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オフの火曜日。水曜日おじいちゃんと昼ごはんと同伴の約束をする等

火曜日。今日はオフの日やと決めていた。無理に予定を詰め込まん。

最近は出勤日も増えて、夜のリズムが身体に残りやすいから、

こういう“何もない日”をちゃんと作らんと、あとでガタが来るのは目に見えている。

目覚ましはかけず、自然に目が覚めるまで寝た。

昼前に一度起きたけど、もう一回布団に潜り込んで、結局しっかり睡眠を取った。

頭がすっきりして、身体も軽い。これだけで、今日はもう半分成功やと思う。

起きてからは、軽く身支度をして散歩に出る。

派手なことはせん。イヤホンもつけず、街の音をそのまま聞きながら歩く。

平日の昼間は、夜とは全然違う顔をしていて、同じ道でも安心感がある。

こういう時間があるから、夜の緊張感も保てるんやと思う。

歩きながら、明日のことを考える。おじいちゃんは、ほぼ毎週水曜日に顔を出してくれる。

最近は「同伴」という言葉より、「一緒に飯でも食おうか」という感覚に近い。

今日は少し甘えてみようと思って、散歩の途中で連絡を入れた。

――もしよかったら、水曜日ご飯行きませんか?

しばらくして、返事が来る。「大阪ガスの食堂がな、

ランチやっとるらしい。そこ来えへんか」その一文を見て、思わず笑ってしまった。

いかにもあの人らしい選択や。派手でもなく、気取ってもなく、

でもちゃんと“分かってる”感じ。すぐに「行きます」と返して、12時で予約を取る。

すると追いメッセージが来た。「同伴はなしな。当日は店前同伴でええやろ」

この一言で、ああ、この人ほんまに分かってるなと思った。

距離感も、仕事としての線引きも、無理に踏み越えてこない。

そのバランスが、長く続く理由なんやろなと感じる。

昼過ぎに家に戻ると、ちょうど宅配便が届いていた。

FP3級の講座の教材や。箱を開けて中を見ると、思っていたよりずっと薄い。

「……これ、いけるな」ページをざっとめくる。内容も、構成も、無理がない。

夜の仕事の合間や、こういうオフの日に少しずつ触るだけで、

6月の試験ぐらいなら十分間に合いそうやなと、自然にイメージが湧く。

ガッツリ勉強する気はない。でも、何もせずに時間を流すのも違う。

今はこの“ちょっとずつ触る”ぐらいが、ちょうどええ。

教材を机の端に置いて、今日はそれ以上は深入りせんと決める。

やりすぎると続かん。今は仕込みの段階や。夕方になって、金曜日のことを思い出す。

ダメ元でもええから、弁護士先生に一声だけかけておこうか。そう思って、

短いメッセージを送る。――今週金曜日、もしお時間合えばいかがですか?

――無理でしたら全然大丈夫です。余計な言葉は足さない。期待もしない。

投げて、あとは流れに任せる。夜は早めに軽いご飯を済ませて、

また少し散歩に出る。街の明かりがつき始める頃合い。仕事帰りの人たちが増えてくる。

自分は今日はそこに混ざらなくていい。その事実だけで、心が少し緩む。

こうして振り返ると、火曜日は何もしていないようで、ちゃんと仕込みは終わっている。

水曜日のランチの約束。金曜日への一声。新しい資格への入り口。

派手さはないけど、積み重ねは確実や。夜、布団に入る前に思う。

今のペース、悪くない。焦らず、無理せず、でも止まらず。

火曜日は、ちゃんと“整える日”になった。

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