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博子、なんぼ積んだらやらせてくれるん?との問いにさらにどぎつい下ネタで返す。座組や資料作成の話で空気をひっくり返してしまうwww

卓の空気は、さっきまでのカレンちゃんの件でちょっとグラついたのを、

博子がなんとか整えたとはいえ、まだ少しピリつきと酔いの勢いが残ってるような状態やった。

シャンパンも入ってるし、場内も入ってるし、先輩たちのテンションも高い。

だから、話題がちょっとずつ下品な方に転がっていくのも、ある意味では自然っちゃ自然やった。

「で、姉ちゃんたちは、なんぼ積んだらやらしてくれるの?」

みたいな、ま、ちょっと品のない話を一人が振ると、周りの女の子たちも、まあ酒の勢いで

「いやいや、そもそもアフターとか、もうある程度積んでもらわないとなあ」みたいに、

わちゃわちゃ乗り始める。「100は積んでもらわんとな」みたいな、半分冗談、

半分見栄みたいなやつが飛び交って、卓の上だけ急にキャバっぽい会話になる。

で、そういう流れで当然、博子にも話が飛んでくる。

「博子ちゃん、なんぼぐらいなん?」

それに対して、博子はわりとあっさり言う。

「私は、積まれてもやりません。」

その返しに、場が一瞬だけ止まる。

で、すぐに先輩の一人が、ニヤニヤしながら言う。

「なんなん、なんか値打ちこいてんな。」

博子は、そこも別に感情的にならずに返す。

「値打ちこいてるとかじゃなくてね。」

「ほう。」

「私、身体にあんま興味持たれないんです。他のお客さんに。」

「なんやそれ。」

「なんか、どっちかって言ったら。」

博子は、そのまま静かに続ける。

「言うたら座組とか、アフター、気づきとか、あと仕事絡みの話で提案させてもらったりして。」

「詳細な提案とかやったら見積もり出したりもするんですけど。」

「はあ?」

「そういうところに魅力感じられてる方が多いんで、あんまりそれはないかな、みたいな。」

その説明に、卓の中の女の子たちも、先輩方も、一瞬なんとも言えん顔になる。

なんか、キャバの場で聞く説明としてはだいぶ方向がおかしい。

だからこそ、妙な説得力がある。

博子はさらに追い打ちみたいに言う。

「で、私、眠いんで帰っちゃいますし。」

その一言で、また笑いが起きる。

「アフターなかったら、外で遊ぶ機会もないから無理ちゃうんか。」

すると博子は、そこも平然と返す。

「いや、私、アフターは私、休みの日に勝手にやってるんです。」

「は?」

「しかも最近は、朝アフターやってるんで。」

「何それ。」

「高めの朝ごはん一緒に食べて、コーヒー飲んで帰るみたいなやつで。」

もう、そこまで来ると卓の空気が完全におかしな方向に向かい始める。

さっきまでキャーキャーしてた先輩たちも、いや、何を言うてるんやこいつは、みたいな顔になる。

博子は、それにも構わず続ける。

「男性陣はそれで満足してるし。」

「満足してるんかい。」

「満足してるし、そもそも夜中に持って帰って、一発やられて終わりってなったら、

なんか山一つ登った感じで、次に来てくれるかわかんないじゃないですか。」

「……。」

「よりも、私はなんか朝ごはん食べながら堂々とヤリタイって言ってもらって、三発やって、

昼寝してるぐらいが、なんか一周回ってエロいなと思うんで。」

ここで、女の子たちの方が「えっ」ってなる。

先輩たちも、笑いたいんやけど、ちょっと博子の搭載してるエンジンが違いすぎて、うまく笑えない。

博子は、そこでとどめみたいに言う。

「そういうふうに言ってくれる人の方が、私は好きですね。」

その返しで、卓の一人が思わず言う。

「搭載してるエンジンが違いすぎて、こいつやばいな。」

そこに、さっきまでキャーキャー騒いでた先輩の、もう一つ上の先輩が口を挟む。

「カレンちゃんの件もあって、向こうもトゲがあるかもしれんけど。」

「いやいや。」

「搭載しているエンジンが違うし。」

「……。」

「言うたら、火縄銃とガトリングガンぐらい違うからさ。」

その表現で、卓の空気が一気に変わる。

