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おじいちゃんと別れて自宅で体力充電。夜店前同伴でおじいちゃんと過ごす。

おじいちゃんと別れて、いったん家に戻る。

玄関で靴を脱いだ瞬間、体の力がすっと抜けた。

昼から動いていたせいか、頭より先に身体が正直に反応して、

そのままベッドに腰を下ろす。んの少し目を閉じるつもりが、

気づけばしっかり眠っていた。目を覚まして、スマホを見る。

YouTubeの管理画面を開くと、登録者数は250人ほどになっていた。

「…増えてきてるな」数字が伸びているのは嬉しいけれど、

まだ何かを仕掛ける段階じゃない。今はただ、淡々と続けるだけでいい。

動画を一本上げて、特に考え込まず、ゆっくり支度をする。

夕方、ふと思い立っておじいちゃんにメッセージを送った。

――今日の大阪ガスビルの食堂、すごく美味しかったです。

――また連れて行ってください。夜じゃなくても、昼でも。

――ご飯とかお茶とか、また一緒に過ごせたら嬉しいです。

送り終えて、少しだけ深呼吸をする。

その夜、8時前に店の前に立つと、ちょうどおじいちゃんがやってきた。

顔色がよくて、足取りも軽い。

「ちょっと飲んできたからな。もう出来上がっとるわ」

「わかります。めっちゃ楽しそうですもん」

そんなやり取りをしながら店に入る。

おじいちゃんは自然に黒服に軽く会釈をして、「今日もよろしくな」と一言だけ言う。

それだけで場が整う感じがして、博子はやっぱりこの人は慣れてるな、と思う。

席について少しして、博子が裏に下がったタイミングで、黒服が小さな声で声をかけてきた。

「博子、よう頑張ってるな」驚いて振り返ると、黒服はにやりともせず、

ほんとに独り言みたいな調子で続ける。「こうやって継続で来てくれるお客さんがいるのは、

俺らから見てもありがたいしな。それに、博子の変わり方、見てて微笑ましいわ」

それだけ言って、黒服は何事もなかったようにフロアに戻っていった。

博子は一瞬だけ立ち止まって、胸の奥が少しあたたかくなるのを感じる。

席に戻ると、前に入れてもらっていた白州がまだ残っていた。

それを飲みながら、「今日は2セットくらいにしとこか」とおじいちゃんが言う。

話は自然と、昼に行った大阪ガスビル食堂の話になる。

「セロリ出てきたやろ」「はい、あれびっくりしました」

「昔からの決まり事や。ああいうのがええんや」そこから大阪の店の話、

昔の接待の話、なくなった店の話に広がっていく。派手じゃないけど、

聞いていて飽きない。「なあ博子」少し間を置いて、おじいちゃんが言う。

「年取ると、食える回数が減ってくるんや。健康年齢とか言われとるけどな、

美味しく食える時間って、案外短い」博子は黙ってうなずく。

「せやからな、博子と一緒に飯食った記憶が残るんは、悪くないなって思うんや」

「最後の晩餐みたいな言い方しないでください」博子は笑いながら返す。

「ちょこちょこ行きましょう。北浜の川辺とか、気持ちいいですよ」

「ほう、そんなとこも知っとるんか」「中之島とかも、歩くだけで落ち着きますし」

おじいちゃんは少し考えてから、冗談めかして言う。

「……なんや、男と行っとるんちゃうか?」

ヒロコは即座に首を振る。「私のモテなさと、仕事の暇さ、舐めてません?」

少し間を取って、続ける。「家と店とYouTubeしかないですよ。ほんまに」

その言い方がおかしかったのか、おじいちゃんは声を上げて笑った。

「それはそれで、えらいなあ」そんなやり取りをしながら、2セット分、

ゆっくり時間が流れる。大きな盛り上がりはないけれど、空気が柔らかい。

帰り際、おじいちゃんは「またな」とだけ言って帰っていった。

その背中を見送りながら、博子は思う。

――こういう夜を積み重ねていくんやな。

派手さはないけれど、確実に、今の自分に合っている。

そう感じながら、博子は次の一日を思い描いていた。

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