』
否定の意味を込めているのか、逆に肯定しているのかはまるでわからなかった。
僕は姉にもっと手こずらせたいという欲望が湧いてくるのを感じた。ぐるぐると掛け布団を巻き取るように転がった。
『なにそれ、イモムシみたいだね』
姉の軽い蹴りが入った。
『自分で脱出しなさいよ。もう、遅刻しても知らないよ』
姉は少し不機嫌そう。その後、僕は芋虫の皮からの脱出に手こずった。無限に脱出出来なければ学校に行かずに済むかもしれない。そんな企みが芽生えた。と、
『いい加減になさい』
というハスキーヴォイスがして。僕はぐるぐるとさっきとぎゃくかいてんにころがされ、無理矢理イモムシではなくされた。
姉の細い足首が目の前にあった。朝勃ちと姉の存在には何か関係あるのだろうか?ぼくにはわからなかった。
ご覧いただきありがとうございました。
二度寝の心地よさと、布団の中でうだうだしている時のあの独特な感覚をギュッと詰め込んだお話でした。
姉弟ならではの容赦のないやり取りと、絶妙な距離感を楽しんでいただけていたら幸いです。
また別の作品でお会いできるのを楽しみにしております!