笑いもあるけど、同時に“これ以上いじるとこっちが負ける”みたいな空気が出る。

さっきまでイキってた先輩も、ちょっと気まずそうに黙るのでございました。

博子は、そこを見て、あ、ここでさらに刺しに行ったらあかんなと思って、少しだけ柔らかく戻す。

「そうなんです。」

「うん。」

「だから、真正面から言ってもらって、ちゃんと責任取ってくれるんやったら、全然行くんですけど。」

「おお。」

「責任取ってくれそうな人も、一人だけね、いるんです。」

「誰やねん。」

「お客さんの一人です。私の外見でも内面が面白いから興味あるって言ってくれる人もいるんで。」

その言い方に、また妙なリアリティが出て、卓の空気がちょっと静かになる。

で、話題が自然と変わっていく。

「え、博子ちゃん、どんな人がお客さんなん?」

そこを待ってましたと言わんばかりに、博子は淡々と説明し始める。

「個人的に来てくれるのは、弁護士さんと、会計士、あと上場企業でも役員やったおじいちゃんです。」

「はあ。」

「で、あとはグループで3組来てくれてて。」

「3組?」

「東京の社長陣が2組。3×2で来てくれてて。」

「えぐ。」

「で、大阪の方は、地場の税理士さんが、弁護士、社労士、保険会社の人の4人で、今度そこに、

さっきまで座ってたカレンちゃんも混ぜて、ビアガーデン行って、座組回すっていう形をやってます。」

「……。」

「なんかそういう形の飲み方をしてる感じですかね。」

そこまで聞いて、さっきまで“なんぼ積んだらやらしてくれる”とか言うてた女の子たちも、若干引く。

先輩たちも、これはなんか普通のキャバの話ではないぞ、というのがわかる。

「もう、ちょっと飲み方の種類も違ってきてるし。」

「いや、本物の北新地の女見つけたな、みたいな感じになったわ。」

「俺らとは遊んでくれへんの?」

その問いにも、博子はもう慣れたテンションで返す。

「いや、残念ながら私も少人数丁寧に回してるんで、これ以上はもうアップアップなんです。」

「マジか。」

「休みの日もだいたいアフターとか。」

「うん。」

「明日、多分詳細な資料作るのでちょっと時間食うので。」

「資料?」

「その東京の社長さんから、奨学金の肩代わりの制度入れることによって、

どれぐらい会社にとって効果が出るのかっていうのを出してて。」

「は?」

「で、一社うまくいって、数千万ぐらいは削減効果出たっていうことを証明できたので、

その分の一部はこっちで遊んだり気付きに回してくれるっていう話で。」

ここまで来ると、もう卓の中の花火みたいなテンションは完全にしぼむ。

キャーキャー騒いでた女の子たちも、「え、なにその世界」っていう感じで黙る。

博子は別に自慢したいわけではない。でも、聞かれたからそのまま答えただけや。

そのまま続ける。

「残り2社も、相見積もりの関係でなんぼかやらないといけないのと。」

「うん。」

「ちょっと食事補助の税制改正に関して、素案なげるのも、私の方でChatGPTも

使いながらなんですけども。」

「……。」

「どれぐらい離職率が下がるかとか、従業員の満足度が上がるかとか、その辺もちょっと

調査してやらないといかんので。」

「そうなんや。」

「休みと言いながらも、なんかガチャガチャ動いてる感じですかね。」

そう言って話し終えた時には、さっきまでわちゃわちゃ盛り上がってた卓の空気が、

完全に別物になっていた。なんかもう、軽い下ネタで花火みたいに盛り上がってたのに、

博子のどぎつい下ネタと、どぎつい座組と、どぎつい仕事話が全部ぶち込まれて、

急に空気がしゅんとしてしまった。誰かが「今日はもうお開きかな」みたいな顔をしてるのが見えて、

博子も内心、あ、これはやりすぎたかもな、と思わんでもなかった。

でも同時に、これでええのかもしれんな、とも思う。

変に軽く合わせてヘラヘラするより、自分のエンジンで喋って、その結果空気が冷えたなら、

それはそれで仕方ない。そういう夜の終わり方もある。

そんな、ちょっと変な着地をした一晩やった。

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