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日曜昼。博子、月曜日のコンカフェ同伴前に下見にいく。

遺品整理会社の社長とのカフェが終わって、軽くランチを済ませたあと、

博子はそのまま梅田東通りに向かった。目的ははっきりしている。

月曜日に控えている、会計士先生の“コンカフェ同伴”。その前の下見だ。

場所は梅田・東通りの端。人の流れから少し外れたところにある、

よく知っているエリアだった。「懐かしいな…」博子は心の中でそう呟く。

博之だったころ、何年も通っていた場所。店の入れ替わりはあるけれど、

空気感は変わっていない。観光客よりも、地元の人と“分かってる人”が多いエリア。

そして何より、安い。それでいて、女の子も可愛い。系列は二店舗。

一つは王道のメイド喫茶風コンカフェ。もう一つはバニーコンセプト。

今日は迷わず、メイド風のほうを選んだ。初めての人には、まずここだ。

扉を開けると、すぐにリーダー格の女性が対応してくれる。落ち着いた対応で、説明も丁寧。

博子は“お客さん”としてというより、完全に“下見モード”で話を聞いていた。

「初期セットはいくつかありまして…」一通り説明を受ける。

時間制、ドリンク、女の子ドリンクの有無。その中でヒロコの目に留まったのが、

初めてセットだった。ドリンク飲み放題。女の子ドリンク込み、オムライス、チェキ。

時間も十分。「これ、ちょうどええな…」正直、会計士先生にはドンピシャだと思った。

いきなり高い店は緊張する。かといって、安すぎると雑音が多い。

この価格帯なら、“練習”としてちょうどいい。「今日はどうされましたか?」リーダーが

聞いてくる。博子は正直に答える。「明日、コンカフェ同伴提案していて、その前の下見です」

一瞬、リーダーが目を丸くする。「え、女の子が下見に来るの、珍しいですね」

「そうですよね。でも、男の人が喋るのに慣れてなくて。こういうところで、

まず場に慣れてもらえたらなと思って」そう話すと、リーダーは少し表情を緩める。

「分かります。実は、そういう“慣れたい人”のほうが、長く来てくれるんですよ」

博子は内心、納得していた。派手さよりも、安心感。テンポよりも、空気。

「だから、そうやって新しいお客さんを連れてきてくれるのは、めっちゃ嬉しいです」

その言葉を聞いて、博子は少しだけ安心する。押し付けじゃない。

ちゃんと“店側にも意味がある”。一通り店内を見渡す。女の子たちは程よい距離感。

声のトーンも柔らかい。「うん、ここなら大丈夫やな」月曜日のイメージが、少しずつ形になる。

最初はここ。様子を見て、余裕が出たら次。修行には、ちょうどいい。

博子はそう確信して、店を後にした。派手な仕込みじゃない。

でも、確実に“失敗しにくい準備”。こういう積み重ねが、あとで効いてくる。

それを、博子はもう知っていた。

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