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メイド風コンカフェで2時間話こむ。心地よい時間で月曜日の同伴成功に確信をもつ。

メイド喫茶風コンカフェに入ってから、気づけば二時間ほど経っていた。

最初は完全に下見のつもりだったのに、話は思った以上に深くなっていた。

「実際、男のお客さんってどんな感じなんですか?」

博子がそう聞くと、女の子は少し考えてから笑った。

「ほんとにいろいろですね。めちゃくちゃガチ恋勢もいますし、逆にスナックみたいな

感覚で来る人もいますよ」なるほど、と博子は頷く。キャバクラと同じで、目的は人それぞれ。

会話を楽しみに来る人もいれば、推し活に近い感覚の人もいる。

「だから、最初の入口ってめっちゃ大事なんですよ」

女の子はそう言って、料金表を指さした。

「初めてセットなら、チェキとオムライスとセットと女の子のドリンク込みで2,800円のやつ

 もありますし、2時間女の子ドリンク、チェキで3,900円のやつもありますよ」

博子は思わず感心する。「それ、修行にはちょうどいいですね」

「ですよね。あとは持ち込みが500円なんで、近くで買ってきてもらう人も多いですよ」

「あ、じゃあ、たこ焼きとか?」その一言に、女の子の目が少し光る。

「カリトロですか?」「え、知ってるんですか?」「知ってますよ。東通りのカリトロ。

ポン酢と塩、めっちゃ好きです」一瞬、間があって、二人で笑った。

「東通りでそれ知ってるって、なかなか通ですね」「いやいや、あそこは外せないです」

そんな何気ない会話が、妙に心地いい。この距離感、このテンポ。

“喋らなきゃ”じゃなく、“自然に喋れる”。「オムライス食べてもらって、たこ焼き持ち込んで、

女の子はそれでご飯済ませて…」博子が口にすると、

「全然あります。むしろ、そういう人のほうが長く来てくれます」

と女の子は即答した。豪華じゃなくていい。無理しない。続けられる形。

「月曜日、そんな感じで夕方来させてもらおうと思ってるんですけど…」

「ぜひぜひ。時間帯的にも落ち着いてますし、初めての人にはちょうどいいですよ」

そこから話題は完全に“仕事モード”になる。どういうお客さんが継続してくれるか。

どうやって距離を詰めるか。どのタイミングでチェキを勧めるか。

シャンパンを入れてもらう人と、そうじゃない人の違い。

「最初から高いの狙うより、居心地よくしてあげる方が結果的に強いです」

その言葉に、博子は何度も頷いた。それはキャバクラでも、まったく同じだったから。

「結局、“また来たい”って思わせたら勝ちですよね」

「そうなんですよ。今日楽しかった、で終わらせないこと」

女子トークは止まらなかった。愚痴もあれば、笑い話もある。

“この仕事あるある”を共有できる空気。

気づけば、下見のつもりが、完全に情報交換の場になっていた。

「二時間、あっという間でしたね」「ほんまですね。めっちゃ楽しかったです」

最後に、博子は改めて言う。「じゃあ、月曜日、そんな感じで夕方に来ます。

よろしくお願いします」「こちらこそ。いい修行になりそうですね」

店を出たとき、博子は思った。――ここ、間違ってなかったな。

派手さはない。でも、ちゃんと“積み上げられる場所”。月曜日のイメージが、

はっきりと形になった。今日はそれだけで、十分な収穫だった

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